13 試験
王都に着いた翌日、俺とシルフィリアは王立魔法士養成学園に来ていた。
周りからの品定めするような視線を感じながら、長い歩道の先にある学園の校舎を目指して歩く。
「アっアルト、試験とはどういったことをするの?」
学園の入学試験というが俺達は入学することが決定しているため、能力を測るための試験であるのだが、シルフィリアは周りの雰囲気に当てられて緊張しているようだ。
「簡単な筆記試験と学園側が用意した試験官との模擬戦、魔術技量の測定などの実技試験ですね。両方ともお嬢様なら問題ないレベルです。」
「それなら安心ね」
「学園側からの勧誘なので、お嬢様が受けるのは実力を測るためですよ」
この試験は最低限の力を持たない者を弾くのとクラス分けをするためのものだ。
校舎の前の受付にロータス伯爵家に送られてきた王家からの推薦状を出す。20秒ほどで確認が終わり、腕輪を渡される。
「こちらの腕輪は受験証となります。筆記試験の用紙の受験者の登録や実技試験のデータ記録に使用いたしますので、紛失や破壊されると失格となる場合がございますのでご注意ください」
シルフィリアに腕輪を渡し、自分も装着する。リング型で動きを妨げないように手首より少し上に付くようになっている上に軽いため、動きには支障が出ない。
係員に誘導され筆記試験の会場に案内される。会場には魔法・魔術感知そして妨害の結界が張ってあり不正ができないようになっていた。
用意されている席はシルフィリアの隣だ。着席してからしばらくの間、待っていると受験者が全員揃い、試験が始まった。
筆記試験は拍子抜けするほど簡単だった。日本の中学生なら余裕なレベルの算術に、申し訳程度の生物と歴史・地理が試験内容だ。隣のシルフィリアもしっかり出来たようで安堵の表情を浮かべている。
さて、次は実技試験である。
筆記試験会場から出て、王国一と言われる魔法学園の実技訓練場へ案内される。
実技訓練場の外観はよくある体育館とほぼ一緒なのだが、中はコンクリートに似た、魔法・魔術に耐性のある灰色の石材で室内全体が覆われている。
試験は一対一の模擬戦を行い、模擬戦相手を務める試験官と審判役の試験官が評価をする。ちなみに魔法・魔術のダメージは腕輪がほとんど無効化するようになってい、一定のダメージを受けると赤く光って戦闘不能のダメージを負ったことがわかるようになっているらしい。
シルフィリアの前の受験生は魔法剣士で剣筋はいいのだが、魔術の発動時に動きが鈍くなってしまったところを攻められ、3度目の発動タイミングであっけなく勝負が決まった。
「次! シルフィリア・ロータス、前へ」
「はい。 よろしくお願いします」
シルフィリアは完全な遠距離型なので先程の試験官と替わり、遠距離型の魔法士の試験官が出てくる。
「用意は出来ているな? 始め!」
戦闘の火蓋が切られると同時にシルフィリアが杖を振り、エアカッターを飛ばす。
高速で飛んでいったエアカッターは試験官の生み出した魔力障壁に阻まれる。だが、防いだ試験官の魔法士は驚いていた。
エアカッターは簡単な風系統の魔術である。AMTに術式を書き込んでおくことによって即時発動できるが、問題は速度と威力だ。エアカッターは距離減衰率が高く、普通は十分な威力が出るのは10メートル以内とされている。なので前衛型の魔法士ぐらいしか使わない。しかし、今の相対距離は20メートル以上だ。その距離からのエアカッター《空気の刃》の威力が、至近距離で発動されて防いだものより強かった。
予想外のことに驚き、反撃に移らない試験官にシルフィアはエアカッターとエアボムを交互に放っていく。
魔力障壁だけでは防げないと判断した試験官はウォーターカッターだけで攻撃を捌いていく。
このまま持久戦になるのを避けた試験官はミストで視界を遮り、仕切り直しを図る。
両者とも霧で相手の姿が見えなくなった。
魔力探知などの索敵が得意ではないシルフィリアには、霧で視界不良な現状、不利だ。
だが次の瞬間、シルフィリアの魔力が高まり「『太陽風』」という鍵言が聞こえると共に、圧倒的な熱量を持った風が吹く。その炎はそこそこ距離があるはずなのに吹き抜けた熱風で火傷しそうな程熱かった。
シルフィリアの放った火と風の合成魔法は霧を晴らし、試験官の咄嗟に張った大量の水を使った防御壁を綺麗さっぱり蒸発させていた。
「そこまで!! シルフィリア・ロータスの勝利」
審判が試験の終了を告げる。シルフィリアは全力ではなかったが試験としては十分だったようだ。
シルフィリアと入れ替わるように模擬戦を行うエリアに入る。
さて、シルフィリアと同じようにすぐに終わらせるのはつまらないので、ちょっと遊んでみるとしますか。
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