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幸せな思い出  作者: 厚揚げさん
ネリネ
7/43

1-7

天高くそびえ立つ闘技場の全てを見通せる

頂上の部屋。

秋風が吹き込むその部屋は、

秋にしては暖かな日差しとは真逆の様相だった。


「さすがの貴殿も派手にやりすぎたのでは?

あの青年が世間で何と呼ばれるか知っているか?

"ネリネの輝き"だ。

民は殺人を、娯楽の上に成り立つ犠牲を、

全ての救いとして見ている。」


多くの部下を従えた王国騎士団長は、

多数の剣を向けられても皮肉げに笑う支配人を見て

苛立ちを隠せない。


「そうですね。

ここまであの化け物が育つとは思わなかったな。

ああ、昨日の新聞は傑作でしたね。」


「ノクティアでは、王よりも“勝利”を人々が信じるようになる。

王よりも、ネリネの輝きが“救い”となる。」


でしたっけ?と支配人は一層増した殺気をうけても

気にする素振りもみせずネコを撫で続ける。


「貴殿は“娯楽”の名で、王に並ぶ偶像を育てた。」

「民は元から救いを欲している。

それを王が与えなかっただけです。」

「救いは、“闇”からは生まれない。」


「では、王は“どこ”で彼らを救うのです?

結局は貴方達もその《ネリネの輝き》を求めに来たのでしょう。」


くすくすと心底バカにするように笑う支配人。


「いやはや、それにしても皮肉ですよね。

彼はそもそも“ノクティア”を見ていない。

民を救おうなんて微塵も思っていない。

見ているのは、

地下にいる鳴かないカナリヤだけ。

だからこそ王よりも貴方方にとって危険なんですよ。」


「……鳴かないカナリヤ?」


ええ。

支配人は猫なで声で言う。


「そうですね。

こんなにも大輪になるまで《ネリネの円環》を

“平和な王”が見なかったことへの、

ささやかなお礼です。」


「鳴かないカナリヤが

化け物を封じ込める唯一のカギですよ。

使い方を間違えないことを私は祈っています。」


さーて、ネコちゃんともここでお別れですね。

さあ好きに遊びなさい。


これで話は終わったとばかりに、

ネコをその腕から下ろした支配人はその後は一言も喋らなかった。


「……連れてけ。」


静かに騎士団員と支配人達が去っていくのを、じっとネコだけが見つめていた。


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