表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/8

挑戦状

 その日の朝、藍香は校門でスマホを没収されていた。

「あーん、先生、もうしないから」

「駄目だ。何度も注意しているのに聞かないから、没収! 学校が終わったら職員室に取りに来い」

 唯一の武器を失った藍香はトボトボと下駄箱に向かった。

 そこに羽村が追い付く。

「おっす、見ていたわよ。藍香も懲りないね~」

「ホント、集中しすぎていて、忘れていたわ」

 同じクラスの羽村の隣で藍香は下駄箱を開けた。中には手紙が入っていた。

「ラブレター!?」

 隣の羽村が大声を上げる。

「しーっ! しーっっ!!」

「ズルい! なんで藍香にラブレターが!?」

「だから静かにしてって!」

 他の生徒の目を気にしながら藍香は足早にその場から離れて、手紙をポケットに入れた。

「ねーねー! 中見せてよ!!」

「そんなことできるわけ無いでしょ!」

 藍香はダッシュで女子トイレに逃げ込み、内側から鍵をかけた。

 羽村が扉を叩く音を疎ましく思いながらも、手紙を開けた。

『v.12d@6hd@)4w@jz fq7j』

 藍香は頭を押さえた。差出人は一瞬で分かった。

 波多山先輩だ……。

「ねーねー! 見せてってば! 誰からなの?」

 藍香は観念して扉を開け、手紙を羽村に見せた。

「何これ。暗号?」

 藍香は頷く。

「なーんだ」

 羽村はそのまま出て行ってしまった。

 むかつく!


 藍香は手紙を机に広げ苦悩していた。

 意味が分からない……。このまま解けなかったら、波多山先輩を失望させてしまう。

 それは藍香にとっては許されない事だった。前回は上手く波多山の暗号を解けたのだが、今回はスマホも取り上げられ、打つ手がない。

 う~~、どうしよどうしよ!

 刻々と時間が過ぎていく。授業中もノートに書いて法則性を導き出そうと苦心していた。

 午前中最後のチャイムが鳴る。

 だめだ、分からない、飯にしよ……。

 スマホを取り上げられていたが、藍香は羽村と屋上に向かった。扉を開けた向こう側に人が立っていた。

「波多山先輩!」

「やあ、さすがに簡単だったかな」

 藍香は高速で脳を回転させた。

 何とか言葉として口に出す。

「わ、私を見くびっては困ります!」

「すまなかった。また出直してくるよ」

 波多山は藍香の肩を叩いて、階段室へと戻っていった。

「ねぇ、さっきの先輩が手紙を書いた人?」

 羽村は藍香の肩をバンバン叩く。

 その藍香は冷や汗をじっくり流していた。

 あぶな~っ!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ