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星水シロ、ゆっくりしていってね。

本日2話更新です。

 夏コミが終わって二日後、俺は星水シロとして配信を始めた。

 会社以外でも配信できるように自宅に防音室を作ったので、これからは自宅から自由に配信ができる。


『こんばんはー!』

『シロくん夏コミ行ったよー!!』

『配信嬉しいです!!』

『やったぁぁぁあああああ!』

『シロくん可愛いよー』

『夏コミお疲れ様ー!』

『おかえり、シロくん!』


 配信をつけた俺は、人が集まってくるまでしばらく放置する。

 すると一気にカウンターが回り始めて視聴者が一万人を突破した。


「はい」


 俺はあえてテンションを落として一言そう呟く。


『はいきたあああああ!』

『はいの一言だけで死ねます』

『はいありがとうございまーーーす!』

『はい! はい! はい!』

『配信捗る!』

『はい、捗る!』

『なんかテンション低いw』

『今の声、シロくんてかちょっとあくあ君ぽい』


 俺は一呼吸おくと改めて喋り始める。


「そういうわけで、そういうことです」


 配信のいいところはライブ感にある。

 最初の雰囲気を見る限り、視聴者はノリの良い人が多そうだったから、俺はあえて弄ってみる。


『シロくん、それじゃあなんの説明にもなってないけどw』

『どういうわけで、どういうことなんだってばよ?』

『言葉が足りないにも程があるよー』

『なるほどね、そうやってお姉さんたちを弄んじゃうんだ。ふーん』

『昔はもっと素直でいい子だったのに……ママは悲しいわ』

『へー、そんなこと言うなら、チャンネル登録しちゃおっかな』

『そっけないのいいですね。捗ります』

『どうやったら投げ銭できますか?』


 やっぱり思った通りレスポンスが早い。

 ところでその捗りますって言葉、流行ってんの?


「なんちゃって! そういうわけで配信を始めたいと思います。みんなー、こんばんわ! 少しの時間かもしれないけど、ゆっくりしていってね!! それと最初に死ぬって言ってた人、死んじゃダメだよ?」


 俺は星水シロの声で、テンションを一気に上げる。


『ぐああああ、シロくん可愛いいいいい』

『ゆっくりしていきます!!』

『配信待ってました!!』

『今来ました!!』

『ゆっくり捗ります!!』

『予告なし配信、これだからベリル所属は最高だぜ!!』

『あわわわわ、シロくんから死なないでって言われちゃったよぉぉぉおおおおお』

『今の一言だけで、自殺しようと思ってた人を相当数救ったな』

『え? ちょっと待って、配信ってこんなに距離近いの?』


 俺はある程度コメントが流れるのを見てから、画面に今日のお題を出す。


「今日は、自宅からのテスト配信だよ。よかったらみんなおしゃべりしようね」


 気がつけば視聴者のカウンターが10万を突破していた。

 まだ挨拶しかしてないのにこんなに集まるなんてすごいな。


『おしゃべりきたぁぁぁあああああ』

『自宅からの配信……ゴクリ』

『自宅からの配信捗る!』

『自宅ってことは、もしかして今部屋着ですか?』

『シロくん、暑くなってきたからってお腹出しちゃダメだよ? ママ心配だわ』

『よくみたらシロくん半袖Tシャツじゃん!!』

『あっ……あっ……あっ……』

『ぐあああああ!』


 コメント欄でも書かれているが、自宅仕様ということで、星水シロもいつもの衣装ではなく部屋着を着ている。

 丸襟のポケットのついた半袖のTシャツと、下はハーフパンツだ。

 とは言っても上半身しか見えないから、視聴者から下はわかんないんだけどね。


「そうだよー、今は部屋着だね。あっ、それとみんなSNSの告知は見たかな? 絵が上手な人は良かったら応募してね。僕も自分で描いてみたんだけど社長とたまちゃんがダメだって言うんだよね」


 ちなみに黛や天我先輩からもやめといた方がいいと言われた。

 可愛く描けたと思ったんだけどなぁ……。


『やばい、どういう画像だったのか気になる!』

『怖いもの見たさで見たい気がする』

『社長とたまちゃんNICE!』

『多分、マユシンくんと天我先輩も必死に止めたんだろうな』

『絵、下手だけど頑張って応募してみた』

『プロの絵描です。きてた仕事全部断って書きました』

『シロくんの絵、捗る!』

『あー……ま、仕方ないよね』

『シロくん、シロくん! 人ってね、向き不向きがあるんだよ?』

『ママ、シロくんは絵を描かない方がいいと思うの』


 なぜかコメント欄でも、俺の描いた絵は不評っぽそうだった。


「えー、なんかみんなひどくない? ちゃんと真面目に描いたのになー。それと……お仕事、断っちゃダメだよ。ちゃんとお仕事しよ? お姉ちゃん」


 俺は少し頬を膨らませてそっぽを向いた。


『がああああああああああ!』

『お姉ちゃんんんんん!』

『破壊力高いお姉ちゃん呼びきた!』

『明日、仕事だけど元気出たわ』

『全国のお姉ちゃんが死んだ!!』

『明日、みんながお仕事頑張りすぎて定時で帰れそう』

『むくれ顔のシロくん捗る!』

『シロくん、機嫌直して、ママ謝るから』


 俺は表情を戻すと、再び正面の方を向く。

 するとその際に、ほんの少しのラグを感じる。


「あれ……なんか重くない?」


 配信に遅延をつけているが、それのせいにしてもなんか動きがもっさりとして重たいような気がした。

 ちなみに配信のコメント欄は、不適切なコメントで配信がBANされないように、ある程度はソフトが省いてくれているらしいが、それで足りない分はしとりお姉ちゃんが手動で取り除いてくれている。


『そう言われたら確かに重たい気がする』

『なんだろうね?』

『視聴者数100万突破www』

『まずいですよこれは!』

『頑張れサーバー!』

『サーバー、まさかとは思うがお前さん死ぬのか?』

『悲報、サーバーさんまた負ける』

『おい、配信始まってまだ10分経ってないぞ! せめて2桁は粘れ!!』

『サーバーが死ぬ前に投げ銭しようと思ったら、投げ銭できない!! 早く投げ銭させて!!』


 コメントを見て、改めて視聴者カウンターの数字を見ると140万を突破していた。

 待って待って、流石にこれは流石に想定外すぎる。俺は慌てて告知に入った。


「えっと、まだ詳細は言えないんだけど、実は9月に、初めてのオンラインイベントに参戦します! 良かったらみなさん見に来てください!! 初めてのゲーム実況になると……って、あっ、ゲームって言っちゃった!!」


 しまったあああああ。

 焦ってほんの少し情報をお漏らししてしまう。後で主催者の人に謝っておかないと……本当にごめん!


『うぉぉぉおおおおお!』

『オンラインイベント捗る!』

『お漏らしきちゃあああああ』

『やったあああああ』

『ゲーム実況のイベント、某大会だと長時間配信あるぞ!!』

『○○カップか、○○まつりかな?』

『二次会とか出るんだろうか……』

『これはワンチャン、通帳カスタムあるな』

『たまちゃんやマユシンくんと出るのかな?』

『逆にベリル以外と絡むシロくんもみたい』

『ベリル三人でエペだと、たまちゃんがガチプレデターで、あくあ君がプレデタータッチで、マユシンくんがダイヤ帯だから、チームに割り振られたポイント制限の関係で無理じゃない?』

『某大会ならベリルトリオ無理だよね? 誰と組むのか気になる!』

『現役プロゲーマーとやるシロくんみたい!!』


 コメント欄がすごい勢いで加速していく。

 やらかしてしまったが、悔いたところでどうしようもない。

 俺はとりあえず配信が落ちる前にお礼の言葉を述べる。

 気がつけば視聴者数カウンターが1000万に迫っていた。

 ちょっと待って! さっきまで140万だったよね? 一気に伸びすぎでしょ!


「そ、そういうわけでみんなよろしく!! 今日は来てくれてありがとう! ごめんね10分くらいしか配信できなくって! それとこの後、公式SNSから質問募集するから良かったら応募してください!!」


 最後まで言い切れたのか、それともどこかで途切れたのかわからないが、配信確認用のモニターを見ると完全に落ちていた。

 俺はとりあえずちゃんと配信を閉じると、阿古さんにやらかしてしまったことを報告する。

 何のイベントに出るかまでは明言してないけど、迷惑かけたらいけないので一応主催者と一緒に出る人のメールに謝罪の言葉を送った。

次回、21時です。


Twitter、スパムと間違われて凍結されたので確定っぽいです。似たような事になった人に聞いたんですけど、フォローとフォロワーが同率で伸びてたのと、フォローの仕方がリスト見てノンタイムでフォロバして上限当たっては、繰り返しフォロバしてたのが、スパム的な挙動不審な動きと認知されたそうです。

交渉中だけど時間かかりそうなので、こっちが本垢になる可能性が高いので、申し訳ないですけど、前回フォローしてくれた人はこっちフォローお願いします。


https://mobile.twitter.com/yuuritohoney

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