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食事も中盤にさしかかっていたとき、

ガラッと扉が開く


「っ悪い!遅くなった!!」

「すみません遅くなってしまって。」


ザ日本男児イケメンとほんわか美人が入ってくる。

LMSのメンバーである悠と、その奥さんである女優の七瀬ななせだ。

その後に続く息子達も、見事な顔面偏差値である。

長男の伊織いおりくんは母親似の美形男子で、次男の利都りつくんは悠をそのまま小さくしたようなそっくり具合である。

それぞれ中1、小3と少し歳の差がある兄弟だ。


(わぁぁぁぁぁぁぁ)


悠が揃ったことで、LMSのメンバーが勢揃いした。ステージでもMeTubeのオフショットでもなく、完全なるプライベートのLMSが、いる。目の前に。


(っっっっありがとうございます…っ!!!!)


心の中で合掌をしながら、見続けるのも怪しいため、食事を再開する。

黙々と食べ進めていると、また視線を感じる。


「…?ほう?はに?(こう?なに?)」

「……べつに。」


「こうきくん!あいちゃん!こうこうにゅうがく、おめでとう!!!」

「おめでとうございます。」

「利都くん、伊織くんありがとう。」

「…ありがとな。」


無邪気に抱きついてくる利都くんの頭を、ぶっきらぼうながらもわしゃわしゃと撫でるこう。

伊織くんも少し羨ましそうに見てるのに気づいたのか、さっとひと撫でをする。


(ーいおりくん、めちゃくちゃ嬉しそう…。)


伊織くんはこうに憧れを抱いているようで、昔から特に慕っていた。大きくなるにつれその表現は顕著でなくなってきているものの、とてもわかりやすいので、大変可愛らしい。

こうもこうで、雑には見えるが可愛がっている様子が伺える。

ワイルド系イケメンとほんわかイケメンのケミに癒しをもらいつつ、また食事へ戻ろうとするが、また視線を感じる。


「…?なに?」

「…いや、体調でも悪いんかよ。」

「え?」

「…全然、食べてないだろ。さっきから。」

「えっ」


ー心がいっぱいでお腹も満たされているからである。


とは流石に言えない。


「あはは、何か今日あんましお腹空いてなくて」

「…それだけかよ」

「うん。ごめんね、心配してくれてありがと。」

「…ふん。」


こちらが嘘をついてないとわかったのか、安心したようにこうは自分の食事を進める。


(…というか、気づいてたんだ…)


あからさまに食べていなかった訳ではなかったはずだが、些細な変化にも気づいてくれたこうに、少し驚く。


(いやでも、昔からこんな感じだったな。そういえば。)


そっけなさが先行しすぎていて忘れかけていたが、こうは昔からこうやって私の些細な変化にも気づいて、心配してくれていた。

昔から変わらないこうの優しさを久々に感じ、嬉しくなってると、目の前に大好物の海老がのせられる。


(ーえ?)


「…やる。」

「えっ。でもこうもこれ好きじゃない?」

「…俺はさっき食べたから良いんだよ。」

「えっ、あ、本当?…ありがとう。」


それからも、私の好物が出てくる度に、こうは私に食べられそうな範囲で取り分けてくれ、代わりにそこまで好きじゃないものは向こうが食べてくれる。


(えええええ。)


突然の優しさの連続攻撃に、戸惑う。

なんか、え?なんで本当に。何でこんな急に優しいんだ?

いや別にいつも優しくないわけじゃないけど、ここまであからさまな優しさは久々すぎて、嬉しいけど、戸惑う。


(ーあ)


--------------------------------------------


「…もー、また愛ちゃんにそんな態度とって。愛想尽かされちゃうよ?」

「…なっ。」

「そうだぞー。大切な人には素直に言葉を伝えないと。」


--------------------------------------------


先ほど、廣瀬家の間で交わされていたやり取りを思い出す。


ーもしかして、


(気にしてた?)


あの、両親からの言葉を?


もう一度、こうの方をみる。


(ええええええええええ)


もしそうだとしたら、流石に可愛すぎないか?え、かわいい、可愛すぎる。え、気にしてたのかな?かわいいっ。


(かわいいいい)


もう可愛いしか語彙力がなくなってしまった私は、気づいたらこうの頭を撫でてしまっていた。


「…!?な、なんだよ。」

「…撫でたくなって」

「はあ!?…っ意味わかんねぇ。」


これ以上したら拗ねてしまうと察した私は、さっと手を引く。


「相変わらずあんた達仲良いんだね」

「仲良しさんだねー」

「ねー」

「…なっ!?」


つむちゃん、琴ちゃん、波瑠ちゃんに言われたこうは耳を赤くし、そっぽを向いてしまう。


(ー残念。)


久々のこうのデレをもう少し堪能したかったが、無理そうだ。

それでも相変わらず、好物が出るとそっと渡してくれるこうに、内心口角が上がりっぱなしになりながらも楽しく食事を進めていくのだった。

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