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08 悪夢




 まただ、守りたかったはずなのに。




 また何も出来ないまま失っていく。




 すぐそこにいるのに、大切な者が目の前で殺されようとしているのを眺めていることしか出来ない。




 その後姿に手を伸ばし、名を叫ぼうとして目が覚める。


 「エマ・・・・・・」


 無意識に声に出してしまい、まだ自分は認めたくないのかと思う。


 エマは殺されたのではない、殺したのは・・・・・・俺だ。



 俺の剣の折れ飛んだ刃が刺さり、さらに俺の自爆による衝撃波で体をぐちゃぐちゃにした。



 なのにすべてを巻き込むはずの爆炎で、俺は死なずに生き延びた・・・・・・いや生き残ってしまった。


 放っておけばすぐ死ぬような瀕死の傷を負い、そのまま力尽きようとしていたのに、エマの

「抗って、生き延び続けt・・・eて・・・ぃt・・・・・・に・・・&%#さい」

というエマの何故かノイズが走り、不鮮明な声が聞こえたから、迫りくる死に抗った。


 傷を焼いて止血し、体を引きずりながらその場から離れ、街の外の平原にある大木の下で力尽きた後、通りかかったシャサーのパーティーに助けられた。





 ベットから出て、まだ日が昇る前の空を見ようと窓に近づく。ガラスに映った首の前面から左側の後ろにかけて残った傷が目に付く。


 なにかに自分の姿が写ると、ふと考えてしまう。


 『自分が生きていることに意味は、理由は本当にあるのだろうかと』



 家族や親しい者を失い、グラン・アースルトという名を捨て、何もかもを無かったことにして、孤児のアルト・グラースとして生き延びたが、果たして、希望を持たず、過去に囚われ後悔し続ける日々を繰り返している無意味な今に意味があるのかと。


 だが、死ぬことは俺には許されない。

 

 死が迫ればエマのあの声が脳裏に響く。

 あのとき聞こえた声は彼女を助けられなかった俺への言葉(のろい)なのだろう。



 明るくなってきた空を一瞥いちべつして身支度に移る。傷が隠れるようにハイネックの襟を引き上げ、着慣れたトレンチコートに袖を通す。シャサーであることを示す腕章の位置を正してから壁に立てかけていた剣を持ち、部屋を出た。


ルビ振り面倒になったなぁー

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