主役と脇役でなんとか、かんとか。
「大変だぁ!!!!」
隣のクラスの脇本役太郎が駆け込んできた。正直、脇役フラグ連発で寒い。あー寒い。
今八月だけどね。
「何だよ脇役?」
「うるさい!ところで大変だ!お前の大親友、悪木魔雄が悪魔になりやがった!」
「知ってるよ。」
「知ってたのかよ!?じゃあ何で助けに行かないんだ!」
「死亡フラグが凄いから。」
「そうだな。お前主人公だもんな。」
この学校ではストーリーの主役と脇役が居る。主役は毎年くじで一人だけ選ばれる。俺は主役になってしまった。脇役がよかったな。主役はこういうとき内心で葛藤したり助けに行ったりしなくてはならない。
「でも主人公だからこそ行かなくちゃないんじゃないのか?」
「嫌だ。俺は英雄でも何でもない。地味な主人公になるんだっ!」
「来年になるまでお前は主人公だろ。主人公は何かをしないといけないんだ。」
「じゃあ俺は一年間欠席無しで皆勤賞を貰う。」
「へぼっ。」
俺と脇本が喋っているとまた誰かが飛び込んできた。
「ふっはっはっは!!!!!」
「悪木が来たぞ!俺逃げる。」
脇本は逃げた。所詮脇役だな。ふっ。
俺も逃げよ。
「待て主役!俺と戦え!」
悪魔になんか勝てません。でも主役の僕には少しだけ力が授けられている。逃げるしかないと思ったけど気が変わった。これが主役根性って奴かな。
「いいよ!悪木。俺が正気に戻してやる!」
俺は異空間から銃を取り出した。銃口を悪木に向ける。この銃は魂だけを撃ち砕く。これで撃てば悪木は正気に戻るはずだ。
そう、僕の力は異空間から色々な銃をだせる能力と、主役根性。
脇役がよかった?そりゃそうだ。だけど俺は主役、主人公。
「俺は脇役では終わらねぇ!!!!!!」
悪木は悪魔じゃない。俺の親友だ。この俺、
「主人公がお前を救ってやる!!!!!!」
「俺は主人公だ!!!!!」
去年の悪魔騒ぎは大変だった。校舎の一部が崩れたり、水道管が裂けたり。
でもこの俺が救ったんだ。
嬉しい。
「今年の主人公はー!?」
俺は今体育館のステージでくじを引いている。前の年の主人公が次の年の主人公を決める。
ただ、ときどき前の年の主役の名前がくじに入っていて、二年連続でやることになるという噂があった。
俺は今高校二年。あと一年あるからもしかして・・・。いや、ないない。
箱の中でひとつだけビビッと来たやつがあった。これだ。取って開く。
嘘・・・。
「前年度に続き主田役労だーっ!これは何の奇跡かっ!」
司会の声は空ろに聞こえ、胸が興奮に沸いた。
「主田役労!今年も主役やらせていただきます!!!!」
俺は主役。この高校という名の世界で。