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プロローグ:朝の微睡みと
足元に紙が落ちてきた。
先日入荷した本たちの名簿だ。
[1−B−4][3−A−9]
どこにしまわれているのか、どういった魔導書なのか。
寝ぼけ眼で見ていたら後ろに影ができた。
同時期に入荷した[5−A−6]、風系統魔術【浮遊】の初級魔導書。
意志を持つ魔導書というのはどうしてこうも自由奔放なのか…
「降りてきなさい、劣化してしまう」
徹夜してまとめた新書の書類。
欠伸を噛み殺しながら魔導書を元の場所に戻すために捕まえ階段を登る。
最初は抵抗していても意味がないと分かったらすぐに大人しくなってくれた。
5階まで登り棚に戻しながら今日の業務を思い出す。
私の営む書庫はこの世の〈どこにでもなく〉、〈どこにでもある〉場所に存在する。
つまり普通の人間にはたどり着けない。
「今日はなんとなく、面倒なことが起こりそうだ」
どうか今日も平和でありますように。
そんな俺の願いはドアベルのきれいな音色で瞬く間に消えてしまった。




