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それからの俺は、人見知りしていた頃が嘘のように愛に懐き、ベッタリだった。
「愛ちゃん今日もお姫様みたいで素敵だね」
「かみのけ、いつもと違うね。かわいいね。」
「愛ちゃん大好き!!!!」
素直に愛情表現をする親の元に育った俺は、大好きやかわいい、素敵等々思った褒め言葉をそのまま表現することに抵抗がなかった。
いや寧ろ、言葉にするのが正しいと思っていた。
実際、俺が色々言う度に、彼女は毎回驚くものの、その後すぐにとても照れたような嬉しそうな笑顔を見せてくれるのだ。
その笑顔が、大好きだった。
彼女に喜んでもらうために、彼女のその笑顔を見るために、俺はもっともっと、彼女を喜ばせられる人間になろうと、日々奮闘していた。
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あれは、小学6年生の時だったと思う。
「ねーねー、愛ちゃんはさ、あのドラマみてる?つきだん!」
「愛」という言葉が耳に入り、その瞬間、全意識をそちらへ集中させる。
「つきだん…あ、月より男子?」
「そーそー!そんでさ、愛ちゃんは西園寺か堀川どっち派!?」
「ええ…」
彼女の反応を聞かずに、自分は西園寺派で俺様なところがキュンとしちゃうとか話し始め、周りもどんどん同調するので、彼女がどちら派なのか全然わからない。
(…うーん、愛ちゃんは堀川なのかなぁ)
あの優しくてほんわかした雰囲気の堀川を思い浮かべる。
西園寺は口調が荒く、ヒロインに対しても当たりが強いので、自分から見ると西園寺よりも堀川の方が、断然いい男だと思う。
昔、優しくて綺麗な心のこうくんが好きと言ってくれたことを思い出し、懐かしんでいると、
「わ、わたしもかなぁ」
(え?)
衝撃な言葉が耳に入る。
「えー!やっぱりそうだよねー!?あの強引な感じとかきゅんきゅんしちゃうよね!」
「わかるわかる、亜美も『俺についてこい』とか言われたあい!!!!」
「…ふふ、」
(……愛ちゃん、俺様系が好きなの…?)
彼女のそばにいて十年ちょっと、衝撃の事実が発覚した。
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あの衝撃の事件から、暫くは落ち込みに落ち込んだ。周りがわかりやすく心配するくらい、落ち込んで寝れない日々が続いた。
ー俺様キャラなんて、今の僕とは大違いだ。
あれから俺様キャラについて調べまくった所、
共通していた点はこうだった。
①口調が荒い
②自分勝手
③ツンデレだけどツンの割合は9
ー無理だ、僕には無理すぎる。彼女にそんな態度を取る日を想像しただけで、血反吐を吐きそうだ。
(でも、愛ちゃんはそっちの方が好きなんだもんね……)
「…おとーさん」
「んー?」
「もしも自分の大好きで大切な人がさ、自分の今の姿とは全然違う人が好きって言ったら、おとーさんならどうする?」
「…んー、そうだなぁ。ありのままの自分で勝負する、ていうのが理想だけど、」
「うん」
「父さんなら好きな人のタイプに合わせちゃうかもなぁ。自分にできる範囲だったらな。」
「……そっか、」
長年の片想いの末、かーさんと結ばれたとーさんの言葉は、自分にとってとても沁みるものだった。
(…よし、)
「…ありがとうとーさん!ぼ…俺、今日から俺様になる!」
「うん、がんば……ん????」
父さんがあわあわして何かを言い始めてるが、それよりも今後のプランを考えて意気込む俺には、全く耳に入らなかった。
父親(湊)は、完全に外見の好みだと思って答えたので、息子の急なるキャラチェンジ宣言に大変動揺してます。
その後、どんどん息子が俺様(仮)キャラへと変貌を遂げるにつれ、罪悪感とか諸々で胃がキリキリしてました。




