第3話 コミカル地獄絵図 そして閉幕。
6 綱引きゲスト実況&校長大事件
綱引きの保護者席、私は腹筋が死ぬ程震えたカオスやった…!
ちなみに我が小学校は、午後の競技があるのは5年生、6年生のみ。
最近の小学校も午前中だけのところが多いみたいやな。
午後 最初の競技は「綱引き」
5・6年生男子vs保護者選抜
グラウンドが熱気ムンムン
貫太くん、お母さんの珠緒さんと
美駒ちゃん お父さんのホセさんが合流。
ホセさんはスペイン語で保護者の皆さんに
「¡Vamos!」と気合いをいれておったな。
保護者たちも「ヴァモス!」と士気が上がりまくり。
貫太くんお母様、珠緒さん
なんと放送席に移動し急遽綱引きの実況アナウンス担当。
中山教頭
「珠緒さん プロのアナウンサーに
さすがにボランティアでやってもらうわけには…
ギャラお支払いしますよ。
(私のポケットマネーやけど)」
珠緒さん
「いえ、ギャラなんていりません。
息子の晴れ舞台、是非やらせてください。
太希くんが広報委員でこの実況拡散してもらえれば結構ですよ。」
凄い人や…土曜日朝の顔やのに…
珠緒さん
「さあ始まりました。午後一番最初の競技
生徒選抜vs保護者選抜綱引き
この実況は私、
城野珠緒がお送りします。」
保護者席ざわつく
そりゃそうや…
土曜日さっきまでTVの向こう側におった朝のローカル番組のアナウンサーが今ここにおるんやから…
珠緒さん
「保護者の意地か、子供達の諦めない想いか!
両者の意地と情熱がぶつかりあう、綱引き開幕です!」
流石の謳い上げ
プロのアナウンサーは凄いな…
皆が綱の前に立ち、校長が綱を踏み
スタートの合図を皆が待つ…。
校長
「スタート!」
スターターピストルを上に構えた瞬間…
プスッ!
えっ?
保護者&生徒達ズッコケ
鳴らんやん!
校長
「あれ?おかしいな…」
校長がピストル下に構えて確認したら…
バン!
誤射やのに…
生徒と保護者がガッと縄引っ張り
校長、縄踏んだまま一回転してドーン!
校長
「あっ痛ーっ!」
って叫び声、グラウンドに響いたわ!
私競技中やけど咄嗟に審判を代わる!
砂川先生と太希くん両親である
私の妹の瞳と、義弟の信行くんが医療従事者の本能なのか、真っ先に校長を捌けさせる。
珠緒さん
「校長!校長!
なんと落馬ならぬ落綱!
大丈夫ですか!
おっと…教頭先生が駆けつける!
ピンチヒッターです!
ヒーローは遅れてやってきたー!
おや、生徒達動揺しているのか…
これは保護者有利か?」
私は決着の時間30秒ぴったりにスターターピストルを2発鳴らす
パンパン!
珠緒さん
「1回戦は保護者チームの勝利!
皆様盛大な拍手を!
そして校長からピンチヒッターで駆けつけた教頭先生にも大きな拍手を」
2回戦は生徒の意地により生徒達の勝利
(正確に言うと…保護者達の体力が続かんのと、校長のケアで保護者側に2人欠員出とるのもある…)
太希くん母であり私の妹でもある瞳が行動を起こす。
ER医師であり私の弟である中山康一先生に連絡し近くの馬場共運国際病院に救急搬送。
保護者席、爆笑と悲鳴の嵐や!!
後で聞いた話しやけど…救急搬送中…
校長
「ぎっくり腰か…なさけない…」
瞳さん
「校長、ぎっくり腰だけやないとおもいます…。
あと大変申し上げにくいのですが…
泌尿器科医として…言わせてもらいます。
校長
骨盤強打して失禁してますよね…?」
校長
「バレたーっ恥ずかすぃーっ!!
パンツの替えカミさんに用意してもらおう…」
病院に着いた途端に中山康一先生が
「ぎっくり腰」「骨盤強打」の診断および
校長の奥様で、病院の院長でもある馬場純子先生からパンツ替えてもらう大失態。
私はこれらの顛末を閉会式の後に聞き、腹筋こわれるくらい笑わせてもらいました…
ホンマに校長…オモロすぎます。
珠緒さん
「校長先生、念の為、病院へ診察に行くそうです。
皆様、校長先生と、医療従事者に深い感謝と拍手を!」
全員拍手
2回戦終わりの珠緒さんのナイスな実況
珠緒さん
「さあ雌雄決する3回戦目 スタートです!
さあ両者一進一退の攻防!
生徒達か?保護者達か?
生徒達か?保護者達か?
生徒達か?保護者達か?
生徒達か?保護者達か?」
私、決着の時間30秒ぴったりにスターターピストルを2発鳴らす
パンパン!
珠緒さん
「さあ、どっちだーーーっ!
なんと!中央線はど真ん中!
引き分けーっ!
この勝負1勝1敗1引き分け!
今年はどちらも勝者です。
皆様、今一度盛大な拍手をお願い致します!」
貫太くん
「母ちゃんすげぇ…」
奈穂ちゃん
「さすがプロのアナウンサー」
太希くん
「やべぇ…鳥肌立ったわ…凄いな…」
綱引きの選手達、校長、そして珠緒さんにも盛大な拍手や。
7 5年生&6年生選抜 徒手体操事件
徒手体操
今は組体操やなくて、ヨガやら新体操みたいな芸術的パフォーマンスを魅せる「徒手体操」
5・6年生選抜のこの演目
5年3組からは主に
拓郎くん、奈穂ちゃん、大和くん、太希くんが選ばれた。
私、なんとな〜く嫌な予感はした…。
5年生6年生はグラウンドでキレイな倒立決めておる。
保護者席から
『おお、キレイ!』
『綺麗な倒立』
歓声が沸き起こる。
しかし案の定…倒立中の大和くんに異変が起こる。
大和くん
「あーっヤバイヤバイ!」
拓郎くん
「大和、まさかまたウンK!?」
大和くん
「ちゃう、食った弁当のカツが逆流しとる!
うぇっ…
ゔぅぼぇぇぇぇぇ〜っ」
大和くん
まさかの倒立嘔吐…グラウンドに残骸が…
拓郎くん
「げっ…みちゃった
…。
ゔぅぼぇぇぇぇぇ〜っ」
拓郎くん、もらい嘔吐
奈穂ちゃんが倒立しながら美駒ちゃんに目で合図をだす。
美駒ちゃんは5年3組全員に呼びかける。
太希くんは広報委員として倒立中のフォルム撮影してたのに…
案の定地獄絵図を撮影してもうたね…
太希くん
「あかん…不採用やなこの画は」
奈穂ちゃん
「当たり前でしょ!小学校炎上するっての!」
徒手体操やってない5年3組の仲間たち全員が
『大和、拓郎 アウトーっ!撤収!』
って即座に囲んで隠し全員保健室受け渡し。
凄いチームワーク見せてくれたわ!
石川先生放送席へ
石川先生
「申し訳ございません 一旦競技中断します。
皆様しばらくお待ちくださいませ。
(もう!ええ加減にしい!
なんばしよるか…もう!大変や…)」
残骸をダッシュで片付け砂をかぶせる石川先生と私。
残骸の無い場所にズレ、競技再開。
宇田川先生
「あらやだ、また大和くん?今度は拓郎くんも?」
大人の余裕で迎え入れる宇田川先生は流石やな…
あっ大和くんご両親が保健室へダッシュした。
宇田川先生の話やと…
お互いの両親は、終始平謝りやったそうな…
父 玄太さんが頭抱えてしゃがみ…
玄太さん
「あかん…
ワシがゲン担ぎに食わせたもんがアカンかった…。」
母千尋さんも平謝り。
千尋さん
「昼のふかふかちゃんトンカツ弁当が…
2度もご迷惑おかけしてホンマに申し訳ございませんでした…」
宇田川先生
「大丈夫ですよ。
少し休んだら閉会式には行こうね。拓郎くんと大和くん。
あっふかふかちゃん弁当は、悪くないです!
私もお昼においしく頂きましたよ。
また買わせてもらいます。」
徒手体操の最初はカオス化したが…
残りの綺麗なY字バランス、開脚、ブリッジ、最後は足を使った美しい団体芸
いわゆる組まない、体操芸術…
美しい演目をやり切った生徒達。
保護者、生徒達は大歓声やった。
8 閉会式(ホンマに疲れた…)
校長がぎっくり腰でおらんため、私が閉会式の挨拶させてもらいました。
中山教頭
「はい、皆さんお疲れ様でした。色々ありすぎて疲れたでしょう…
私は疲れました…。
日曜日、振替休日の月曜日、しっかり休んで火曜日にまた元気にお会いしましょう…
はあ〜」
うっかり思わずため息出してもうた。
私の親友である、砂川先生が私に拍手を送ってくれた。
砂川先生
「教頭先生は今日の運動会、影の功労者です!
皆さん大きな拍手を!」
保護者席から暖かい声援と拍手が送られる。
保護者達
「生徒達も先生達、ありがとう」
「楽しかった」
「良い思い出になったぞ」
「よっ!教頭!」
教頭
「(あかん…泣きそう…)
皆さん、保護者の方々からの暖かい拍手に皆さんも拍手をしましょう。
本当に今日はありがとうございました。」
最後はここにいる全員で拍手。
こうして運動会は閉幕した。
毎年運動会は何かしらが起こるが…
今年は特に強烈やったな…
ただ生徒達の運動会の思い出は一生ものの財産になると、私は実感した。
運動会から1週間後
「学校法人 日本畜産馬場会」の公式SNS に小学校の運動会の様子がアップされた。
太希くんがかなり編集に時間かけてくれたおかげで、運動会全体をうまく纏めてくれて、来年度入学、見学希望の連絡が運動会の日以降に多くなった。
私も校長も、来年度の1年生の生徒達を楽しみにするのと同時に、今日1日を楽しく在校生徒達、先生達と過ごす。
完