054_対話とは対戦ではないわけでもない。
シーン:言葉で行う戦もあるわけではあるもののそれは家族内で勃発させて良いものであろうかとか侵略的な言葉遣いやら被人道的な決戦兵器やらその辺りを語句に載せて叩き込む必要がどこにあるのであろうかいやまあ最後には互いの領土が焼け野原になる結末が見えてくる中での舌戦というものは客観的に見てみると結構な出し物ではなかろうかなとか。そこまで最後までやり合うことは少ないのではないかとか逆に結末まで見届けなければ不誠実と呼ばれるようになるのかむしろそれは優しさではなかろうかなどと益体もないことを思考しつつ、見た目は穏やかに進む会話その実どこか狂気が振り撒かれている可能性もなくはないのであるものの、その実そのままのほほんと話題が進んでいくだけの場面。意味やら価値は読み解くものが見出すものであると無責任に放棄することになる。いやなんの話だか?
「なんの話なんでしょうね?」不可思議狐つままれ斧野小町。
「最近はこのような入りが流行りなのでしょうか」のほほん小町母の斧野蒲公英、珍しげな声で。
居間、和室、机を挟んで、足を崩しつつ、茶を飲みながら。
「母様、実は恋人ができました」別に隠すまでもないとばかりに直接的に堂々と、漢らしくな娘小町。
「あらあらまあまあ?展開が早い気もしますが、とりあえずはおめでとうございます。貴女もそのような歳になったのですねぇ」あらあらまあまあと応えを返す蒲公英ままさん。
「ゆくゆくは世帯を持ちたいと思っている方です」未来を見据えて熱に浮かされていないように冷静に沈着にちょっとだけ照れながら小町。
「いや本能に話が早いというか突然でびっくりしているわけですが、ええとどんな方なのでしょうか、貴女のお眼鏡に適った方というのは?」とりあえず飲み込みつつ話を継ぐ小町母の蒲公英まま。
「強いです」端的十分必要最小限言い切り小町。
「あー、そうですね、貴女の好みというか、相手に求める要素はそれが基準でしたわね。その辺りあの人とそっくりです」納得、してしまう、娘に理解がある、理解がありすぎる、呑気な蒲公英まま。
「それで、とりあえず父には内緒にしておいて欲しいのです」お願い小町。
「ええとそうですね、あの人先日に失敗してますからねぇ、今伝えるとややこしいことになりそうではありますし。それでどのくらい黙ってましょうか?」内緒の期間を尋ねる蒲公英まま。
「様子を見ながらということになりますが、二、三ヶ月、年度の代わり目くらいまでは?徐々に匂わせていくつもりではありますが。ああ、あの従兄弟とのあれこれとかそれに起因して巻き起こったか巻き起こりそうなお見合いとかご紹介とか顔合わせは、それとなく断っていく予定です」年末に巻き起こった騒動を思い出しつつ苦い顔で小町。
「あー、まあ、あれはあちらの方も悪かったと思いますよ?こちらの勘違いもあったですけれども。こちらのというか小町さんのそれが主原因ではありましたわけですけど」困った顔で少し笑み蒲公英まま。
「はい、あれは酷かったですね。思い込みと勘違いと認識のすれ違いでああまで事態が混沌と混乱するとは」遠い目小町。
「まあねぇ、ボビーちゃんも悪い子じゃないのよ?ただとことん鈍感で、小町ちゃんと相性というか、関係性が昔から全く変わっていなかったというだけの話で。それとまあ、なんでしょう?個人の趣味は尊重されるべきだとは思うのよね、ええそうちょっと驚きましたけれども」ええまあそんなな蒲公英まま。
「あれは私が我を忘れるくらいには衝撃的な出来事でしたね」苦い顔小町。
「ええええ。ボビーちゃんの恋愛対象が同性の男の子だったとはねぇ」ちょっとワクワク蒲公英まま。
「兄と付き合っていた、それも結構長い年月、肉体関係も含めて、とか聞かされた時には目の前が真っ暗になりました」宇宙の真理を覗いた目な小町。
「ボビーって淫魔の素質があるよ、誘ってみたいなぁ」笑う淫魔。




