014_お姫様の初めてってそういう意味か?
「年末に実家で嫌なことがあって」ポツリと話し始める小町さん。
「男に振られたんでしたっけね」すっぱりずっぱり切り込むイチロー。
「そうじゃないけど、いや、客観的に見たらそうかもしれないけれども!違うんだ、ちょっとした認識のすれ違いと意見の相違が、とあることをきっかけにして具象化しただけなんだ!」認めたくないものだな精神で荒ぶる小町。
「それで、家にいづらくなって、年越しで迷宮探索に出かけたんだ」
「結構大胆な年越し行事じゃないかなそれ」
「一年の計は元旦にありというからな、もう今年は色恋を忘れて修行と探索に振り切ってしまおうという、誓いを立てるために来た、ん、だが」
「ああ、まあ、結果的に色欲に溺れてしまったと」
「これって、正月にこれってことは、この一年ずっとこんな感じで過ごすことになるってことになるのかなぁ、なりそうだなぁ、嫌じゃないのが、嫌だなぁ」
「あ、苗床になります?」
「絶望までの道筋を軽く誘うんじゃない」
「希望に続く道ですよ」
「善意で舗装されているってこういうことなのかぁ」
そもそも探索者とか武芸者が、迷宮内の観光的な美麗な景色を見せる階層で新年を迎えるのはそれほど珍しいことではないし、場所と時間と行事を合わせることで特別な演出、その瞬間その環境でしか手に入らないお宝とか怪異、モンスターの特殊個体とかと戦えることもあって、積極的に狙う一党も多い、という話を小町とイチローがしている。
「あーいましたね、賀正怪異とかニューイヤーモンスターとか」
「迷宮富士のご来光ビーム長縄跳びとか、しめ縄系大蛇の酔いどれ討伐とか、巨大賽銭の逆襲とか、まあ、奇妙奇天烈なものから、結構神道系の真面目な催事っぽい神秘的なイベントもあったなぁ」
「岩国の四十一層は何かあったんですか?」
「あそこは猿が主体だけれども、渓谷の希少怪異で空飛ぶ蛇が元日に出現するんだよ、こうキラキラしたやつ」
「あー、巳年でしたか今年」
「そーそー、確か羽毛のある蛇」
「この時期南米から出張してるんですかね、あの蛇神様」
「海外由来なんだ、あの蛇さん」
「現役のマヤ・アステカ連邦の守り神ですね、最近復活というか復権しました」
「イチローさん、詳しいの?」
「酒に酔った勢いで妹相手に近親相姦かまして、故郷を追われた時に、淫魔界で一時期保護してた歴史がありますから」
「うわあそんな神様だったんだ」
「古い神様は大体みんな性的に変態ですから。ある意味やらかした神様は、淫魔的には皆さん精神的な兄弟ですし。いっそ古い原初的な神様は、みんな淫魔カテゴリに入っていいんじゃないかなとか、思ってたりもします」
「ひどい偏見じゃないかなぁ」
「いやまあ、性的に貞淑な信仰宗教とかは結構最近に作られてものですので。ああまあ、一夫一妻制が悪いとは言いませんし、それのおかげで社会が安定してきたことも確かではありますが、そこはそれ、人の本性はエロで満たされていますし、それを解放することによってこそ幸せが訪れることもまた真理なのです」
「淫魔って特定の宗教を信奉しているの?」
「”汝の成したいようにせよ”とかは結構言ってる仲魔がいますね、欲望というか性欲に忠実に行動する種族特性が宗教と言っても良いかもしれませんが、特定の神様を信仰しているというのはありませんね、あーでも日本の神様には親近感を抱いています」
「あー、まあ、それはそうかもしれない」
「なのでその神話で育ってきている日本人も好きですね、好みですね、獲物ですね、美味しいですね、さすが総変態民族国家」
「言い方ぁ!」




