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4-6

数日後に王都から届いた書簡は、

思っていたよりもずっと短く、

そして冷たかった。


「《ネリネの円環》、

最後の闘技者アルドの存在は、

すでに周辺諸国に漏れている。

このまま砦に留め置けば、

誘拐、暗殺、奪取の標的となる危険性は高い。


王都にて直接管理する。

それが、最も安全な処置である。」


紙を置いたセオドアの指が、

わずかに震えていた。


「……要するに。」


彼は言葉を選びながら続ける。


「ここにいる限り、

君は“狙われ続ける存在”だということだ、

アルド。」


アルドは黙ったまま、

ミアの肩に置いた手を離さない。


「王都に移せば、

王家直属の護衛と結界の中で管理できる。

砦よりも、はるかに……安全だと、

そう書いてある。」


沈黙。


ミアは、ゆっくりと指を動かした。


ーーアルドが、危ないってこと?


セオドアは、はっきりと頷いた。


「そうだ。」


「ここにいる限り、

君は“獲物”として見られ続ける。」


アルドの指が、わずかに強くミアを抱いた。


「……行かない。」


低い声だった。


「王家の檻になど入らない。」


ミアは、一瞬だけ目を閉じる。


それから、

アルドの胸に手を当てたまま、

ゆっくりと顔を上げた。


ーーねえ、アルド。


彼女は、真っ直ぐに彼を見た。


ーーアルドが危ないなら、

ーー私も一緒に行く。


アルドの瞳が揺れる。


ーー私が行けない場所に、

ーーアルドが無理に行く意味はないって言ったよね。


ーーでもね。


ミアの指は、彼の胸の中央をなぞる。


ーーあなたがいなくなる場所に、

ーー私が残る意味も、ないよ。


ーー私は、

ーーあなたの隣にいたいだけ。


ーーそれが砦でも、

ーー王都でも、

ーー檻の中でも。


ーーアルドが生きている場所に、

ーー私は行く。


アルドは、言葉を失った。


ミアは、静かに微笑む。


ーー王都に行こう。

ーーアルドが危ないなら、

ーー私も一緒に行く。


その言葉は、

希望ではなく、

祈りでもなく、

“選択”だった。

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