くれなゐの嘘
悪戯に言の葉を弄して
気紛れに君を揶揄う
拭い残した小指の紅で
いじらしい嫉妬を残す夜
望月が薄らいで消えゆく
後朝の文は徒然に
他に愛した女は居ないと
嘯いて囁く 花と共に
御魂鎮めの祝詞の如く
愛し恋しと連ね連ねて
転び寝の合間に嗤う
擦り寄る無垢な寝顔を
焚きしめた香で誤魔化して
はぐらかし君を奪った
背に残した爪痕赤く
無意識に嫉妬を残す夜
御魂鎮めの祝詞の如く
一人だけだと嘘を連ねて
冷めた瞳でくつりと嗤う
無邪気に信じる寝顔を
偽りで染めた睦言の数
偽りに染まる紅の筆
君はまだ何も知らない
だが今はそれでいい
それで良いのだ
可愛い人よ