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(たちばな)さん?」


入学式を終え、新しい教室へ戻ると声をかけられる。


(ーわあ。)


声をかけてくれた方向を見ると、そこには漫画にいそうな美少女がいた。

難易度が高いツインテールも、その子のためにあるかのような似合い具合である。


「…橘さん?ごめんなさい、間違えちゃったかな」

「あっ、ごめんなさい。橘です。」


顔面に気を取られて返事がなかなかできずにいると、きゅるんとした困り顔で再度聞かれる。そのあざとい仕草もとても様になっている。

橘で間違いないと答えた瞬間、机の上に置いてあった手を取られ、ずいっと顔を近づけてくる。


「やっぱり!よかった!!私音神 萌(おとがみ もえ)!」

「た、橘愛です…」

「愛ちゃん!名前も可愛い〜。ねえねえ、よかったら私と友達にならない?」

「へ?」

「私可愛いものが大好きなんだけど、愛ちゃんを一目見た時から絶対絶対友達になるって決めてたの!」

「そ、そうなんだ。」


突然の距離感の近さに驚きつつも、友達になりたいと素直に言う可愛さにまたほっこりとする。


「私でよければ、もちろん。」

「やったぁ嬉しい!これからよろしくね」

「うん、よろしくね。」


お互い握手をしていたら、チャイムが鳴ったため、それぞれの席へ戻る。席へ戻った後もこちらを向いてニコニコと手を振ってくれる様子は大変可愛いらしい。


人見知りではないものの、自分から友達を作ることが苦手な私にとっては、とても有難い話だった。取り敢えずぼっち生活は避けられそうだと安心する。


クラス分け発表の時、私は2組でこうは6組だった。他にも同じ中学だった子もいたがみんな悉くクラスが離れ、1番顔馴染みのあるこうにいたっては、階まで離れてしまったのである。


(大丈夫かなぁ。)


こうの人見知りは相変わらずで、さらにワイルドさも足されたことから益々話しかけづらいオーラができてしまっている。

中学の時は仲良い友達もいたようだが、その子達とは学校も違うため、新しくコミュニケーションを作らなければならない。


(まぁ、作らなきゃいけないわけでもないし、私が心配することでもないんだけど)


中学は3年間同じクラスだったため、こうのいないクラスに違和感を持ちつつも、先生の話へと集中する。


-------------------------------------------------

ー放課後


「あいちゃん!よかったら…」

「橘いる?」


帰り支度をしていると、萌ちゃんが声を掛けてくれる前に、聞き慣れた言葉が廊下から聞こえてくる。


「…こ…廣瀬(ひろせ)くん?」


廊下にはぶすっと不満げな顔をしたこうが立っていた。

突然のイケメンの登場にクラスが少しざわつく。


ぽかんとしてる萌ちゃんにごめんねのジェスチャーをしながら、こうの元へと走ってく。


「どうしたの?」

「………」


更に不満げな顔をされる。

(ーな、なんだ?)


「??」

「…クラスがちげえと一緒に帰んないのかよ。」

「かっ、」


(ーかわいいい!!!)


かわいい、可愛すぎる。母性本能がドバドバと溢れ出てくる。

珍しい。こうがデレた。


「か?」

「かえるよ!荷物持ってくるからちょっと待って」

「おう。」


帰ると言う言葉に満足げな顔をしたこうは、心なしか嬉しそうである。


(ーこうも少なからずはクラス離れたこと寂しく思ってくれてるのかなぁ)


これまで学校を一緒に帰ることはざらにあったけど、クラスの中であからさまに一緒に帰ろうというそぶりはなかった。大体下駄箱とか門の前で待ち合わせが、多かったのだ。


(まぁ待ち合わせというか、こうがいたら一緒に帰るみたいな感じだったけど)


「萌ちゃんごめん!また明日ね」

「…うん」


どこか放心状態の萌ちゃんが気になりつつもバイバイして、こうと合流する。


「おまたせ〜。」

「ん。」


数々の視線が突き刺さる。慣れたものではあるが、こうはこういう目立つこと、とくに自分と一緒にいるところを見られたりするのが嫌なはずだが、今日は特に気にしている様子はない。


「…ごめん。」

「…何が?」

「いや、目立ってるよなぁと思って。校門とか下駄箱とかもうちょい先で待ち合わせにすればよかったね。」

「……別に。俺が迎えにきたんだから愛が気にすることないだろ。」

「そっか。……もしかしてこうも、クラス離れたこと寂しかった?」

「はあ!?」


少しからかいも含めて問うと、こうは声を出して驚いた。よくみると、耳も赤い。

予想外の反応にこちらも驚いて固まってると、決まりが悪そうに、顔を逸らされる。


(ーほ、本当に寂しかったんだ)


ぶつぶつ言っているこうさえ、照れ隠しをしているようで大変可愛らしい。

自分が想像していた以上に、クラスが離れたことはこうにとっても寂しいことだったらしい。

目立つことが嫌いなこうが、わざわざ迎えにきてくれたくらいなのだ。


「…も。ってことは愛もそうなのかよ。」

「え?そりゃそうでしょ。中学3年間同じクラスだったし、すっごい変な感じ。」

「…ふーん。」


質問に「も」がついてることで先ほどの話を肯定していることにはスルーしてあげるとして、あ、これは喜んでいる反応だ、と思う。

本人は表に出しているつもりはないが、伊達に幼馴染を10数年もやってない。

何なら背景にお花がふわふわ飛んでいるところまでみえる。


「あ、でもメリットあるかも。」

「はあ?」

「お互い忘れ物した時。貸しあえるじゃん。」

「…あぁ。てか俺ありきで考えんなよ。ちゃんと持っていけよ荷物は。」

「はあい。」


こちらの思惑がバッチリばれていたことに気まずさを感じつつ、返事をする。


皆さんこんばんは、ぽけです。


「前世ドルオタだった私が転生したら推しの子どもでした。」が2/10と2/15の日間ランキングにランクインしていたみたいで…!


遅くなってしまいましたが、本当にありがとうございます!

皆さんの応援が励みとなっております。

今後も更新は不定期となってしまいますが、応援してくださると嬉しいです!


今後ともよろしくお願いします。

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