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「……ん、」

「……あ、」

「………」 

「おはよう、こう」


ー天使がいる。


「……はよう。」

「ふふ、よく眠れた?…熱も、だいぶ下がったみたいだね。よかった。」


そう言って笑う天使は、俺の頭をそっと撫でてくれる。


「……ん、」


そのまま撫でられる心地よさに身を任せていた俺だが、ふと眠る前の数々の醜態を思い出す。


「……っ!!!!!!!!!」


一気に目が覚め、壁の方へと寄ると、俺の力に引っ張られた愛は、そのままぽすんと、ベッドにダイブする。


ーどうやら、手を繋いでいたらしい。


「〜〜〜〜〜〜っ!!!!!!」


その瞬間、掴んでいた手をパッと離し、布団で自分を覆い隠す。

さらに恥ずかしさが限界突破した俺は、また涙が込み上げてくる。


布団の山へと化した俺を気にもせず、愛は話しかける。


「体調はどう?」

「……っ」


愛は、まるで、何事もなかったかのように振る舞う。


ー俺にとっては、一世一代の大暴露だったのに、


今まで通り接してほしかったはずなのに、それを寂しいと感じる身勝手な感情に支配される。


「…こう?」

「〜〜〜っ」


それとも、彼女は態度の通り、全く何も思わなかったのだろうか。

そう思うと、寂しさと悲しさと切なさが襲ってきて、また涙が溢れてくる。


「…何とも、」

「え?」

「何とも思わなかったのかよ、」

「えっ?」


愛の方へと顔を出した俺は、何が、とも言えずにただただじっと見つめる。

彼女の反応を、1秒たりとも逃したくない。


その様子を見た彼女は、へにゃりと笑って、また俺の方へと手を伸ばす。

特に何も言わずにされるがままにしていると、優しく涙が拭われる感触がした。


(っ)


彼女の見たことない笑顔に、心臓が高鳴る。


「…や、やっぱ何でもない。」

「…そーなの?」


蜂蜜を溶かしたようにあまぁい声で、彼女が問いかける。

何だそれ、そんな声も、初めて聞いた。


彼女の初めて見る姿に困惑しながらも、心臓はずっとドキドキしっぱなしだ。


「ふふ、」

「…?」

「かあわいね、こーくん」

「!!!!!!!」


ぼっと顔に熱が集まる。

とろけた笑顔にとろけた声で、昔の呼び方で、彼女は俺に、可愛いと言った。


「な、なんだよ!!!」

「ふふ」


思わずツンケンした態度を取ってしまっても、気にする様子もなくニコニコと、こちらを見ている。


「ねぇ、こーくん」

「っ」

「私はどんなこーくんも大好きだけど、」

「……っ」

「今日みたいに素直に甘えてくれる方が、私は好きだな」


(ー好き)


「すき…?」

「うん。大好き。」

「〜〜〜〜〜〜っ!」


「好き」だけじゃなく、「大好き」という言葉に心臓をぶち抜かれて放心状態の俺に追い打ちをかけるように、優しくよしよしと撫でられる。

あからさまに甘やかされている雰囲気が恥ずかしくて仕方がないが、「もっと」と思ってしまう自分もいる。


「…愛ちゃん、」

「ん?」


撫でてくれている彼女の手をそっと取り、そのまま優しく口付ける。




「俺も、大好き」



ニコッと微笑むと、顔を真っ赤にした彼女が、驚いた様子でこちらを見ていた。

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