009_実質選択肢がない選択肢があるよね。
「ばーかばーか、ざーこざーこ、ぷーくすくす」
斧野小町さんフリップに書かれた台詞をそれっぽく読み上げていきます、もちろんイチローさんの指示です。
「もっと気持ちを込めて!誠心誠意、相手の尊厳を破壊するように、丁寧に罵倒するんです!そんなんじゃ一流のメスガキにはなれませんよ!」
「はい!……じゃね−よ、何やらせんだよ!」
「結構ノリが良いよね、小町さん」
どやかましい!という言葉と共に、淫魔イチローの顔面に一級半探索者かつ武芸者小町の拳がめり込みます。
イチロー、何も見えねえとか内心呟いてみます。
「日本社会で母親のみ妊娠出産育児の不利な点は、これはまあ、普通に、父親がいない子供を産み育てる母親の不利益と同じになりますね、付け加えるなら父親に人権がないところがさらに事態をややこしくします」
「ないんだ人権。そりゃそうか淫魔だもんなイチロー」
「そうです淫魔です迷宮の怪異です朝は寝床でしっぽりしておいて夜はベットで運動会病気も何にもないので性病にも気を遣わなくて良いですね!」
「下ネタ方面で万能だな淫魔!」
「いやあ」
「褒めてねえよ!」
「というかここまで普通に意思疎通ができるなら人権取れるんじゃないの?」
「価値観が結構違うので下手に人権をとった方が不利益が大きいという見解ですね、淫魔世界では」
「深く考えると怖くなるのでこの話題はおしまいにしましょう」
「迷宮内とはいえ女性を母体として拐ってきて使い倒すとか、下手に人権を得て社会構造に組み込まれるとやりにくくなりますからね」
「話は終わりって言ったよね!」
「実際のところどこの誰かわからない輩に孕まされたとなると、社会的な不利益が大きいわけです、ことと次第によっては堕胎を勧められたりしますね」
「この子を殺すやつは許しません敵ですね敵は抹殺殴殺しなければ」
「怖い怖い、目が怖い。まあ家族親族間で軋轢が発生しそうではありますが、そこは普通に人間同士でレイプされて妊娠させられた場合でもそう事態は変わりませんし、対応方法とかは社会に蓄積されているでしょうから、どうにでもなりそうではあります、母親が強い意志で子供を産もうとするなら」
「産みます」
「強い意思しかない。あと強制的に堕胎されそうになったら、胎児は自動的に淫魔に転生して逃走しますので、気をつけてください」
「え?なんて?」
「命の危機に対して淫魔の血が覚醒するわけですね、その場合母体から取れるだけの精力を奪って急成長したのちに、無理やり産道かそれ以外から強制出産するので、ええとまあ、なんというか、」
「なんというか」
「結果、母親は多分死にます」
「死んじゃうのかぁ」
「強制出産した淫魔の子供はそのまま淫魔テレポートを使って迷宮の淫魔居住区、新生児センターへ移動します。だから子供は無事です、安心してください」
「子供の安全が確保されているのは確かに安心ですが、やっぱりこの手で抱きたいので、堕胎されないように立ち回りますね」
「覚悟決まりきってるなぁ」




