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【19】考察する

ミィちゃんが付けた傷に気休め気分で絆創膏を貼っておいたけどやはり治る気配はなかった。うむ、ニキビは治るけど怪我は治らない、と。世界中でゾンビ研究をしている学者さんたちに症例として提出して大混乱させたい。

大した傷ではないけれど、それだけにいつまでも治らないのは逆に目立つ。


「どうすればいいかな」

「このくらいならコンシーラーで綺麗に消せるよ。傷跡隠し用のを使うといい」


いつもながらゾンビの先輩が頼もしい。ちょいちょいと上手にやってくれた。


「さすが香澄。ありがとう〜」

「どういたしまして。将来的には特殊メイクなんかも学ぶべきかなと思ってるんだよね」

「特殊メイク。映画とかの?」

「そうそう」

「本物のゾンビらしくゾンビメイクを?」

「やってどーする。私たち寿命がどうなるかとか、今後容貌がどうなるかとか未知じゃん?」

「うん」

「逆にずっとこの姿のままで何十年って可能性もあるじゃん?周りの人たちと差が出ないように、老けメイクが必要かなって」

「老けメイク…このアンチエイジング時代に。いいじゃんそうなったらもう奇跡の美魔女として生きようよ」

「あかりは相変わらず楽観的と言うか前向きと言うかなんと言うか」

「ニキビが治って傷が治らないのに深く考えてもしょうがないと言うかさ」

「一理ある…。何度聞いてもニキビが治るのは理解できないけど」

「そう言われても。香澄は何かないの?ゾンビなのになぜ、みたいなこと」


尋ねてみると香澄はうーん、としばし唸ってから「夏に熱中症になりかけたことがあるかな」と言った。


「ええ〜〜〜〜〜??ゾンビなのに?」

「ゾンビの分際でニキビ作って治す人にそんなドン引きされる謂れはない」


そこから香澄のゾンビ考察が始まった。ゾンビによるゾンビ考察はなかなか新しい。

曰く、一般にゾンビは死んでいるので攻撃はほとんど効かないが、唯一頭部だけは効く。だから脳だけは生きているのではないかと言うのだ。自我は失っているが「人間を襲え」という命令だけは脳から出ている。だから脳を潰すと動かなくなる。ゆえに熱中症にもなる、と。


「…最後ちょっと強引じゃない?」

「認めよう。でも真夏にちょっとボーッとして危なかったのは事実なのよ。私たち汗もかけないしそもそも気温分からないし水分も摂らないしこの上なく熱中症になりやすい条件揃ってるからね。温度計見て暑くなってたら無駄と思わずにエアコンつけなさいよ」

「はーい」


と言うことはつまり。


「脳だけは生きているからニキビができてそして治る…」

「いや意味不明だからそれは」


ゾンビまだまだ謎が多い。


  (続)

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