表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/43

2-7


近くで、低い鳥の声がひとつ鳴いた。

夜に鳴く鳥といえば、梟というヤツだろうか。


アルドはなにがあっても自身が庇える位置と確信したベッドの壁際にミアを寝かし、

その横で片手で緩く彼女を抱きしめた。

もう片方の手はいつでも剣に届く位置に置きながらぼんやりと地下の薄暗い電灯の下でミアと共に読んだ動物図鑑を思い出していた。


地下で生活していても

時々遠くから動物の声と思われるものが

聞こえる時はあった。

ミアに出会うまで、

動物の声なんて気にしたこともなかった。

だが、

あの地下で低い鐘の音が響くまで、

少女に手当てをされながら読む

ミアの話の中には、

よく動物のことが出てきた。

手当てが終わると決まって地面に

少女が想像する声の主の絵が描かれるから、

何回目かの勝利の時動物の図鑑を願った。

少女は1枚ずつ頁をめくる度に瞳を輝かしていたのを覚えている。

先程描いた絵は多分馬だろう。

そう思うと絵の完成度も変わっていないな。


動物がどんな声で鳴こうが、

闘技後に観客のやかましい声が聞こえようが、

心底どうでもよかった。

ただ"ルミ"との時間が終わる

あの低い鐘の音がいつ響いてくるかだけ

気になっていた。


ここでは、どんな音が“ルミ”との時間を

終わらせるのだろう。

監視のためか扉の向こうと、

天井の闇に潜む男たちの押し殺した息。

あれはきっと鐘よりもずっと厄介だ。

ああ、音だけじゃない。

ここでは"ルミ"の言葉を読むヤツが

何人かいる。


今は”ルミ”が楽しそうに笑っているからいい。

だが、もしその笑みが崩れる時が来たなら――

とっとと終わらせて、

また二人だけの世界に戻ればいい。

別に外じゃなくてもいいだけだ。

地下に戻ることになっても、

俺には変わらない光がある。


心地よい寝息を隣に感じながら、

どこからともなくアルドは考えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ