029_釣ったか盗ったか魚か女か。
シーン:お腹の子供に対する責任を取らせたい女と、知ったことではないねと断る男の話。ならまだ単純ではあるけれども、男側の種族が破廉恥怪異無責任種付け現象発生装置な淫魔であることと、女が武芸者にして迷宮探索者、探索中もしくは修行中に絶体絶命になったその時、その生命を対価に保険業務として種付け妊娠出産業務をされたという関係性が、話をややこしくしてしまっている。
さて、明日はどっちだ?
「いやまあ、保険業務というか、命の危機を救ってもらう対価としての、ええと、妊娠出産はこれはまあ受け入れているんだ、そこは問題ない。ここで文句をいうのはこれは武芸者として探索者として、あり得ない、はずだ」見た目は幼女だけれでも心は漢らしい成人小町。
「はいそこはそうですね、その通りですが、割り切り方が漢らしいですね」ちょっと引いてる淫魔イチロー。
「迷宮内や立ち会いでヘマをやって、命を落とすのは、武芸者にしても探索者にしても自己責任であるし。むしろ挑戦して破れて果てるは本懐であるとまで言えるわけだしなぁ」こう凄みのある笑みを浮かべる小町。
「うわあ」さらに引く淫魔イチロー。
「もっとも未熟も未熟な段階でそういうことを嘯いても、これはまあ青臭いとか鼻垂れとか百年早いとか、そこに至るまでの修行がまだまだ足りていないと、叱られるわけではあるが。それはそれとして、もうどうしようもないまでに追い詰められていた、命を助けていただいたわけであり、その対価を払うことはこれは、普通に、誠実に対応すべき案件だ」キッパリと言い切る小町。
「あー、武士道とかいうやつですかね?」
「どうだろう?命のやり取りをしている関係性であるならば、それほど特異な価値観ではないとは思うが、いやまあ、誇りとか名誉とかそういうもので考えると、未婚の女子が身体を許すというのはどうなんだろうかというのもあるか?未来の結婚相手のために清い身体でいるべきであるという、価値観もそれほど珍しいものではないので、そこを犯されたからこそ責任をというのは、不自然な展開ではないな」ちょっと首を捻りながら小町。
「その辺はちょっとよく分からないのだよね、淫魔的には。純潔、処女に価値があるとするのは、感染症とかその手の病気が蔓延しないように、性的な接触が限定的になる、特定の相手同士になるようにするという、社会的な工夫からきているわけであるのだけれども、これって淫魔が相手だと全く問題ないのですよ。むしろ大事に守っているのではなくて、積極的に捨て去って快楽を追求していった方が、幸福度が高くなるんじゃないかな?と、少なくとも、肉欲が満足すると心に余裕ができますよ」指摘する淫魔。
「性的接触による性病などの蔓延とか感染症の伝播とかそういう問題はまあ、淫魔相手にはないというのは、分かった。のだけれども、社会は、人間社会は、婚姻によって、血を混ぜるということによって、互いの結びつきを強めて種々ある圧力を弱めていく、円滑に納得して自然に妥協することを覚えていく、社会を回していく、対人関係を治めていく、面があるので、結婚相手でない子供を家庭内に入れることによる齟齬、反発、不具合は確実に出てくると思うぞ?だからこそ子供と、血のつながった父親は必要になるわけで」
「そこも気にはなっているのだけれども、もう少しおおらかでいいと思うのですよね、誰が産んでも子供は子供、家族みんなで育てていけば良いというか、家族の単位が狭すぎると思う、複数人の女性と男性が群れで育てれば良いんじゃないかと思うのだけれども、怪異淫魔的には、実際そうやってるわけであるし」首をひねる淫魔イチロー。
「そこはもう文化が違うという話になるな、あと、財産をどう管理していくのかとか、何を財産にしていくのかというのも絡んでくる」お金が絡むと怖いぞ人間はと続ける小町。
「あー、お金は大事だよね。私も業務執行作業映像が売れないと、給料に響くしなあ」嘆息イチロー。
「給料制なの?!」
「私、会社員なので、あと月給払いですが、歩合もつくので」お金のマークを指で作るイチロー。




