07 prologue
帰ってきたらなろうの投稿システムの仕様が変わっていてびっくりしました。Σ(゜ω゜ノ)ノ
宵の口、黄金色から瞑色に変わろうとする空を見上げ、佇む少年がいた。
黒色のコートに身を包み、左右の腰にショートソードを、腰の後ろにロングソードを吊り下げた少年のいる場所は草原なのだが、緑あふれる美しい草原ではなかった。
いつもは辺り一面、緑色で草の青々とした匂いがする草原だったはずが、今は生々しい血の匂いが漂い、地面が大きく抉れ、窪んでいる箇所には赤黒く、鉄臭い人間の血と、青色や黄色の人のものではない異臭のする血が混じり合ったいくつもの血の海が出来、周りにはその血の持ち主だった、バラバラになった死骸が無数に転がっている。
この草原、モトル平原は大陸の中心部で東にルーフェルト王国を中心とした人族と獣祖族の東側諸国、西にラルカ帝国を中心とした帝国の属国で成される人族至上主義の西側諸国、南にリンドと呼ばれる大樹海、そして北にエトルと名付けられた山脈群と接してい、人や物が行き交う交易路だった。
およそ500年前に隕石が大陸中央、モトル平原に落ちた。
隕石は落下後、大陸を激しく揺らし、1年の間大陸を闇で覆った。
悪夢のような1年が過ぎた後、今までいた魔物と呼ばれている生き物が急激に増加し、凶暴化した魔物は視界に入った動物を襲うようになり、増えた魔物はまたたく間に自然あふれる大地を死の領域へと変えていった。
中央で分断され、魔物に侵攻され始めたルーフェルト王国とラルカ帝国は双方とも、原因不明の事態を相手の国の侵攻作戦だとし、主力の軍をモトル平原に送る。
だが増加し、凶暴化した魔物は、前衛を高火力で後方から支援する魔法師団の攻撃が効かず、前衛の騎士師団は剣で切ろうにも低ランクの魔物でさえ刃が通らなくなってい、逆に魔物の攻撃は簡単に騎士たちの防御を食い破り、蹂躙した。
前衛が機能せず、戦線を突破された軍は脆く、たやすく魔物に蹂躙される。
100万超えだったはずの両国の軍は、敗走してきた頃には100を切ることとなった。
主力軍を壊滅させられ、有効な対抗手段がない両国は防衛戦力に余裕がなくなり、少しずつ戦線を後退させていく。
そして隕石落下から15年後、奇しくも両国とも同時期に反転攻勢に出る。
ルーフェルト王国は、隕石落下前から魔物と対峙してきた狩人たちと、改良された魔法(その後七属性魔法となるもの)を使う魔法使いと、特殊な希少金属で作られた鎧や武器(後にAMTとなるもの)を扱う対魔物仕様の騎士の混成部隊で攻勢に転じた。
対するラルカ帝国は、星の神々の力を借りるという星式魔術を使い、異世界から大規模召喚した勇者たちを主軸に星式魔術師の火力支援により、軍の被害がほどんどなしで押し込まれていた前線を押し返し、前進していく。
両国の10万の主力軍はすぐに平原中央で接触したが、そこには隕石の落下で出来たクレーターと、高さ3メートルほどの禍々しい繭があり、その繭を守るようにいる魔物がいた。
両軍とも予想外の物を前に困惑したが、次の一瞬で状況が変わることになる。
繭が赤く光かると、両軍の前方部隊が爆発に飲み込まれ消し飛び、後方部隊には爆風による余波で壊滅的な被害が及んだ。
一瞬で軍の大半を失った両軍に魔物が追い打ちをかけ、本国に伝令を送り出した残存部隊を蹂躙していく。
平原中央は勇者や将軍、貴族、雑兵、誰もが等しく命を散らす地獄となった。
本国になんとかたどり着いた伝令により、このことが伝えられ残りの5万の守備兵力で迎撃体制が整えられるが、危惧したアメーラ・ラ・ファンと便宜上名付けられた平原中央の繭による侵攻は無かった。
だが、平原中央へ向かうほど魔物が強くなり、500年の間、何度もアメーラ・ラ・ファンの排除作戦が行われるが、目標物へたどり着く前に、強力な魔物の妨害により、部隊の壊滅・撤退を余儀なくされ、この500年間アメーラ・ラ・ファンを確認することは出来ていない。
そして現在、南のリンド・北のエトル寄りのモトル平原の魔物支配域が狭まり、王国と帝国の戦力が邂逅し争うようになっている。
だが、魔物はいなくなった訳ではなく、王国・帝国・魔物という三勢力による乱戦が起きている。
それが現在の状況であり、一人佇む少年がいる戦場の惨状が形成されている理由である。
少年は戦場の亡骸を全て燃やすために魔法で火をつける。
そのまま亡骸の山に背を向け、すっかり暗くなった平原の闇に消えていった。
つけた火は広がり、日の落ちた限りのない星空を照らすように燃えている。
その炎の色は高温なためか青だったが、とても冷たい青だった。
これから週一で投稿できたらなと思っていまーす。
頑張って毎週投稿しますのでよろしくお願いしまーす。m(_ _)m