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「…改めて待っててくれてありがとね。」
「…ん。」
家の前まで着き、改めてこうにお礼を伝える。
こうも、最初の不機嫌さはだいぶなくなってきていた。
「じゃあ、おやすみ。」
「…おう」
そう伝え、家の中に入ろうとすると、
「……あい」
「ん?」
「……………あいつと、今日どこ行った?」
「あ、りお?タイゼだよ。」
「…タイゼ…」
「うん、あそこの。駅近のとこ」
「……………ふーん」
「…こう?」
(あれ、また不機嫌だ。いや、不機嫌というより、)
「……もしかして、拗ねてる?」
「っはぁ!?」
「勘違いだったかな、ごめん。
…でも、放課後迎えにきてくれたのも珍しいし、りおも廣瀬めちゃ寂しそうだったなって言ってたから、」
「っな、なんで、」
拗ねていたのはやっぱり合っていたようで、耳まで真っ赤にして明らかにワタワタとし始めた。
「…ごめんね。こうをお誘いしたかったんだけど、今日は再会できた初日だったから…。」
「…さっきも顔馴染みとか言ってたけど、あんなやついたか?」
「うーん、そうだね、結構昔の知り合いだったから…」
(昔というか前世というか…)
「……あいつ、」
「ん?」
「瀬田のやつ、愛のこと呼び捨てで呼んでた。…愛も、瀬田のこと呼び捨てで呼んでた。」
「え、あ、うん。そうだね?」
「…………」
(……凄いジト目で見てくるんだけど…)
何だ、何なんだ。でもこれは絶対こうの口からは出ない気がする。こちらに言わせようとしている気がする。
「……こうも、りおのこと呼び捨てでよんだら?」
「………」
違うんだ。
「……りおと、もっと仲良くなりたいんだ?」
「………」
あ、思ってそうだけど、正解ではない。
「……えっと、りおの連絡先教えよっか?」
「は?愛持ってんの?」
あ、ミスミス。大ミス。
(えー、何だろ。りおに関してではなさそう。いやりお関連ではあるんだろうけど………ん?)
もしかして、
「…こうって、」
「!」
「こうって、私も人前で呼んで、いい?」
「ん。」
「そっか。」
「…しゃーなしな。」
「ふふ、しゃーなしね。…じゃあさ、」
「?」
「こうも私のこと愛って呼んでよ。
私、こうに名前で呼ばれないの、実はちょっと寂しかったんだよね」
「……え。」
「でも今日さ、りおの前では名前で呼んでくれたでしょ?あれ無意識だったのかもしれないけど、嬉しかった。」
「…そーかよ」
「うん。」
ぷいっとそっぽをむいてしまっているが、こうのお尻からはしっぽがぶんぶんと振っているような幻覚さえ見えるくらい、喜んでいるのがわかる。
(可愛いなぁ。)
普段は高貴な猫なこうだが、たまにみえる子犬のような可愛さが垣間見えるとキュンとしてしまう。母性本能をくすぐられるような、そんな可愛さがある。
「じゃあ、おやすみこう。また明日ね」
「おう、じゃあな。」
もう一度おやすみの挨拶をした私達は、今度こそ、それぞれの家へと帰っていった。




