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(ーなんて、可愛い時期もあったのになぁ。)


そう思いながら横にいる存在を見ていると、


「…あ?何だよ。」


何とも治安の悪い返事が返ってくる。


「…何でもありませーん。」


時は流れ、あれから10年ちょっと。(経ちすぎ)

今日から私達は、高校生になる。


あのプリティーキューティーこーくんはどこへいったのやら、今は治安悪めのイケメンへと立派に(?)成長したこーく…いやこうき。

「あいちゃんあいちゃん」とワンちゃんのようにひっつき回ってくれていたあの頃が遠い過去のようである。


(いつからワイルド系に方向転換したんだ…。)


呼び方もあいちゃんから愛に代わり、ついに苗字の橘呼びになってしまった時は、反抗期を迎えた息子を持つ母親のような気持ちになり、あとから部屋でちょっと泣いた。

2人の時は愛とは呼んでくれることが多いけど。


「でもまさか、こうと一緒の高校になるとは思わなかった。」

「…悪ぃかよ。」

「ううん、だってこう頭いいじゃん。もっと上のところ行くと思ってたなぁ。」

「…家からちけえし。」

「なるほどねぇ。」


高校入学式と掲げられた看板の前でピースをしながら、笑顔は崩さず会話を続ける2人。

写真を撮りまくる両親の影響で、顔を崩さずとも会話をできるという何ともいえない特技を身につけてしまった。

周囲の好奇の目に晒されるのも慣れているが、流石に人が増えすぎているような気がする。


(まぁ写真を撮りすぎてるというよりかは、顔面偏差値の高さが原因だろうけど)


ワイルド系に転向したこうだが、外見もそのワイルドさがとても似合うイケメンに成長した。目尻が少し跳ねた大きい目に、しゅっとした鼻。横から見るEラインはとても美しい。そして稀に見る笑顔から覗く八重歯はとても可愛らしく、笑うときゅっと目が小さくなるのもギャップのひとつである。


母親達は一般人らしからぬ美貌の持ち主だし、父親達も一応変装はしているものの、そのスタイルの良さとマスクから見える綺麗な目は全然その美形を隠しきれていない。

特に父親は声も特徴的なため、恐らくファンであろう人達が「え、えもしかして翔…?」とざわついている様子もみえる。


「…おい親父、人が集まってる。」

「…あ、そうだな。ほら奈子なこ、カメラと涙しまおっか。…ふふ、まだ式始まってないよ?」

「…だ、だっで……。」


「…ほら翔、もういくよ。」

「…う゛う゛う゛。あと1枚だけ…!」

「…もう。」


既に号泣している妻の涙をそっと拭き取りながら愛おしそうに見つめる湊と、号泣しながらパシャパシャ写真を撮る翔と、そんな旦那の姿に困るそぶりを見せながらも愛おしいという感情が見え見えな母親。


(朝からご馳走様です。)


時が経っても変わらずラブラブな夫婦のやり取りに幸せな胃もたれを感じつつ、やっぱりよく周りが見えてるよなぁと改めてこうの視界の広さに感心する。

ワイルドに転向し、言葉は荒々しいけど、その優しい所と周りをよく見ている所は相変わらずである。


「…んな生暖かい目でこっちみんな。」

「…相変わらずこうはよく見えてるなぁと思って。」

「何だよそれ。」

「ふふ。」


漸く撮影タイムから解放された私たちは、入学式の会場へと向かう。

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