00 始まりの前
初めての作品です。拙いところもありますが宜しくおねがいします。
ひどく冷え込んだ夜、大学の研究施設は燃え上がり、暗い空は少し赤くなっていた・・・・・・
誰もいないボイラー室では入ればすぐに鼻につきむせるほどのガスが経年劣化でヒビが入った太いパイプから漏れている……
そして数時間後、ボイラー室は凄惨な姿になっていた。破裂したパイプ、大破したボイラー、崩れた鉄筋コンクリートの天井と壁、更に追い打ちをかけるようにいつ消えるかもわからぬ火の海、空には必死に消火作業を急ぐ消防士を嘲笑うかのように黒煙が激しく吹き上げている。もはや建物内に生存者がいるかは一目瞭然だった。
俺は柳川 優夜普通の大学生だ。それなりに科学分野が得意だった俺は理系の大学に入り、多くはないけど少なくもない友達もでき、尊敬できる教授の研究室にも入れた。充実した人生といえる日々を送っていた。
11月の下旬ごろ、その日はいつもより寒かった。
「柳川、サンプルのチェック終わりそうか?」
「流石に日付が変わるまでには終わりますよ、宇田教授」
「おお そうか私は帰るがあまり無理はするなよ」
「はい これが終わったらすぐに帰りますけど、なんたって卒業論文がかかってますから」
「そうだな、また明日」
さよならと言って俺は教授を見送る、ふと時計を見ると針は9時45分を指していた。
「もうこんな時間か」思ったより長い間、集中していたようだ。コーヒーを入れに行くついでに寒くなってきたため暖房の温度を上げる。すると真っ暗になった。電気の使いすぎでブレーカーが落ちたのだ。
だが、そうだと理解することはできなかった。なぜなら床が吹き飛び自分も塵のように吹き飛ばされたからだ。
強烈な痛みに俺の意識は引き戻された
「がぁっっっ」
おぼろげな意識の中、感覚のない足に目をむける。だがそこにあるのは俺の足だった物だった。右足は肉がぐちゃぐちゃになり骨が見え少ししか原型をとどめていない。左足は比較的マシだがおかしな方向に曲がり、肉が削げている。腕も何箇所も折れ、脇腹からは大量の血液が今も流れ出ている。
辺りを見るとそこはコンクリートの破片と激しく燃える炎が目に入った。
「ゲホッゲホッ!?」
咳き込み血を吐き痛みに顔をしかめる。視界がブレてくる。
ああ、死ぬのかと思いつつ、熱いはずなのに体が冷たくなっていくのを感じながら意識を失っていった。