パンドラBOX
パンドラの箱が開けられるとき、世界に崩壊が訪れる。
これはその崩壊を目の当たりにしたある人間の絶望を綴ったものである。
それは、唐突に私を襲った。
知らぬ間に開かれていた箱。
その中に収められたものは本来なら、未来への希望、原動力となる素晴らしい宝が、私にとって、──いや、人間にとってといっても過言ではない──そんな幸福が詰まっていたはずだった。
しかし、持ち主である私が気づけぬほど緩やかに、けれど確実に、箱に綻びが生じていた。
それが今、この今日という日に決壊し、崩壊を迎えた。
静かに崩壊を迎えた箱は、その蓋が開けられ、幸福だったはずのものたちは私を絶望の淵に陥れる災禍へと変容し──襲い掛かった。
あらゆるものが水に飲まれ、汚れたその色に染め上げられていた。
全てが流されることなくそこに残ったまま、という状態が私に現実を見せつけ、深遠なる暗闇の世界へ導こうとしている。
気づいたときには、私にできることなど一つしか残されていなかった。──ただ、諦めるしか。
そうして、私の元に訪れた災禍は、私を嘲笑い、私の幸福な世界をいともたやすく瓦解させた──
弁当箱が壊れた、私の絶望。
※ちなみにその日のランチはカレーライスでした。