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【13】新たな一面を見る

そろそろ肌寒さを感じ始めるであろう冬の手前。寒さを感じることのない私と香澄は学内の芝生に座り込んで、最近あったことなどを話し合っていた。

そこへやってきた爆弾男、井田くん。


「おっすー花宮。なあこないだの彼はカレピ?」


絶妙に腹立たしい。どう文句を言ってやろうかと考えていると、井田くんはじっと香澄を見つめていた。


「あれ、もしかして…えと、あなた…も?」


うーん。私よりはるかに擬態レベルの高い香澄のことも分かるのか。もう特殊能力だろうこんなの。どうしようかと目線を送ると、香澄はじっと井田くんを見据えながらゆっくりと腕を組んだ。


「さては君があかりのことを見破って弱みを握ったとばかりに付きまとっているという男子ね!」


いやそこまでは言ってないよ…。


「へっ?!いや、オレはなにも、そんな悪いことはなにも!なぁ?花宮」

「どうだろう…」

「花宮ーー?!」


焦る井田くんが面白い。


「とにかく!一度でもあかりのことを他言しようものなら私が必ず君のことを噛んで地獄に堕としてやるわ…。覚えておきなさい」


こ、怖っ。こんな怖い香澄は初めて見るよ。でもかっこいい…!惚れてしまう。


「い、言いません!花宮…サンのことも、あなたのことも、絶対に言いません!」


なんだろうこの私に対するのとの態度の違いは。


「よろしい…でも信用したわけじゃないから。さてもうすぐ次の講義だ。じゃあまたねーあかり」

「うん、またね」


香澄の姿が見えなくなった頃、隣でぷはーっと息が吐かれた。息止めてたんかい。


「今の人…」


うんうん、怖かったねぇ。


「すっげー綺麗だな…」


……は?いや確かに香澄は綺麗だと思うけど。あんな怖い顔で睨まれてあれだけ責められて出てくる感想がそれでいいのか君は。そういうアレか。


「あの人も、その、ゾンビ?」

「…さあね」

「せめて名前だけでも教えて」

「高村香澄さん。2年生」

「センパイかー。名前も綺麗だな…」

「言っとくけど香澄に変なことしたら私が噛むから」

「しねぇよ!てかなんでオレの扱いそんななの?!」


後日。学食で「香澄サーン」と声をかけて気安く呼ぶなと怒られ、「高村センパイ」と言い直させられている井田くんを目撃した。


  (続)

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