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052_本当のことを言わないのも親切。

シーン:優しい嘘というものは存在するのでしょうか?という少女の素朴な疑問に答える存在が善意を食い物にしているようなくずであった場合にこれはまあどうしようもない悲劇のような喜劇を上演することになるわけではありますが、微妙に華麗にすれ違ったまま奇妙に符合した言い回しの結果、勘違いが加速していく様を側から見て楽しむことができる醍醐味をご賞味いただけるかも知れません、いやわかっていて勘違いしているという怖い女である可能性もあったりするわけではありますが、ではどうぞ。


「どうしろと?」趣旨が曖昧なシーン設定に対して困惑する、見た目は幼女、中身は成人女性、武芸者にして探索者にして母親予定な斧野小町(20)。

「どうしましょう?」顔を見合わせるのは迷宮怪異、淫魔の青年田沼イチロー(年齢不詳、見た目は二十代後半の竿役黒肌マッチョ)。


「いきなり結婚を前提にした紹介は気が逸りすぎだと思うのよね」冷静に間合いを測る女、小町。

「十月十日後に出産を控えている割には段階を踏むのですね、いやああ、なるほど普通は今の段階で着床して妊娠しているのは分からないわけですものね、どうとでも言いくるめられそうではあります」淫魔の常識、人の非常識と納得する淫魔イチロー。

「なのでまずは無難に彼氏ができたことをそれとなく親に伝えてみようかなと思います」ちょっと照れ小町。

「いいのではないですかね?そうやって普通の関係を装うことで油断を誘うわけですね」悪巧み笑い淫魔。

「油断って、いやまあそれほど間違いではないのかな?とりあえず無難なところから攻略していくので、まずは母を味方につけます、同性な上に恋愛至上主義的な性格でもあるので籠絡しやすいはずですから」瞼の母を見る小町。

「なるほど。逆に父親はそういう娘の恋愛事情とかに厳しい人なのですか?」がんこ親父を瞼の裏に思い描く淫魔。

「貞操観念的にはちょっと厳しめではあるけれど、まあ男性とのお付き合い自体を禁止するほどではない?くらいかな?婚前交渉したと知られたら、かなり文句を言われる感じではあるけれども、時代と私の立ち位置ならそれほど深刻になるほどにはならない、と思うのだけれども、どうかな、あの人結構子供っぽいところがあるからなぁ」読みきれないところがあるかも知れないと小町。

「怒りっぽいのかな?頑固親父的な?」雷親父を想起する淫魔。

「泣きます」あの親父はと小町。

「はあ?」きょとんと淫魔。

「泣き喚きます、床に転がって全身で、両手両足を殊更に振り回して、声高らかに延々と。本当に小さな子供のように泣くんです。気に入らないことがあると」ため息小町。

「ええと、父親のお話ですよね?」困惑淫魔。

「そういう性癖?性質?なんですよ。感情が爆発するとどうしようもなくなりまして、体全体を使って不満を表すのです。そこに至るまでにはまあそれなりに言葉が通じる、対話が可能なのですが。血脈系の体質という説明を、泣き喚く父に対処しつつ、祖母がしてくださいましたが。どうにも止めることができないのだそうです。なので、父に私達の関係を説明するには注意が必要です、そのまま伝えてしまうと、おそらく話にならないので」泣き出すと時間がかかり過ぎるので面倒なんですよねと小町。

「珍しい体質というか血脈?資質なんですね」

「それなりに、長く続いている探索、武芸者系の一族ですので、いろいろな血が混ざり込んでいるのですよ。ええ、多分、おそらくあれは子泣き爺の血脈ですね」父が泣いた時に質量が増したかどうかは不明ですがと小町。

「なんだろう、そのまま自分が怪異の淫魔ですって紹介されても問題なさそうな気がする素地がありそうな家庭環境である気がしてきました」達観淫魔。

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