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石の階段は、いつの間にか湿り気を失っていた。
足音が、地下よりも軽く響く。
ミアは、アルドの清潔な外套の裾を握ったまま、
一段ずつ進んでいく。
空気が違う。
冷たいのに、どこか柔らかい。
鼻の奥に、知らない匂いが触れる。
――そと?
指を小さく動かすとアルドは頷く。
階段の先に、淡い白が滲んでいる。
地下の古びた灯りとは違う。
炎でも、ランタンでもない。
「ミアが思うよりも眩しい。
少し目を細めておけ。」
そっと囁く声は集団の中で優しく響く。
たとえ、
光があまりに眩しくて世界が白く溶けてしまっても、
その声がそばにある限り、
私はきっと安心できると思う。




