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14話「それぞれの戦い」

因縁の戦い×2

なんかよくわからん戦い×1


いやほんと、一つだけおかしな戦いが混ざってます。


 攻撃を防いだが、衝撃を抑えることは叶わずかなりの距離を吹き飛ばされる。それでもなんとか空中で体勢を整え、シールドを張り。そのジールドを足場に着地した。


 その直後、後を追ってきたライオンが私の目の前に現れる。


「これで誰にも邪魔されず、お前と決着を付けられる!」



 力を解放して、体が何倍にも大きくなったライオンは鋭い眼光で私を見る。


「貴方は、何故そこまで」


 毎回何かと私を目の敵にするのは何故なんだろう。彼の目的はガーディアンナイトを倒すというより私個人を倒すのが目的の様だが、そこまで私に固執する理由はなんなのだろう。


「何故?決まってる、貴様が強いからだ。貴様を倒し、俺が強いという事をあいつらに知らしめるためだ!」


 あいつらというのが誰のことを指しているのかはわからない。口振りからして、力を欲するだけの理由なのは理解できた。


「ガーディアンナイトを、中でも1番強い貴様を倒したとなれば俺が強いということを証明できる、奴らを見返すことができる、それが理由だ」


 要するに、彼には見返したい者たちがいて、その力を得るために邪悪な力を受け入れたのだろう。


「わかりました。ですがはっきり言います。今の貴方に私は倒せません」

「あ?」


 この戦いに、私は負けるわけにはいかないし、負けるつもりもない。何故なら。


「そのような貰い物の力で、私を倒せるとは思わないでください」

「はっ、ならとっとと決着を着けようじゃねぇか、なぁ!!」


 その言葉を合図に、ライオンが走り出す。私は両手にシールドを展開してライオンの攻撃に備える。


◇◆◇◆◇


 アメジストの後を追おうとしたオニキスとティアナだが、邪悪精達の手により行く手を阻まれ後を追うことが出来ずにいた。


 オニキスは、羊の邪悪精が自分と同等の力を持っていることに驚きを感じると同時に、これではアメジストの元に行けないという焦りを感じていた。


「そう焦っていては貴女本来の力が出せませんよ」

「うるさい!」


 図星を突かれ、オニキスは拳を振るうがその攻撃はいとも簡単に防がれてしまう。


「オニキス、少し落ち着きなさい」

「できたらやってる!」


 らちがあかないと判断したティアナは、笑みを浮かべながらオニキスの耳元で囁いた。


「じゃあ、このまま落ち着きを取り戻さなかったら私の鎖で縛り付けてあげましょうか?」

「…オッケー、落ち着いた」


 ゾクリと身の危険を感じたオニキスは、焦りとは別の冷や汗が背中を伝うのを感じながらも、そのおかげで冷静さを取り戻した。


「ティアナ。あんたはあのへんたい…カメレオンの邪悪精の相手をお願い、あの羊は私が相手をするわ」

「あら、大丈夫なの?また泣かされないかしら」

「やかましいわ。大丈夫よ、あんたの気持ち悪い言動で割と落ち着いたから」

「そう、ならよかったわ」


 言葉に棘のあるやり取りをしながらも、会話は成立している。この程度ならばいつものことで、悪化するとアメジストが止めに入るまでが彼女達の様式美となっていた。


「話は終わりましたか?」

「ええ、終わったわ」


 2人のやり取りを腕を組みながら眺めていた羊は、腕組みを解き拳を構える。それと同時にオニキスも構えを取る。


「ところで、あのへんたい…ゴホン、カメレオンはどこ行ったのかしら」


 羊の動きを警戒しながら、いつの間にかいなくなっていたカメレオンのことを聞くと、羊はあっさりと場所を自白した。


「奴ならそこの茂みにいるぞ」


 オニキスは一瞬たりとも意識をそらすことが出来ない。そのためティアナが指摘された茂みをよく目を凝らして見ると、そこには擬態したカメレオンがティアナたちを見ていた。


「いるわねぇ、本当に」


 ティアナが若干困惑した様子で呟くと、カメレオンは茂みから現れる。


「つい癖で隠れてしまった…ところで貴様ら、仲が良いのか悪いのかはっきりしたらどうだ?」

「あら、私達は親友よ?いいに決まってるじゃない。いつも私達を見てる癖に、その目は節穴かしら?」

「…まぁ、貴様達の仲などどうでもいい。戦うのなら手加減などしないぞ」

「当然。むしろ手加減なんてしてみなさい。私が手加減無しで再起不能になるまで攻め続けてあげる」


 オニキスは羊と、ティアナはカメレオンと向き合う。そして…。


「行きますよ!」

「こい!」

「鍛え抜いた俺の力、とくと味わうがいい!」

「ふふふ」


 ガーディアンナイト対邪悪精の戦いの火蓋が切って落とされた。


◇◆◇◆◇


「うぉらっ!」


 力の込められたその一撃を、シールドで受け止めた後、攻撃の勢いを利用してライオンを投げ飛ばした。


 投げ飛ばされたライオンは空中で体勢を立て直して着地する。


「ちぃ、まだだ!」


 その後も何度も仕掛けてくる攻撃を利用して戦った。


 私に攻撃を与える事を出来ず体力を消耗したライオンは息を上げながら私を睨みつける。


「くそが、一発もあたんねぇ…それに力が、抜けていく…」


 ライオンは何度が自分の拳を握りながら、自分の身に起きている事を確認する。


「てめぇ、俺の力を…」


 自分に何が起きているのか。それを完全に理解したライオンは忌々しげにこちらを睨みつける。


 そんなライオンに私は問う。


「貴方は、自分の強さを証明したいのではないのですか?」

「聞いてなかったのか?そう言っただろう」

「だとするなら、本当にその力で強さを証明させて良いんですか?」

「何が言いたい」

「貴方にとっての強さとは、自分の力で証明するものではなく与えられた力を使って証明するものなのですか?」

「っ、黙れ!」


 私の指摘に動揺を見せたライオンはその動揺を隠すかのように攻撃を繰り出した。その攻撃を躱すと振るわれたライオンの拳は地面にめり込んだ。


「ちぃ、くそが!」

「私に言われなくとも、貴方は気付いているはずです。その力では、貴方の強さは証明されません。その力を振るう限り、私も倒すことはできませんよ」


 地面から手を抜き、ライオンは俯いたまま立ち上がる。拳は強く握りしめたまま、小刻みに震えていた。


 しかし、頭を何度か振り、握っていた拳を解き再び握る。先程までの手の震えは完全に治っており、顔を上げてしっかりとこちらを見据えている。


「…ちっ、おい」

「はい、なんでしょう」

「…全力でいってやる。テメェも手加減なんてすんじゃねぇぞ」

「ええ…そのつもりです」


 再び私達は構え直し、お互いに死力を尽くして更なる激闘にその身を投じる。


◇◆◇◆◇


「はぁぁぁ!」

「そのような攻撃、私には効きませんよ!」


 オニキスから繰り出された攻撃は、事あるごとに羊の邪悪精に受け止められる。


「こちらからいきますよ!」


 逆に羊の邪悪精から繰り出された攻撃をオニキスは紙一重で躱したり、腕などを使ってガードする。


 そんな攻防が、ずっと続いていた。


「貴女では、私に勝つ事は出来ない」

「それはこっちのセリフよ。それに、やってみなくちゃわからないじゃない」


 そう言いながらオニキスはあの時のことを思い出していた。あの時はメルレットとアメジストがいなければ、オニキスは確実に負けていた。


 先程までの焦りは消えていた。アメジストならば大丈夫だろうと思ったから。


 そんな、今なら。


「私は、もうあんたに負けるつもりなんてないわ!」

「ふっ、では続きといきましょう」


 そう言った邪悪精は、直後に拳圧を飛ばす。その拳圧はまっすぐオニキスへと向かっていった。


 その拳圧をオニキスは自分の拳で搔き消し、お返しとばかりに炎を纏った衝撃波を飛ばす。


 実力はほぼ互角、あとはどちらの体力が先に尽きるか。


 文字通りの死闘が今始まる。


◇◆◇◆◇


 何かが激しくぶつかり合う音が辺りに響き合う。破裂音にも似たその音は、時間が経過するとともにさらに大きく、そして多くなる。


「なかなかやるな。その鞭捌き、俺の舌技と同等かのものを感じるぞ」

「貴方の汚らしい(それ)と一緒にしないで欲しいわ。私の鞭は打たれたものに甘美なる痛みと快楽を齎す、私の相棒よ」

「ほう。ならば今し方汚らしいと罵った俺の鍛え抜かれた舌と、貴様のその鞭、どちらが勝るかここで決着を着けるとしよう」


 カメレオンの邪悪精が腰を少し下ろす。ティアナも同様に腰を低くし、足を少し後ろにして構えを取る。


「くらうがいいっ!」

「っ!」


 再び、互いの振るう攻撃がぶつかり合い、破裂音が辺りに響き渡る。


 2人の戦いは、更なる熾烈を極めていく。


◇◆◇◆◇


 ガーディアンナイトと邪悪精が今、まさに戦っているこの世界に、人知れず三つの影が舞い降りる。


「ここにいるの?」

「ええ。だから、迎えに行くのよ」


 真っ黒なフードの付いたマントを着込み、そのフードを深く被った3人は、真っ直ぐにある方向を見る。


「2人とも、行こうか」

「ええ」

「うん」


 3人は、ある目的を果たすために動き出す。


「待っててね、お姉ちゃん」


あの2人は何を争ってるの?


と作者も後書き冒頭で言いたくなる戦いでした。


次の更新は6月下旬になると思います。

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