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おはよー
クラスの中で飛び交う挨拶に返しながらも、自分の席へ着くと、萌ちゃんがずんずんと近づいていく様子がみえた。
「おはよう萌ちゃん」
「おはよう…じゃなくて!昨日の!どういうこと!?」
「昨日の…?」
「廣瀬くんと帰ってたじゃない!!私昨日愛ちゃんと一緒に帰ろって誘おうとしてたのに〜。」
「え!そうなの?ごめんね、また一緒に帰ろ。」
むーっとジト目で見てくる萌ちゃんを宥めながら、昨日一緒に帰ろうとしてくれてたんだと嬉しくなる。
「…2人ってどういう関係なの?」
萌のその一言で、クラス中に緊張が走ったことがわかる。
「…幼馴染だよ。」
付き合っていないことを暗に伝えると、クラスにまたざわつきが戻る。心なしか、みんな安堵している様子でもある。
「…なぁんだ幼馴染かぁ!折角美形カップルが愛でれると思ったのにぃ。」
「え?」
「2人が並んでる時お似合いすぎてカップルなのかな、カップルだったらいいなって思ってたもん。だからちょっと期待してたのに。」
萌ちゃんの意外な反応に、少しびっくりする。大抵こういう時は、相手がこうに好意を持っており、探りを入れるために質問されることがほとんどだったからだ。
「…期待に添えずごめん?」
「ふふ!何それ!こっちが勝手に期待してたんだから謝らなくていいのに!てかこちらこそ、ごめんね。急にずかずか聞いちゃって」
「え?それは全然。よく聞かれるし」
「…やっぱ聞かれるんだ。」
「う、うん。」
「やっぱ気になるよね〜!美男美女の恋愛模様は」
どこか他人事のように話す萌ちゃんも、貴方もその美男美女の美女に該当するのでは…?と思いながら、当初抱いた印象よりもあっけらかんとした性格に拍子抜けする。
「…でも幼馴染なら話は早い!!クラスいこ?」
「え?」
「廣瀬くんのクラス」
「えぇ…」
「えぇじゃなくて、お願い!廣瀬くん6組だよね?6組にはさ、LMSの悠に似てるって話題の瀬田くんもいるのっ。」
「…へぇ。」
LMSのメンバーに似てるって、相当イケメンなんだろうなぁ。…というか萌ちゃん、めちゃくちゃ情報通だな…。何で入学早々そんな情報が飛び込んでくるんだろ…。
「系統違いのイケメン揃いのクラスなんて見たくない?見たいじゃん!こういうのは早いに越したことないんだから〜!!!」
「こういうの…?」
私の肩を掴んでぐわんぐわん揺らす萌ちゃんは、可愛らしいツインテールも一緒に揺れている。こういうのが何かは全くわからないが、取り敢えずこれはついていくというまで離してくれなさそうだ。
(…こうが嫌がるかもだけどなぁ。)
こうの嫌がる様子がありありと思い浮かぶので、とても腰が重いが可愛い子のお願いなら仕方ない。この様子だと、クラスを見に行って終わる感じだろうし。
「…んー、わかった。じゃあお昼放課の時でいい?」
「えっ。いいの!やったぁ!愛ちゃん大好き!」
こちらが承諾した瞬間、顔をぱぁぁっと輝かせた萌ちゃんは、そのままハグをして喜びを全身で表現してくれる。
こんなに喜んでくれるなら、こうの冷たい視線も甘んじて受け入れようと心に決めながら、高校生活最初の授業が始まった。
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昼放課
「愛ちゃんいこっ!」
お弁当を早めに食べ終えた私達は、早速約束通りこう達のいる6組へと向かった。
私の片腕に絡まって歩く萌ちゃんは、音符が見えてきそうなほどルンルンだ。
(そういえば6組は、明里ちゃんもいたっけ。)
明里ちゃんは中学の頃のクラスメイトで、文字通り明るく、誰とでも仲良くなれるタイプだ。明里ちゃんの周りには、いつも沢山の友達がいた。
明里ちゃんにも会えるかと思うと楽しみになってきた私は、大人しく萌ちゃんについていく。
「……あっ!いた、廣瀬くんだ。」
色々考えてる内に6組までいつの間にか移動していたらしい私達は、早速萌ちゃんがこうのことを見つける。
萌ちゃんの視線の先を見ると、教室内でクラスメイトと話すこうがいた。
(ー仲良くやれてそうだなぁ。)
うんうんと、誰目線かわからない感想を持っていると、萌ちゃんは「やっぱり超かっこいい…。芸能事務所に何度もスカウトされているだけある…」と、これまたどこから仕入れた情報なのかわからない情報を呟いてた。
「…あれぇ。いない。」
廊下から6組の様子を見ている萌ちゃんは、キョロキョロと教室内を覗くが、どうやらもう1人のお目当てのセタくんはいないらしい。
「また次の放課の時こよっか。」
「ええ〜残念。」
「あれっ!愛じゃん〜!何してるの?」
「明里ちゃん!えっとね…」
「瀬田くんって人を探してるんですけどぉ」
「あ、瀬田?おーい!瀬田!!!」
まさか呼ばれるとは思っていなかったため、ビクッとなってしまった。隣いる萌ちゃんも、凄い焦っている様子がわかる。
瀬田と呼ばれた男の子が、振り向く。
俺?と言いながら、こちらにきてくれた男の子は、確かにとてもかっこよかった。
黒髪短髪で、ザ日本男児!という感じのイケメンである。日に焼けた姿も美しい。
確かに、LMSの悠に似ている気が…。
目が合った瞬間、驚きで固まる。
「…りお?」
「…すっ…!!!」
咄嗟にりおの口を押さえた私は、人通りの少ない場所へ急いで移動したのだった。




