055_恋愛とはそもそも非生産性なものでして。
シーン:男の子は男の子同士で女の子は女の子同士で恋愛をすれば良いと思うのですという名台詞があったりなかったりするようではありますが、子孫を作るという建前がないが故にそこには純粋な愛があるのではないかという提言はそれなりに合理的と申しましょうか、正当性があるのではというように錯覚させることができます。純粋な愛に肉欲が混ざるのは違うのではないかという根本的な疑問はこの際棚の上に積み重ねて置いておいて、私たちは今目の前に用意された愛憎劇を楽しめば良いのではないでしょうか、いかがですかみなさん。
「誰に語りかけているのでしょう?」見た目は幼女、その実態は成人女子で迷宮探索者に加え、武芸者でもある斧野小町(20)。
「毎回こんなことをやってるの?結構というかそんまんま馬鹿みたいなんだけど?」見た目は幼女、その実態は青年男子にして斧野家長男にして小町の双子の兄斧野小角 おずぬ 。年齢は小町と同じ二十歳、二卵性双生児であるにもかかわらず見た目はそっくり、幼女。長い髪を左右ひとつづつゆってある、いわゆるツインテール。生意気っぽい表情、短めのパンツ姿上着はざっくりとした襟のないシャツ。新規登場人物。
大きめのソファーに座っている、リビング、陽光が差し込んできている、そこそこ、だいぶ、広い、床はフローリングに絨毯敷、調度品はほとんどなく、大きめのテレビジョン液晶薄型が壁の一面に置いてある。
それなりに質の良い、横に倒せば弾丸を防ぐことができるくらいに頑丈そうな低めのテーブルに、飲みかけの珈琲がカップに入れられて置いてある。
鍵のように曲がっているソファー、対角線になるように、小町と小角が座って歓談、雑談、丁々発止、それなりに緊張感があるのかないのか、生まれた時から一緒にいるからこその気の抜けた張り詰めさというものが生まれている、のかも知れず。
「いやそれほど隔意はないよ」可愛く小首を傾げながら、美幼女みたいな美少年である小角。
「うーん、顔は良いんだけれども、可愛いんだけれども、これが兄であるということに異常な感情が、認識が破壊される、頭痛眩暈吐き気、まではいかないけれども違和感が仕事をしないところに、埒外さが強調されるみたいな、なんだろう、高度ないやそうでもないくらいの、迷宮内で精神攻撃を受けているみたな状態になる」両手でカップを持ち、ちびちびと砂糖を多めに入れて甘くした珈琲を啜りながら、小町。
「可愛いって、おんなじ顔じゃない?間接的に自画自賛しているんじゃないかな?まあ正しい認識ではあるけれども。お互いに少女というか幼女のような容姿しているから、客観的に、可愛いというのは正しいんだよねぇ」妖しく笑いながら小角。
「こんなのに欲情するって、やっぱり変態じゃないかなぁ」ちろりと舌を出しつつ小町。
「変態だねぇ。まあ早かれ遅かれ、そういう趣味を持つ人を見つけなければ、恋人はできないわけだし、仕方がないんじゃないかなぁ」ちょっと遠いめ小角。
「恋人が、幼い子供の男の子が好きな成人男性という二重か三重に変態であるのはどうかとは思うよ?」指摘小町。
「だって、私、筋肉のある男の人が好きだもの」はにかむ小角。
「性的な意味で?」尋ねる小町。
「性的な意味で」応える小角。
「趣味嗜好は個人の自由だけども、一応兄者、長男だよね、後継とかどうするつもりなのよ?」一般的な指摘小町。
「小町もいるし、入婿でも大丈夫なんじゃない?まあ私達の代で血縁が途切れても、弟子のうちの誰かが流派自体は継いでくれるだろうし?問題ないんじゃないかな?」可愛く笑いつつ応える小角(20歳成人男性)。
「父様、頭抱えてたぞ?」指差す小町。
「てへ?」あざと笑いな小角。
「あれ、これ普通に私混ざれませんかね?寝室に二人とも連れ込めそうな気がしますね」淫魔の感想。
気のせいです。




