051_タフな交渉、対策→視点を変えろ。
シーン:人間側の要求を飲んでもらえないそれは怪異側の求めるところが人とはズレているからでないかという発想に至ったのであればこれは決着が間近に迫っていると言っても良い、ただそのズレが致命的なものでないかと言われると求めるものの対価として台無しなものであるという結果につながることもあり、いやそうじゃない、そういう意味じゃないんだよ、などという認識の違いが明らかになることもまた多い。お腹の子供に対して父親として責任をとってもらいたいと淫魔に懇願してもこれは見当違いであるという話である。ならば如何にして母親となった女性が家族にこれを紹介することができるのか、その為に支払う対価は何になるのかという、その辺りを擦り合わせるシーンです。
「前にも似たようなことをやった気がするのですが」既視感淫魔。
「奇遇ですね、私もそう思います。話がこう、巻き戻っているというか繰り返されているというか。そういう攻撃を受けているのでしょうか?」同じく既視感女迷宮探索者。
「それほど長く顔を合わせなくとも良いのです、とりあえず父親がしっかり存在するということを家族に証明しておきたいのです。なぜならばその方が出産後育児に対して協力を求め安からです。両親から望まれて生まれてきたという体をきっちりと摂りたいわけです。ここで父親不在、その証明も難しいとなると、社会的な安定が脅かされるわけですね」とうとう述べる見た目は幼女其の実大人な武芸者小町(20)。
「一度顔を合わせてしまうとそのままずるずると付き合いを強要されるに決まっているじゃないですかやだなぁ。行きずりの男と寝た結果として引き返せなくなるまで妊娠状態を隠して独りで産んで仕舞えばいいじゃないですか。人間の男的には酷いことを言っていると認識していますが、淫魔的には托卵生殖が普通な文化なので良心的にも問題ないですし」文化が違う、迷宮怪異の淫魔イチロー(年齢不詳見た目二十代後半ヤリすて青年風)。
「逆に淫魔であることを家族内だけでも明らかにしておいた方が、問題が少ないと思うのです。大丈夫ですその辺りの感性はかなりおおらかな一家なので。あと普通に命の対価として妊娠出産を求められたと言えば、納得するし了承するし受け入れることはほぼ間違いないです、ええ、私の家は武芸者の一門でありますから、受けた恩を返すという面でも、素直に対応してもらえると」つらつらと家訓めいたことを述べる小町。
「人の口に戸は建てられないのですよ?」懐疑的淫魔イチロー。
「そんな真偽にもとる者がいたらならば責任を持って処します、腹を切らせて介錯です」ずんばらりん小町。
「あ、本気の目だ、いや普通に怖いですって」引く淫魔。
「あー、淫魔であることを明らかにするかどうかはまあおいておいて、ちょっと考えさせてください。それといくつか確認です、私の存在、つまりは私が貴女のお腹の中の父親であると知らせるのは家族の、両親だけですか?」口に出してとりあえず思考をまとめようとする淫魔イチロー。
「両親もそうですが、同居している兄と妹にも紹介したいですね。それなりに関わってきているので。ああつまりは気心の知れた家族としての付き合いが深い存在なので」考え考え小町。
「最大四人ですか。まあそれならなんとか淫魔であることを隠してやれそうではありますね。催眠術とか思考誘導とか記憶操作とか精神支配とかあれやこれやを駆使するに、都合の良い程度の人数ですし」首ひね迷宮怪異淫魔イチロー。
「倫理観!?」突っ込め小町。
「今更なんじゃないですかね?いやむしろ上手にことを運べばそのまま人間社会で暗躍するための巣を構築することができるまでありそうではありますね、なるほど、そうなると、こちらにも明確な利点が生まれてくるわけです」にこやか怪異淫魔のイチロー。
「いや流石に家族を売るのはちょっと」どん引き小町。
「大丈夫、最終的にはみんな幸せになりますから」悪魔的な淫魔笑み。
「えええ」
「みんなで幸せになろうよ?」
「えええー」




