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その後は誰も何も話さず、
セオドアによって二人は客間に通された。
かつて二人が身を寄せ合っていた地下通路の、
何倍も、何十倍もある広い部屋。
眩い光を溢れさす、集合灯。
皮肉にも、
その集合灯はネリネの花を模したものだった。
その電灯に一切目を向けず、
青年はただ自身の"光"を抱きしめ続ける。
ーーアルド、この部屋もすごく綺麗だね。
ーーベッドも広いよ。
ーー今日はもう寝よう?
緩く彼の背中を撫でながら、話す彼女。
柔らかな寝具に身を委ねても、
隣の"光"が穏やかな寝息をたてはじめても、
抱きしめる腕の強さは変わらなかった。
ただ、この世界からどうすれば逃げられるのか。
それだけを考え続けていた。




