表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/43

2-3

馬車は、やがて石造りの門の前で止まった。

高く積まれた灰色の壁。

風を遮るようにそびえる塔。

闘技場の喧騒とはまるで違う、

張り詰めた静けさがそこにはあった。


扉が開かれると、冷えた夜気が流れ込む。


ミアは一瞬、肩をすくめた。

地下の湿った空気とも、闘技場の熱とも違う、

澄んだ“外の冷たさ”だった。


「ここが、騎士団の砦だ。」


セオドアの声は、馬車の外でわずかに反響する。


アルドは先に降り、周囲を一瞥した。

松明の光。整列する兵士。

どこにも刃は向けられていない。

それを確認してから、ミアへと手を伸ばす。


――ここ、人たくさん。


指が小さく動く。


「……ああ。

だが、もう誰もお前を傷つけない。」


セオドアの言葉に、

ミアはきょとんとした顔をしてから

そっと笑った。


--ありがとう。

--でも、地下でも殴られたのは小さい時だけだよ。

--アルドが守ってくれてたから。


アルドは答えなかった。

ただ、彼女が冷たい石に足を取られぬよう、

半歩前に出た。


ここは地下ではない。

闘技場でもない。


それでも

彼の腕が、彼女に触れる距離だけは、

まだ失われていなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ