赤毛の少女
赤を基調とした部屋に3人の人影
1人は細長い男、もう1人は小さくも 子供と似て非なる女、そして最後に灰色の布を被り容姿が分からない者
「こんなのに仕事させるのでしょうか?」
剽軽な男は心配そうに尋ねる
「何が言いたい」
小柄な体躯の女はさも不服に答える
「本当にこんな方に仕事が出来るとお考えなのでしょうかと気になりましたもので?」
「まぁ、すぐ出来るようになるさ、私が見込んだ奴だぞ」
「見込んだって、適当に連れてきただなんじゃ…」
「そうとも言うな、だがこいつも私に選ばれる気質があったって事だよ」
「いや、貴方様がよろしいなら問題ないのですが……奴隷ですよねその方…。今日の会議で本当にその方を出すおつもりでしょうか?」
「本気だよ、こいつ初めにあった時私になんて言ったと思う?」
「なんと仰ったのでしょう」
「それはなぁ…」
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快活な大通りを横に入り路地裏を抜けた先にそれはある
何十人もの観衆、それらを指揮するように壇上に登る旗振り役
そして並ぶ商品、横一列に立ち並ぶ商品は灰色の布に覆われそれぞれに手枷が嵌めてある
ここは奴隷市場
「皆様大変長らくお待たせ致しました。今日は吉日大変珍しい商品がございます!」
観衆は待ってましたとばかりに盛り上がる
「今回の目玉はこの品!光り輝くブロンドの髪に蒼の瞳、皆様も良く知る蒼天族!なかなかお目にかかれないブランド物ですよ!」
観衆は奴隷商人の言葉にどよめいた
蒼天族だって
信じられねぇ
ねぇ父ちゃんそうてんぞくってなに?
でも本当に蒼天族だわ
「さぁさぁ皆様、これから誰でもなくご自身の目で価値をお確かめ頂くため閲覧時間をご用意致しております。これより本日の奴隷市場開店をお知らせ致します!」
人が物を買い込むため一斉に群がる光景はあるいは普通のことなのかもしれない、だがここでは少し違うふうにも思えるだろうか
奴隷として
人が自分を見て価値を物として計る、そんな光景を自分では不思議と何も感じない
逆にこんなところに来ている人達はどんな奴なんだろうかと観察してしまう
壇上に立ち 視線を向けられながら俺はその光景を眺める
小太りな男 細身の女 男か女か分からないように長い服で覆面の人物 他には…
「ここには子供も居るのか」
「おいお前、今誰の事を子供だと言った」
ついつい口に出た言葉に突っかかってくる奴もいる
ローブを着た子供が近づいて不機嫌そうに話しかけてきた
「嬢ちゃんに言ったんじゃないよ」
「私は子供じゃない!正真正銘大人だぞ!」
「、、、そうなんだね?子供には変わらないと思うんだけど…」
「こいつ殺されたいのか?」
「殺すなんて言葉誰から教わったの?お母さんとお父さんにちゃんと言葉遣いを教わって来た方が良いよ」
その時突然大きな音が鳴った
音の原因はその子供の下からで、よく見るといや、よく見なくともクレーターが出来ていた
「動くなよ餓鬼」
子供がそう一言言うと視界が瞬時に後方へと移動し気づいた時には十数メートルある後ろの壁にぶつかっていた
騒動に気づいた観衆はしんと静まり返る
子供のフードが脱げ素顔がさらけ出される
奴隷商人は騒ぎを治める為に
「お、お客様!商品ですので買ってから殴ってください!?」
「あ"?」
「ヒィッッッ!?」
中から顔を出したのは、赤髪で10歳前後の少女だった
「…のか」
「な、なんとおっしゃったのですか?」
「2000ドートで足りるのかと聞いているんだ」
「他のお客様の値踏みにもよりますので…」
そう聞くと少女は他の観衆に視線を向けた
観衆は自分の一回り二回りも小さな少女の気迫に押されに何も言えずただ押し黙ってしまう
「お前らはこいつにいくら払うんだ?」
少女の問いに唯一答えられたのは奴隷商人で
「……他の方には価値を見いだせないようですのでお客様のご希望の値段でよろしいです」
「そうかなら代金はここに置いていくぞ……」
そう言って商品を担ぎ颯爽と去っていった。




