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食事も終盤にさしかかり、そろそろお開きの雰囲気になっていると、
「あ。碧からだ。ーもしもし?あ、今?うん、まだみんないるけど。ーうん、うん。わかった。じゃあ気をつけて。」
「碧くん、何だって?」
「仕事終わって、場所も近いしこっち向かってくれてるみたい。」
「え!!!そうなの?」
「愛ちゃんと煌己くんのお祝い、直接言いたいみたいだし。」
「碧は相変わらずイケメンだなー。」
(ーあおくんに会える…!?!!)
碧くんは今年社会人になった、界の息子だ。界と母親のいいとこ取りのような端正な顔立ちをしており、中身も実年齢よりも落ち着いていて大人っぽい。どちらかというとこれまで可愛い系を推してきた私にとって、新たな扉を開かされた人物である。
(ここ最近、会えてなかったもんなぁ。)
こちらは高校受験、あちらは卒論や就活等で、ここ1.2年は会えてなかったはずだ。
(楽しみだなぁ)
LMSメンバーの集結を見れただけでなく、先ほどのこうの優しさといい、あおくんに会えることといい、今日はいい事づくしだなあと内心ニコニコしてると、
「……んなに嬉しいのかよ」
「へ?」
(やば、顔に出てた?)
「愛、昔っからあお兄のこと好きだったもんな。」
「すっ、好きっていうか…」
ー推しっていうか…。
こちらが言いづらそうにするのを照れていると勘違いしたのだろう。冷たい視線を向けた後、そっぽを向いてしまったこうは、親達のいる方へ行ってしまった。
(ー絶対勘違いされた…)
「…まだまだ甘ちゃんだねこうきは。」
「つむちゃん…。あまちゃんって…?」
「んー、何でもない。ま、愛のそれは好きっていうかー」
「?」
「推し?みたいな感じよね。」
「!?」
(バレてる!?)
「ははっ。図星〜って顔。大丈夫大丈夫、多分私しか気づいてないから。まぁあの兄貴が推しって私からするとまじでわかんないけど」
「…それは、つむちゃんが妹だからじゃない?」
「まぁそっか。…多分兄貴、仕事帰りだからスーツ姿だよ。」
「!!!!」
「よかったね。」
コソッと終えてくれた後頭をぽんとして立ち去ったつむちゃんには、何でもお見通しのようで、スーツ姿と聞いて歓喜の舞を乱舞する。もちろん心の中で。
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「ーすみません遅くなりました。」
(!!!)
最後のデザートまで食べ終え、帰り支度を始めている人もいる中、凛とした声が入口から聞こえてくる。
(あおくんだ!……!!!)
声のする方へ顔を向けると、そこにはこの世のかっこよさを凝縮したような青年が立っていた。顔は小さいのに目のパーツは大きく、脚が身体の8割を占めてるのかと思うほどスタイルもいい。
しかも、つむちゃんの言うとおりスーツ姿だ。
(ーSSR姿っ!ありがとうございますっ)
「…愛ちゃん?」
「ひゃい!」
かっこよさに思わず目を背けてしまっていたため、こちらに近づいてきてることに全く気づかず、思ったよりも近い距離で声をかけられ、変な声が出てしまった。
振り返ると視界全部をイケメンが占めて更にびっくりする。
「はは、ごめん、びっくりさせちゃったね。」
「あ、いや全然。ごめんなさい、ぼーっとしちゃってて。」
「全然、愛ちゃんが謝ることじゃないよ。…改めて高校入学おめでとう。」
「あ、ありがとうございます。」
側から見ると挙動不審になってるであろう私の姿にも一切動じず、普段通りに接してくれる神さ…いや、あおくん。
推しからの祝福の言葉に胸がいっぱいになっていると、
「…それで、よかったらなんだけど、これ。」
「え?」
「入学のお祝いにと思って。…好みじゃなかったらごめんね。」
そう照れながら渡してくれたのは、一輪の花とそれを抱える可愛らしい熊のぬいぐるみだった。
「…わぁ!かわいい……!」
「…っ。…喜んでもらえたみたいでよかった。」
「うんっ!すっごい可愛いしすっごい嬉しい!ありがとうあおくん!!」
「いえいえ。…あ、そういえば」
「…?」
「言うの遅くなっちゃったけど…。今日の服装、とっても似合ってる。会わない間に、更に綺麗になったね。」
「……っありがと、ございます。」
いえいえと言いながらニコニコ頭を撫でてくれるあおくんに更に追い討ちをかけられ、顔の熱があがっていくのが自分でもわかる。
顔を見るのも恥ずかしく、あおくんがくれた熊のぬいぐるみと睨めっこしながら、
ー家宝にしよう。
そう決心する愛だった。
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あれから、どこの高校へ行くのか、あおくんは今どこで働いているのか等近況を話せた私は大満足し、みんなと別れ、廣瀬家と共に帰路へ着く。
「………」
「………」
…また視線を感じる。
「…な、なに?」
「………」
こちらが問いかけると、こうは、眉間のしわを更に深め、見事な顰めっ面になる。
(何でこんな不機嫌なんだ…?)
……いや、不機嫌というかこれは、
「…何か気になることでもあるの?」
「………」
「…言いたいこととか。」
「っ……」
(あ、すっごい葛藤してる。)
顰めっ面の中にもこんなに種類があるんだなあと呑気にこうの顔面を観察する。
どれだけ眉間にしわが寄ろうが崩れないその顔面偏差値の高さに、改めて感心する。
「〜〜〜〜」
「え?」
変なことを考えている内に、こうが言った台詞を、完全に聞き逃してしまった。
「っ」
「ごめんこう、ぼーっとしてて聞き逃しちゃった。」
「うっせ!!!」
「えぇ…」
何故か耳を赤くしキレてしまったこうに、困惑していると、
「可愛いって」
「はぁ!?
え??」
「こう、愛ちゃんに可愛いって伝えたかったみたい。」
「ーばっ!!!!
ーえっ。」
私達の会話を聞いていた奈子ちゃんは、くすくすと笑いながらこうが言っていたことを教えてくれた。
馬鹿と言いかけたこうだが、私がこうの方を見ていると気づくや否や、向こうを向いてしまった。顔が見れない。
…というか、この様子的に奈子ちゃんの言ったことは本当のようだ。
(ええええええ)
有難いことに、この顔面のおかげで普段から綺麗という言葉は言われ慣れているし、実際可愛いか綺麗かの系統で分けたら綺麗系に該当するだろう。
だから、何というか、
(ー可愛いって、久々に言われた。)
しかも、あのこうにだ。
恥ずかしさと照れがじわじわときた私も、こうの方を見れずにあおくんがくれた熊のぬいぐるみへ視線を落とす。
「…あ、ありがと…」
「………」
「………」
「………」
「……こうも、かっこいいよ。」
「!?」
「…今日」
私のかっこいいという言葉に、こちらをばっと向いたこうは、驚きで目がまんまるになっている。
(…何だこの空気!恥ずかしすぎる…!)
恥ずかしさが限界突破し、思わず今日と付け足してしまった。完全なる照れ隠しだ。
でもやっぱ、かっこいいのは別に今日に始まったことではないし、言ったのは余計だったかなぁとぐるぐる考えていると、
「……ふーん。」
こちらに聞こえるか聞こえないかギリギリの音量で、そう言った。
ちらりとこうの表情を盗み見ると、口角が少し上がっており、喜んでくれているのがわかる。
(か、かわいい…)
何ともむず痒い空気にギリギリで耐えながらも、愛は、こうが「可愛い」と言ってくれたという事実を噛み締めていた。
2/21,2/22の日間ランクインしました!!!
ありがとうございます( ; ; )
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