019_三本勝負は二本取られてからが本番。
シーン:岩国迷宮四十一層、安全地帯、時刻は変わらず宵の内、月下。武芸者巨斧使い小町と淫魔108秘技使いイチローが対戦中。一本目は小町がイキ負けで落とし、二本目。淫魔術とか神秘術とか不可思議系の技を互いに封印して体術だけで行こう、ただし、私は巨大斧を使うがな!というちょっとしたハンデマッチ戦で、そんなーと涙目になる淫魔イチロー、ただしかなり余裕がありそう。では二本目ファイト!
間合いは最初の小町歩幅で二十歩、色々と種々雑多な汁で汚れてしまった装備を着替えて、凛々しく巨斧を構える女武芸者小町、小さな身体なのに迫力は巨人の如し。
対するイチロー、猫足、猫背、両手をずらして、手の甲を相手に向けて、やや緩めに伸ばし、構える、形意拳の一つ螳螂に似た構え、背中に生やした蝙蝠の翼が、そのままカマキリの羽を広げたように見える。
巨斧使い小町、飛び込み大切り、頂点から身体ごと回転させて、風唸る初手。
淫魔イチローあえて踏み込み打点をずらす、死中に活路あり巨斧の柄をカマキリの斧、両手を揃えて、弾きそらす。
小町そのままそらされる方向に逆らわず、巨斧を回し、身体の芯を地表よりやや斜め方向に空中で固定、恐るべき体幹、体の中心、そこを軸に回転し連撃、追撃、強撃、あくまで攻める姿勢を崩さない。
淫魔ウイングがくるりとイチローの巨躯を包む、そして回転、ネジを切るように、霧を揉むように、女武芸者小町の巨斧を巻き込むように、身体に沿うように、そのまま円舞のように、いなし逸らし、そしてずらす。
巨斧の刃による打撃は囮、本命はその重さを使った身体の移動と大地の重みを利用した体当たり、回転と振り回された巨斧の慣性と地に沈む身体の動きを螺旋のように合わせて直線上に落とし、その力そのものを超至近距離にある淫魔イチローの巨躯、その中心へと向けて、小柄な小町、それに見合った小さな肩を通して伝える打撃、変形鉄山靠。
巨躯淫魔イチローその衝撃を翼で流し落とし逸らし受ける、その蝙蝠の翼が大きく衝撃で広がるも、それによって打撃を最小限の大きさにまで縮小させ、ライフゲージの減りを抑える、ジャストガード。同時に体が流れた小町に対して反撃の投げをうつ、ために手を相手の細い体に伸ばし絡めようと。
流されたと見せかけた身体を変態的な三半規管と巨斧を使った空中軌道変更で立て直し、いやさ、それが次の計画であったことを証明するように、焦らず慌てず淡々と、一回転からさらに半回転、ぐるりんと蜻蛉を切る、そして巨斧の刃をたて、股下から切り上げる。
つかみをすかされたことを観た瞬間にそのまま身体を自ら投げるようにし、間合いをずらす淫魔イチロー、広がった羽根を片方、器用に畳み、その反動で相手の予測軌道を外すも、一手間に合わず、斧が羽根にぶち当たる。
打点を合わせて気を入れて衝撃を入れ加速させ巨斧の斬撃その威力を上げる、吹き飛ぶ淫魔イチローの淫魔ウイング、片翼が千地に吹き飛ぶ。
そしてその飛び散った翼を遮蔽にして視界を奪い、さらには撃たれた衝撃をも利用して回転側転反転大回転、所詮ウイングは余分な器官、四肢ほどには換えが効かないものでもなく、むしろ装備に近いが故の、使い潰し。
小町とっさに斧を振り間合いを確保しようとする、も、
イチロー一瞬の隙を作り出しそこを各自について、小柄な女武芸者の制空権をすり抜け、組みつき、幼女っぽい体躯の実年齢成人済み武芸者を引き倒し、首と右腕を同時に極めて、落とす、手前まで力を込める。
小町、左手で、イチローの腕を叩いて、タップ、降参、サレンダー。
どこからともなく響く審判の声、
勝負あり、勝者淫魔イチロー!




