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黒蝶孔雀、何もないわけもなく。

 俺たちが貸し切ったファミレスに入ると、既に到着した女性たちが緊張した面持ちで待っていた。

 どうしたらいいのか分からずに俺たちが戸惑っていると、最後に入ってきた白銀あくあが誰よりも前に出る。


「今日はよろしくお願いします!!」

「「「「「よろしくお願いします!」」」」」


 白銀あくあに続いて俺たちもぺこりと頭を下げる。

 女性達は、まさか白銀あくあが来るとは思っていなかったのかみんなびっくりした顔をしていた。


「白銀あくあです! 幹事の山田丸男が熱を出したので、今日は俺が代わりに来ました!! 改めて、俺たちのためにこんなにも集まってくれてありがとうございます!!」

「い、いえ。こちらこそこんな素敵な事を提案してくださって、ありがとうございます」


 白銀あくあは、女性の幹事代行らしい人と握手を交わす。

 よく知らないが、合コンってこんな感じなのか?

 白銀あくあは反転すると、俺たちの方へと戻ってくる。


「いいか。まず、普通の合コンじゃこんな事はしない。だが、しかし! 俺はそういう現代の合コンのスカした意識から変えていく。いいか、男なら冷笑系になるな。相手に好きになってもらいたいなら、自分の心を燃やせ!! 気持ちを全面的に押し出していくんだ!! 今の、いや、これからのお前たちに必要なのはそれなんだよ!! 失敗したっていい。失敗してもお前達には俺が、俺達がいるだろ! 恥ずかしがらずに自分を曝け出していけ!!」


 いや、普通の合コンをまず知らないんだが、お前はどうしてそうハードルを上げてくるんだ? ここに居る連中はただでさえ女性との繋がりが薄く、俺のようにどう接していいのかもあまりよくわかってない奴らなんだぞ。

 だが……そう思う一方で、悪くないと思っている自分がいる。

 俺たち、男性は基本的に女性から期待された事がない。そのままでいいよ。変わらなくていいんだと言われ続けてきた。だからこそ、こいつに、白銀あくあという男に期待されて嬉しくない男はいない。


「よし、円陣だ!!」


 えっ? ここで円陣を組むのか?

 でも、そんな事をいうやつはここにはいない。

 俺達はお店の入り口で肩を組んで円陣を組む。


「行くぞーっ!」

「「「「「おーっ!」」」」」


 心なしか、腹から声を出した事で、自分から女性達に話しかけられそうな気がしてくる。

 はっ!? もしかして、白銀あくあは最初からこれが狙いだったのか!?

 いや、こいつに限ってはそんな細かい事まで考えているようには思えない。


「よしっ! お前ら、1番奥の席から座っていけ! ちゃんと席に座る時に、よろしくお願いしますって言うんだぞ!!」


 俺たちは白銀あくあに言われた通りに、女性陣の待っている席に座っていく。

 ええっと、俺はここか。

 俺は荷物を置くと、目の前のいる女性へと視線を向ける。


「きょ、今日はよろしく頼む……みます」

「こちらこそ、今日はよろしくお願いします。ふふっ、あと無理に敬語じゃなくてもいいですよ」


 俺は軽く会釈すると、ソファに腰掛ける。

 一緒のソファに座った他の男性陣も俺と同じように女性達に挨拶をしていた。


「ソファが埋まったテーブルから、同じテーブルの人たちと自己紹介して!! まずはお互いに名前を知る事! それプラス、趣味とか特技とか好きな事とかを言うと、その後の会話がしやすくなるぞ!!」


 なるほど、一理あるな。

 俺は同じテーブルの他の奴らへと視線を向ける。

 どうやら、俺が最初に自己紹介しないと始まらなさそうだ。


「黒蝶孔雀、19歳だ。今日は熱を出して来られなかったが、幹事の山田丸男と一緒にアイドルをやっている。趣味は掃除です。特に風呂場の水アカ取りと、キッチン周りの油汚れ、トイレの掃除は得意だ。それと、今日は来られなかったあいつの為にも頑張りたいと思っているので、よろしくお願いします」


 果たしてこんな感じで良かったのだろうか。

 同じテーブルに座った他の男子達もそれに続く。


「み、宮内友也、18歳です。えっと、今は高三で来年から大学生になる予定です。特に趣味も特技もないけど、大学では趣味を見つけるためにサークルとかに入ってみたいなって思ってます。今日は参加できなかった山田の分まで頑張ります!!」

「横川雅史、24歳です。家電が好きで、家電量販店に就職しちゃいました。趣味はドライバーのソフビ人形集めです。今日は頑張ってくれた山田や、協力してくれたあくあ君のために、前のめりで頑張りたいと思ってます!!」


 白銀あくあの熱が感染したのか、宮内も横川も気合が入ってるように見える。

 これが白銀あくあのすごいところだ。あいつの側に居ると、みんながあいつみたいになってしまう。


「上田麗奈、17歳です。愛華先輩の後輩で、高校2年生です!! 学校ではチアリーディング部に所属してます。セイジョーマートでバイトしてて、今なら肉まん20円引きキャンペーン中なので、よかったら来てください! あっ、それと趣味は特にないけど、ドラマや映画、漫画を見たりするのは好きなので、よかったら、そういう話でたくさん盛り上がりましょう!」


 サバサバしてる感じの子だな。

 甲斐さんの後輩だけあって、上田さんは甲斐さんに感じがよく似ている。

 元気だけど、あまり恋愛というか、そっちでグイグイ来る感じがないのは、男性からは好かれるんじゃないだろうか。


「伊藤沙織、21歳です。メアリー女子大に在学しています。将来は高校の先生になりたくて、今は家庭教師のセイジョでバイトしています。実は家庭教師のバイトで麗奈ちゃんに勉強を教えてて、その繋がりで麗奈ちゃんから合コンに誘われてすごくびっくりしています。趣味はピアノを弾く事で、休日はクラシックのコンサートに行ったりしています。今日はよろしくお願いします」


 伊藤さんは少し落ち着いた、おっとりとしたタイプの人だ。

 ゆっくりと喋ってくれるので、話をする男性陣も緊張しなくていいんじゃないだろうか。


「えっ、遠藤彩音、17歳、高校2年生です。麗奈ちゃんとは違う高校だけど、小中は同じところに通っていました。まさか、こういうところに誘われるとは思っていなかったので私もびっくりしています…・。ハンドボール部に所属してて、ポジションは右のサイドです。って言ってもよくわからないですよね……はは。趣味は音楽を聴きながら走ることで、通学もトレーニングを兼ねて徒歩で行ってます。よろしくお願いします」


 遠藤さんは、緊張しているのだろうか?

 少しオドオドとしている感じだけど、あまりグイグイとくるタイプじゃないから男性陣としては接しやすいだろうな。


「おーっし、お前ら自己紹介は終わったか? しばらく話してみて、何か困った事があったら俺の席に来い!!」


 テーブルに座った全員が俺の方へと視線を向ける。

 ああ、言われなくともわかっているよ。俺が話題を振ればいんだろう?


「さっき、上田さんが映画やドラマが好きだと言っていたが、どんな作品が好きなんだ?」


 俺は対角線に座っている上田さんに目で合図を送る。

 甲斐さんと同じ気が利くタイプなら、俺の意図が汲み取れるはずだ。


「あっ! なるほど! 私はやっぱりあくあ君の出てるヘブンズソードが好きです!! あっ、でも、最近のダブルオーズはすごく展開が熱くて好きです!!」


 マスク・ド・ドライバー、ダブルオーズは、丸男が演じる火野漣と、俺が演じる菅田アンクの2人がW主演を務めるヘブンズソードの次のドライバーだ。


「ふふっ、最近のダブルオーズいいよね。最近は吹っ切れてきた蓮君と対照的に、人の優しさを知って戸惑うアンク君が可愛くて」

「わかります! 今までアンク君に振り回されていた蓮君が引っ張る感じになって、面白くなってきたよね」

「ははっ、ちょっとわかるかも」

「孔雀君って苦労キャラっていうか、振り回される方が合ってるよな」


 くっ! なんで俺は現実世界でも作中でもそういう役回りになるんだ!!

 あと、こっちをみてニヤニヤ笑うな。そういうのは他でやれ!!

 俺は照れ隠しのために軽く咳払いをする。


「お前らも年末にあるヘブンズソードを見るのか?」

「「「「「もちろん!」」」」」


 良い返事だ。そういえば、リアタイ視聴ができない丸男が悔しがっていたな。

 俺と丸男の2人は歌合戦に出演するから、ちょうどその時間帯はスタジオ入りしている頃だ。


「ねぇねぇ、ヘブンズソードのエピソードでどれが好き?」

「えー、急にそんな事を言われても選べないよ」

「ヘブンズソードは好きなエピソードがたくさんあるよな」


 俺たちのテーブルの会話が盛り上がる。

 ふっ、やはり困ったときは白銀あくあだな。

 大体、こいつの話をしておけば話が盛り上がる。

 俺は他のテーブルへと視線を向けた。

 ふむ、盛り上がっているテーブルがある一方で、そうじゃないテーブルもあるな。

 白銀あくあはそういうところに行って話題を提供しては、次のテーブルへと向かう。

 相変わらず、誰かの世話を焼くのが好きな男だ。だが、そういうところが悪くない。


「あっ、それよりお腹空いてきたね。なんか食べよ」

「あ、ああ、そうだったな」


 俺たちは全員でビュッフェコーナーに行く。

 と、みんなが料理をとっている間に、全員分の水とお手拭きを用意しておくか。

 俺は自分達の席にパパッと水とお手拭きを置いていく。

 すると、白銀あくあが俺に近づいてくる。


「孔雀、良い子はいたか? 俺的には揚羽さん並みのものを持ってる伊藤さんがおすすめだぞ」


 おい、俺をお前と同じカテゴライズにするな!!

 俺はジトっとした目を白銀あくあに向ける。


「さぁな。良い人たちだとは思うが、付き合いたいかと言われればよくわからない」


 そもそも付き合うってなんだ? 好きになるってなんだ?

 俺はまだそこのスタートラインにも立ててない気がする。


「そうか。じゃあ、今日はたくさん話して、普通に楽しめ。まずは彼女たちと友達のようになるところから始まるんだ。それならできるだろ?」


 なるほど……。確かにそれなら俺でもできるかもしれないな。


「わかった。じゃあ友達を作ってみるつもりで頑張るよ」

「ああ! それでいい」


 世話焼きの白銀あくあは他のテーブルに行くと、男女に関係なく場の雰囲気に慣れてない子達に声をかけていた。

 今、ふと気がついたが、白銀あくあは俺と同じ世話焼きなタイプなのに、なぜ、俺は振り回される方で、白銀あくあは周りを振り回す側なんだろう。

 いや、それを考えたら、天我アキラや小雛ゆかりもそうか。あいつらも世話焼きタイプだが、周りを振り回す方だ。俺はそこで3人の共通点に気がつく。

 3人とも世話を焼くタイプだが、それと同じくらい周りに世話をかけるタイプでもある。そうか、俺に足りないのはその隙だったのか……。

 でも、揚羽にすら世話を焼かれたくないと思っている俺には、自分からその隙を見せるのはとてもじゃないが無理そうだ。

 くっ、難儀な自分の性格に俺は頭を抱える。


「孔雀君、どうしたの? 頭、痛い?」

「あ……いや、なんでもないんだ」


 俺は話しかけてくれた伊藤さんに笑みを見せる。

 すると、その奥からトレイを手に持った上田さんがやってきた。


「わっ! みんなの水とかお手拭きとか用意してくれたんだ。孔雀君、ありがとう!!」

「あ、ああ。気にするな。俺が好きでやった事だから」


 続けて遠藤さんと、宮内と横川の3人が戻ってくる。


「孔雀君、ありがとう」

「孔雀、ありがとな。お前も料理とってこいよ!」

「ありがとう、孔雀君。助かるよ」


 褒められて少し恥ずかしくなった俺はテーブルを離れて料理を取りに行く。

 周囲のテーブルを見ると、さっきよりも会話で盛り上がってるところが増えていた。

 さすがは白銀あくあだ。お見合いパーティーでも司会をやっていただけあって、場を暖めるのが上手いな。


「ここのハンバーグ美味しいよね」

「わかるよ。俺も仕事の合間によくきてる」

「あ、宮内くん、お口にケチャップがついてるよ」

「あ、ありがとうございます」

「孔雀君、そこにある紙ナプキン取ってくれませんか?」

「ああ、ほら」


 みんなで楽しく食事を摂りながら、さっきの延長線上で会話に花を咲かせる。

 最初はどうなる事かと思ったが、意外とうまく会話が続くもんなんだな。

 徐々にだけど、お互いに少し気を抜いて会話ができるようになってきている気がした。


「食事が終わったところで、男性陣は一旦こっちに集まってくれ!!」


 白銀あくあは俺たちを集めると、気になっている女性はいるかと聞く。

 次に白銀あくあは女性陣を集める。おそらく同じような質問を聞いているのだろう。


「それじゃあ、今から呼んだ人はこっちに来て!」


 白銀あくあは男性と女性の名前をセットで呼ぶ。

 なるほど、この時点で両方が気になってると思った人たちや、片方が気になったと思ってる人たちを個別に話しかけられるようにしているのか。上手いな。

 次は俺が幹事をやらされるような予感がするから、しっかりと見ておく。


「じゃあ、呼ばれなかった人は少しシャッフルします!!」


 どうやら、うちのテーブルでは宮内と遠藤さんの2人がお互いに気になっていたみたいだ。

 上田さんと伊藤さんの2人が遠藤さんにエールを送る。

 それを見ていた俺と横川の2人も宮内を励ました。


「2人とも、俺、頑張ってくるわ!」

「ああ、頑張れよ!」

「応援してるからな!」


 俺たちのテーブルは2人が抜けて4人になる。

 ここで白銀あくあが横川を呼び出すと、違うテーブルに行くように指示を出した。

 その代わりに俺たちのテーブルに新しい女性1人と男性2人がやってくる。

 なるほどな。全体のテーブルを見て白銀あくあなりに、こいつはこっちが会うなと思うところに入れ替えているわけか。


「それじゃあ、もう一回自己紹介しよっか?」

「ああ、そうだな。それが良いと思う」


 上田さんの提案で、俺たちはもう一度自己紹介を始める。

 流れ的にはさっきと変わらないので、お互いに緊張感なくて自己紹介をする事ができた。

 それから十数分後、遠藤さんと宮内の2人が俺たちの席にやってくる。


「みんな、その……今から2人でちょっと、イルミネーション見に行こうって話してて」

「そういうわけだから、私達は先に帰るね。みんな、今日は本当にありがとう」


 2人は少し照れた感じで見つめ合う。なるほど、これがうまく行ったってことか。

 恋愛に疎い俺でもそれはわかるぞ。

 俺たちは手を叩いて2人を祝福すると、2人は嬉しそうな顔でお店を後にした。


「ちょっとお手洗いに行ってくる」


 俺は席を立ってトイレに行くと、丸男にメッセージを送った。

 しかし、少し経っても返信がない。もしかしたら、もう寝たのかもしれないな。

 俺はトイレから出ると周囲を見渡す。

 2割くらい人が減ってる。どうやら、遠藤さんと宮内のように何人かが先にカップル成立して帰ったみたいだ。


「気になった人がいたら、どんどん空いてるテーブル使って2人で話して良いからなー!!」


 白銀あくあの言葉に、何人かが勇気を出して1対1でのトークを申し込む。

 すごいな。最初はオドオドしてた奴らが嘘みたいだ。


 あくあの熱は感染するんだよ。


 そう言っていた黛慎太郎の言葉を思い出す。


「それじゃあ、ここから先はフリータイムにするから。みんな、どんどん席を入れ替えて話していって。気になった人が居たら個別に話してもらっていいし、直接相手に言いづらいなら俺のところに来てもらって良いから。あ、ただし、帰る時には俺に声をかけてな!!」


 最初は戸惑っていたが、何人かが勇気を出してテーブルを変わる。

 俺も違うテーブルの様子を見るために、席を変わってみるか。

 おおっ! すごいな。勇気のある女性数人が、白銀あくあの方へと向かっていく。

 そうか、あいつは幹事だが、一応は参加者だからな。

 それから小一時間ほどして、レストランに残ったのは半分を切っていた。


「まだ、話し足りないって人ー!!」

「白銀あくあの言葉に残った全員が手をあげる」


 ああ、そうか、もうお開きの時間なんだな。


「それじゃあ、時間ある人は、えみりがラーメン竹子で二次会の席を儲けてくれてるみたいだから、みんなでそっちに行こう。時間がない人は、気になる人とか席一緒になった人に声かけて連絡先交換しておいて!!」


 そういえば、さっきメッセージチャットで雪白えみりがそんな事を言っていたっけ。

 俺も一緒のテーブルになった人達と連絡先を交換する。

 今、思えば、揚羽や仕事で関係がある女性以外と連絡先を交換するのはこれが初めてかもしれない。


「孔雀君」

「ん?」


 最初に同じテーブルになった上田さんが背伸びして、俺の右耳に顔を近づける。


「今度、丸男くんと愛華先輩を入れて4人で食事しよ。ほら、2人とも今日参加できなかったから」

「ああ、そうだな」


 俺は上田さんの言葉に笑みを返す。

 今日のために頑張っていたのに参加できなかった丸男のやつもきっと喜ぶだろう。

 俺と上田さんが離していると、白銀あくあがこっちに近づいてくる。


「それじゃあ、孔雀、俺はここまでだから、あとは頼んだぞ。俺は一足早いホワイトクリスマスを楽しんでくるわ」

「きゃっ、あくあ君ったら、もう」

「ね、早くいこ」


 はっ!? ちょ、ちょっと待て!!

 白銀あくあは最初に話していた伊藤さんともう1人の女性を抱き寄せると、手を振ってファミレスを出ていった。


「あくあ君。すげぇ」

「同時に2人もお持ち帰りしちまったぜ」

「とてもじゃないけど俺には出来ねぇよ」

「あくあ様、素敵」

「くっ! やはり大きさは全てを凌駕する!」

「ちゃんと大きい順から2人がお持ち帰りされちゃったね」


 おい、お前ら、感心してる場合か!!

 一応、何かあったら行けないから白銀あくあ緊急連絡網で言っておくか。


「おい、孔雀。次はラーメン竹子だろ。早く行こうぜ」

「頼むぞ幹事代行」


 くっ、こういうのは柄じゃないが、俺が最後までこいつらの面倒を見るしかない。

 俺は頬を叩くと、白銀あくあのように気合を注入する。


「よし、お前ら、俺について来い!!」

「「「「「おーっ!」」」」」


 こうして俺たちは二次会のあるラーメン竹子へと向かう。

 ここでも半分以上のカップルが成立した。


「孔雀、今日は本当にありがとな」

「彼女はできなかったけど、めちゃくちゃ楽しかったよ!」

「丸男にもありがとうって言っておいてくれ!!」

「孔雀君、本当にありがとね!」

「今日はすごく楽しかったです。丸男君に素敵なイベントを計画してくれてありがとうって伝えてください」

「今日はありがとうござました。また、やるなら声かけてください!!」


 恋人ができなかった人たちも笑顔で帰路につく。

 みんなの嬉しそうな顔を見るだけで、俺の中に何かが込み上げてきた。


 冷笑系じゃなくて熱血系になれ……か。


 俺のキャラじゃないけど、こういう笑顔が見れるなら、頑張っても良いかなと思った。


「さてと、丸男の様子も心配だし、家に帰るか」


 俺が家に帰ると、なぜか顔を赤くした甲斐さんと丸男の2人が離れた距離でお互いに背を向けて座っていた。

 おい、お前らどうした? 俺が居なかった間に何かあっただろ?

 ナニモナイ? 嘘をつけ!! お前達の嘘はわかりやす過ぎるんだよ!!

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