表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/9

シュークリームと栄養ドリンク≪勇往≫

朝、洗面所の鏡に映る顔が真っ赤になっている。


咄嗟に出た「こんにちは」はレジの譲りあいの時とは違う。

あの時、次の日にも会えてレジを譲った時のようなアンサーではなく、何も起きてないのに目が合っただけで声をかけてしまった。

それに会話は続かなかった。



失敗したわけでもないし、間違ったことを言ったわけでもないのに。

恥ずかしいというか照れるというか、なんとも言い表せない感情と共に顔が真っ赤になる。



(今日、どうしよう・・・)


桃子は帰りにデイリーリーフに寄るか迷った。

会えたら、どんな話をすれば良いのか?


行かないと決めれば、このことで悩む必要もないし。

でも、行かないと明日の朝も顔を真っ赤にして悩みそう。





一方、カズは

(まさか、ドリンクさんに挨拶されるなんて思いもしなかった。もっと愛想よく答えれば良かったかな?)

そのことが頭から離れず、通勤で車を運転している途中もドリンクさんに「こんにちは」って声を掛けられたことばかり考えていた。



今日も会えたらもう少し何かしゃべらないと。

でも、何をしゃべればいいのか?


若い世代の話題はさっぱり分からない。

考えているうちに会社に着いてしまった。







「桃子、もーもーこー」

「茶戸先生!」

耳元で声が。


同期の田中先生の声で眠りの世界に引きずり込まれそうなところを助けられた。

昼休み、デイリーリーフに行くか行かないか考えているうちに眠りに入りそうになっていたみたい。


半分寝ているような気持のいい状態。

シュークリームさんと楽しく話しているところが浮かんでいた。

もう少し、そのままで居たかった。


「どうしたの?体調悪いの?寝不足?」

田中先生が心配している。

「ちょっとね、いろいろ考えているうちに寝そうになってたみたい。体調は大丈夫。」


「ならいいけど。また飲みに行こうよ。話しらスッキリするかもね。」

田中先生は考え事イコール悩みと思ってるみたい。

彼女、恋愛経験豊富だから相談してみるのもいいかも。



結局、授業が終わってもデイリーリーフに行くか行かないかは決められず、でも気が付いたらデイリーリーフに向かって歩き始めていた。




デイリーリーフが視界に入ってきた。

(行くしかないっ!)

桃子はデイリーリーフに向かう足を早めた。

店に着いた時、ちょうどシュークリームさんが車から降りるところだった。



思い切って近づき、

深呼吸をした後、

「こ、こんばんは。」

シュークリームさんは

「あ、こんばんは。近くで仕事してるの?」

と、私の1日の心配をよそに言葉を返してくれた。

「あ、はい。この町の中学校で先生してます。」

普通に答えれた!

「俺はこの近くの会社に務めてる。それにしても先生って大変なんだね。いつも栄養ドリンク飲んでるし。」

どうしよう、もしかして一気に飲んでるところも見られてた?


「毎日やることいっぱいで、疲れて栄養ドリンク飲み始めたら癖になっちゃって。」


「そっか、無理しないようにしなきゃ。」


桃子はシュークリームさんが今日もいつものように買うのか気になり、

「今日もシュークリームですか?」

と、聞いてみた。


「そう。今日も食べたいなって思ってる。」


シュークリームさん、今日もそうなんだ。


「で、先生はいつもの栄養ドリンク?」

シュークリームさんが聞いてきた。


「ハイ!って言いたいところなんだけど、今日はシュークリームにしようかな?」





二人は同じシュークリームを買った。

イートインで二人並んでシュークリームを食べたけど、会話はなかなか続かない。

でも、互いになんとも言えない暖かい気持ちになっていた。



ピロリローン・ピロリローン




桃子の電車の時間に合わせて、二人ともデイリーリーフを後にした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ