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16 用意




 ふっ飛ばされた剣を回収し、重心のズレなどが無いかを確認してから鞘に収める。


 「お疲れ様、アルト」


 シルフィリアの元に戻るとそう声をかけられる。


 「お待たせしました、お嬢様」


 「これで試験は終わりよね?」


 「ええ、結果は3日後に通達される予定です。」


 「帰りに甘いものでも買おうかしら?」


 「トール様にも買って帰りましょう、きっとお喜びになられます」







 学園の試験を受けた翌日、俺は庶民街にあるAMTの工房に来ていた。


 あの実技試験での戦いにて、模擬戦で使えるAMTが学園では必要だと感じたので、威力が抑えられた魔術を刻む用のAMTの制作を依頼しに来たのだ。


 「ガルフさんー、居ますかー?」


 「あら、アルト君、久しぶりね。あの人なら今、休憩してるわよ」


 店の扉を開け中に入ると、ガルフさんの奥さんであるイリアさんが居た。


 「お久しぶりです、イリアさん」


 イリアさんに挨拶し、店の奥にあるドアまで行き、開けると……

 おっさんが寝転がっていた。


 「ガルフさーん、アルトですよー」


 そう声をかけると


 「おお、アルトか! 生きてるならもっと来い、死んじまったかと思うだろう」


 「俺はそう簡単には死にませんよ。来なかったのは王都に来る用事が無かったからですよ」


 「で、どうしたんだ。 AMTでも壊れたか?」


 挨拶を済ませ、本題に入る。


 「今日来たのは、威力を抑えた非殺傷の魔術用のAMTを作ってもらうために来たんです」


 用件を話すと不思議そうな顔をされる。


 「お前……今度は帝国の1個師団でも丸々捕虜にする気か?」


 「違います!! 今度、学園に入るのでやり過ぎないように必要なんですよ」


 「あー…… 確かにお前なら安全装置のキャパシティを余裕で超える威力をバカスカ撃てるから怪我させちまうのか……。 でもなんで学園に行くんだ?」


 「護衛ですよ。 AMTは腕輪型でお願いします。威力はどうでもいいので、速度と処理能力重視、あとは耐久性も欲しいですね。 出来ますか?」


 「ああ、出来るが、お前が使えるレベルのを作るとなると時間が掛かるぞ」


 「分かっていますが、俺が殺してしまわないうちにお願いします。 代金は狩人(シャサー)ギルドに回しておいてください」


 用件が済んだので去ろうとする。


 「完成したらギルドから知らせる。 あと、最近怪しい奴らが増えてる」


 「どんな奴らですか?」


 王国内には多くの不穏分子が居るが、あの掃除大会以降、動きは無かったはずだ。


 「それがなぁ…… 人族の魔法師なんだが、全員魔法師らしくないんだよ」


 魔法師なのに魔法師らしくない?


 「調べておきます。 ガルフさんも何か分かったら連絡してください」


 表に居るイリアさんにも別れの挨拶をし、大通りを歩く。


 ガルフさんの言う怪しい奴らに当てはまる勢力を考えてみるが俺の知っている奴らにはそんなのは居ない。


 魔法師なのに魔法師らしくない、という言葉に引っ掛かりを覚えつつ、俺は屋敷に戻った。


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