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20,追撃


 ベアトリスはマクドリア軍のすべての騎兵を集め、一千騎の部隊でトルーナン軍を追撃していた。

 足の遅い本隊は、先行しているベアトリスの部隊をゆっくりと追いかける。


 山あいの細い道。乾いた土埃を舞いあげて、ベアトリスの騎馬隊はトルーナン軍に追いつくべく馬を走らせていた。


「止まれ!」

 先頭を走っていたケビン副官が部隊の停止を命じた。

 部隊はスピードを緩めて馬を止めた。

「どうしたの」

 ベアトリスが馬を先頭に進める。

「見てください。柵が作られています」

 ケビンが指さす方を見ると、前方の道に木の柵が作られていた。太さがそろっていない木をロープで固定した即席の障害物だが、柵が3重になっているので、撤去するには相当な時間が必要だと思われた。


「とにかく、片付けるのよ。一刻も早くトルーナン軍に追いつかないと」

 ケビンはうなずいて、兵に撤去を指示した。


「おーい、ベアトリスぅー! こっちだー!」

 不意に上から声が響いた。それは道の両側の斜面に反響して馬を脅かす。

 皆が見上げると崖の上にタケルがいて、手を振っていた。

「ベアトリス! 今は裸じゃないのか。得意のストリップをやってみろよ」

 笑いながら彼女をからかう。

「タケル! この卑怯者が。さっさと降りてきなさい。その憎たらしい顔を真っ二つにしてやるわ」

 彼女にとってタケルは天敵ともいえる存在。

「卑怯なのはそっちだろ。お前が登ってこい。我がトルーナン軍は、山の上で待機している。ここで決着をつけようじゃないか」


「望むところよ!」

 そう言ってベアトリスは副官のケビンに山を包囲するように命じた。


「お待ちください。姉上」

 エトラートが馬を寄せてきた。

「タケルさんは優秀です。たぶん何か策があるのでしょう。今ひとつ慎重になるべきでは……」

 ケビンは無言でうなずく。

「でも、タケルがいるということはアリサもいるでしょう。そして、アリサがいるのならトルーナン軍もいるはずよ」

「そうでしょうか……。この山を見ると木が少ないし、それに山肌が見える場所もある。あたりには小川もありませんでした。水源がないと思われる場所にトルーナン軍が陣取るでしょうか」

「そうかしらねえ……」

 ベアトリスは辺りを見回す。


「おーい! どうしたあ。怖じ気ついたのか裸姫」

 上のタケルがバカにする。

「お前の露出癖は全大陸で有名になっているぞ。他の国でもベアトリスの話題が出るたびに大笑いだ。良かったなあ全国的に有名になれて」

「タケルぅ……」

 ベアトリスの顔がゆがむ。今までの恨みがフラッシュバックした。

「包囲よ! この山を囲むのよ。やつを逃がさないで」

「姉上! 幼稚な挑発に乗ってはいけません。稚拙な誘いには必ず裏があります。ここは冷静に……」

「うるさいわね! わたくしはマクドリア王国の第一王女よ。それがバカにされて平気でいられるわけないでしょ!」

 ベアトリスの剣幕にエトラートは黙り込む。

「すぐにこの柵を壊して。それから山を包囲するのよ。あのタケルだけは許しておけない」


 命令に従ってケビンは柵を撤去し、後からやってきた本隊に命じて山を包囲するべく、ふもとをなぞるように兵を左右に進行させた。


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