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幕間、白銀あくあ、慎太郎のDATEマスターチャレンジ企画。

※まろんさんが暴走してるので幕間を投稿します。

「えっ? 今度、淡島さんとデートするからアドバイスが欲しい!?」


 学校で昼飯を食っていた俺はびっくりして喉を詰まらせそうになる。

 それを隣で見ていたとあが俺の背中を優しく摩ってくれた。


「あ、ああ。なにぶん、初めてのデートだからな。経験者のお前から何かアドバイスがあれば……」

「ゴホッ、ゴホッ! そういう事ならこの俺に全部任せろ!!」

「えっ?」


 やる気になった俺は立ち上がって握り拳を突き上げる。

 慎太郎には普段からとても世話になってるからな。今度は俺が慎太郎を助ける番だ!!


「それじゃあ、ちょっと俺は準備があるから行くわ!」

「えっ? いや、僕はアドバイスだけで……」


 俺はジト目になったとあと戸惑った顔の慎太郎を屋上に残して、1人でその場を離れる。

 これは当日までにちゃんと準備しないとな。

 俺は演劇部の部室に顔を出すと、リサに衣装のレンタルと当日のメイクをお願いした。


 そうして数日後。

 俺は慎太郎と淡島さんが待ち合わせしている場所に向かう。

 ふふふ、どーよ、この俺の完璧な偽装に気がついてる人なんて誰1人……って、あれ? なんか、みんなチラチラとこっち見てない?


「す、すご……。こんな街中に中世の女王様がいる」

「半端なコスプレじゃねぇな」

「今流行りの黒髪系の悪役令嬢っぽい」

「縦ロールじゃなくてゆるふわ巻きなのが可愛い」

「身長高いからかっこいい!」

「街で見かけたお姉様スレに書き込んどこ」


 うーむ。まぁ、いっか!

 今はそんな事よりも慎太郎のデートが重要だ。

 俺は近くのカフェのテラス席でお紅茶を嗜みながら、2人の到着を待つ。


「あそこだけガチのスターズじゃん」

「ああいうお姉様とお茶会がしたい!!」

「なんて優雅なのかしら」

「うーん、あの顔、どこかで見たことあるような……」

「いやいや、あんな美人、見た事あったら絶対に忘れないでしょ」


 おっ! 2人の待ち合わせ場所を注意深く観察していたら、帽子とマスクで変装した淡島さんが到着した。

 淡島さん、慎太郎とのデートが楽しみだったんだろうな。

 でも、流石に待ち合わせの2時間前に到着するのは早すぎるぞ。

 こんな事もあろうかと集合時間の3時間前からここに来ていた俺の判断は正しかったな。

 俺はソワソワしている淡島さんを見ながら、慎太郎にメールを送る。



 白銀あくあ@愛のキューピッド

 慎太郎。お前、もしかしていつものように時間ちょうどに行くつもりじゃないだろうな?


 SHINTAROU∞←メガネです。

 え? そのつもりだが、何かいけない事なのか?


 白銀あくあ@愛のキューピッド

 いつも予定時間ぴったりに到着するお前はすごいが、女性はな、男性とデートする時に頭がオーバークロックして予定よりも早く到着してしまう時があるんだ!!

 だから、今からもう行っておいた方がいいかもしれんぞ!


 SHINTAROU∞←メガネです。

 な、なんだって!? オーバークロックがあるのはヘブンズソードの世界だけじゃないのか……。わかった。僕も今から出る!



 ふぅ。我ながらナイスアシストだ。

 今朝4時に起きて準備してただけの甲斐がある。

 そのせいで隣で寝ていたカノンも起こしちゃったけど、秒でキスしてそのまま気絶をさせておいたから大丈夫なはずだ。

 あの時のカノン、可愛かったな。俺は少しデレデレした顔になる。


 ん?


 誰かがこちらに近づいてくる気配を感じた。

 もしかして、俺の完璧な変装がバレたのか!?


「ちょっと、こんなところで何してんのよ!」

「ヒトチガイデェース」


 俺は声を変えて、サッとメニュー表で顔を隠す。

 くっそ、この暇な大怪獣、どこにでもいやがる!


「人違いなわけないで……もがもが!」


 あっぶね。俺は咄嗟に小雛先輩の口を手で塞ぐ。

 全く、本当に油断も隙もない。あんまり煩かったら、カノンみたいに俺のキステクで気絶させますよ。


「大きな声を出さないでくださいよ。今、こっちは忙しいんですから」

「何よ。どうせまたしょーもない事やってるんでしょ!」


 俺は唇にもう片方の手で人差し指を押し当てる。


「しーっ! 尾行してるのがバレちゃうから静かにしてくださいって!!」

「尾行?」


 俺は待ち合わせ場所にいる淡島さんに向かって親指をクイッとさせる。

 小雛先輩はそれを見て納得したのか、急に静かになった。


「なるほどね。黛君から相談されたあんたが勝手に早とちりして来たけど、それが奇跡的にうまくいってるパターンってところか……」


 あれ? 俺、一言も喋ってないのに、なんで全部理解してるんですか?

 まぁ、それはいいとして、俺は忙しいんだから、邪魔せずにさっさとどっかに行ってくださいよ。

 俺は小雛先輩こと小暇先輩を解放すると、淡島さんの方へと視線を向ける。


「ふーん。いつもはシンプルな色気のない服装なのに、今日はちょっと気合入ってるじゃん」


 ちょっと!? 何で普通に小雛先輩も混ざってるんですか!?

 いくら変装してたって小雛先輩がいると目立ちすぎて、俺が俺だってバレるじゃないですか!

 えっ? もう十分に目立ってるって!?

 ふっ、どうやら俺の隠せないアイドルオーラが漏れ出てるみたいだな。

 っと、そんなしょうもない事を考えていたら、息を切らせた慎太郎がやってきた。


「すみません。もしかして、待ちましたか?」

「ご、ごめん。私がただ単に早く来すぎただけだから」


 2人はお互いにぺこぺこと頭を下げると無言になる。

 おい、慎太郎! 黙るんじゃない! そこですぐにフォローするんだよ!

 くっそー。こうなったら仕方ねぇ。男、白銀あくあ一肌脱ぎます!!

 あー、あ、あー!


「ごめんなさい。貴女とのデートが楽しみで早く来すぎちゃったの」


 俺は声色をお姉様仕様にして、慎太郎の視界に入るようにして待ち合わせをしていた風を装う。


「そっか。でも、そのおかげで今日は2人で過ごせる時間が増えたね」


 今来たような仕草を見せた小雛先輩は、俺の頬にそっと手を置く。

 小雛先輩、オマエスゲエヨ。

 もしかしたらと思ってたしけど、この俺の無茶振りを秒で理解して、イケメンな対応を完璧にしてくるとまでは思わなかった。


「せっ、せっかく早くきたんだし、もう行こっか。実は僕も先週から楽しみでさ、本当は予定してたところ以外にも行きたいところがあったんだ」

「う、うん!」


 慎太郎、オマエスゲエヨ。

 ちゃんと小雛先輩の手本を見て自分流にアレンジして活かせるなんてえらいぞ!!

 俺達はそのまま2人を尾行する。


「ん? 藤百貨店か?」

「どうやら服屋さんに行くみたいね」


 せっかくだから俺も着替えようかな。

 流石にドレスが暑くなってきた。

 演劇部に残ってて俺が着られるサイズの服がこれしかなかったから仕方ないんだけど、服屋に行くなら俺に合うサイズもあるだろ。


「あ、あく……」

「しーっ! すみませんけど、俺に合う女の子の服ありませんか?」

「せっかくだから私もボーイッシュなのに着替えようかな」

「そういう事なら、お任せください!!」


 俺と小雛先輩は慎太郎と淡島さんの2人が服を選んでる間に、急いで自分たちも着替える。

 お、いいね。男っぽくなりそうな部分を完全にカバーしている完璧なコーディネイトだ。


「あら、普通に似合ってるじゃない。あんたってアレよね。肌露出少ない清楚系の服着ると余計に男にモテそうな感じよね」

「そういう小雛先輩こそ、ブカブカなトップスにショーパンとキャップがよく似合ってますよ」


 って、お互いに褒め合ってる場合じゃない。

 俺達は2人のデート観察に戻る。


「あ、黛君、素敵。その服、よく似合ってるよ」

「ほ、本当ですか?」


 慎太郎は照れた顔を見せる。

 ふーん。なるほどな。どうやら慎太郎は、淡島さんに自分の着る服を選んでもらっているようだ。


「黛君はいつもは服とかどこで買ってるの?」

「えっと、基本的には母さんが買ってきてくれたのを着てます」


 慎太郎、オマエスゲエヨ。

 お母さんの買ってきた服を着るとか、とてもじゃないが俺には無理だ。

 うちの母さんなんてセンスは悪くないのに、昭和のアイドルが着てたような服を買って来るんだもん。

 あんなのを着て喜んでくれるなんて、母さんくらいしかいないよ。

 2人の様子を遠巻きに見ていた女子達がざわめく。


「えっ? 黛君ってお母さんの買ってきた服きてるんだ……」

「いい! すごくいい!」

「お母さんの買ってきた服着てくれるとか最高じゃん」

「私もそんな息子が欲しい!」


 嘘だろ……。意外にもこの世界の女子には好評なのか。

 うーむ。今度、母さんが居る時だけ着てみるか。たまには俺も親孝行しなきゃな。


「ありがとう。淡島さん、お陰でいい買い物ができたよ」

「ううん。こちらこそ、私も喜んでもらえて嬉しいです」


 ちょ、待てよ! 慎太郎、オマエチゲエヨ!

 俺は口元の付近に握り拳を作ると、キュルンとした感じで小雛先輩の着ているシャツの袖をクイクイする。

 こっちを見た小雛先輩は秒で察してくれた。


「今日は私の服を選んでくれてありがとう。お礼にこれ、どうかな?」


 近くにあった指輪を手に取った小雛先輩は、俺の指にすっぽりとはめてくれた。

 小雛先輩、オマエスゲエヨ。

 俺の無茶振りに完璧な模範解答を返した挙句、指輪のサイズまでピッタリなんて完璧すぎるにも程がある。

 女子じゃなくてもキュンときた。むしろ俺が女子だったら、そのままホテルまでOKしてたね。


「ありがとう。私、この指輪、一生大事にするね」


 チラッ、チラッ! 気づけ親友!

 オマエなら、俺が信じたオマエなら、絶対に気がついてくれるはずだって信じてるからな!!


「えっと、その……よかったら、僕からもお礼に何かを贈らせて欲しい。いや、そうじゃないな。僕が淡島さんに何かをプレゼントしたいんだ。よかったら、受け取ってくれるかな?」

「は、はい」


 親友、オマエスゲエヨ。

 ちゃんと自分なりの言葉で思ってる事を言えたじゃねぇか!!

 淡島さんは恥ずかしそうにしていたが、すごく嬉しそうな顔をしていた。


「さ、お会計なら終わってるからもう行くわよ」


 嘘だろ!? 小雛先輩はいつの間にお会計を済ませたんだ!?

 俺が女の子だったらやばかったぞ。プロポーズされたら、秒で落ちてた。

 慎太郎は淡島さんを連れてアクセサリーショップに入る。


「これとかどうですか?」

「あ、うん。いいと思う。けど……」


 淡島さんは慎太郎が選んだ指輪を見て顔を真っ赤にする。

 おい、慎太郎。お前が選んだそれペアリングだぞ!


「これ、ペアリングだけど、いいの?」

「え? あっ……あ、ああ。うん、これにしよう」


 慎太郎、オマエスゲエヨ。

 クールビューティーな淡島さんが珍しくいっぱいいっぱいな顔をしていた。

 お前ら、もうそのまま結婚しちまえ! どうかお幸せにな!!

 もちろん、結婚式にはちゃんと呼んでくれよ。仲人は俺たちに任せろ!


「淡島さん、お腹空いてない? そろそろお昼だし、なんか食べに行こうか」

「うん、そうだね」


 おっ、どうやら2人はどこかに食事をしに行くみたいだ。

 俺が尾行しようと2人の後ろに回り込もうとすると、小雛先輩に後ろからぐいっと引っ張られた。


「最初は不安しかなかったけど、この感じなら、もう大丈夫でしょ」


 確かに……これ以上は流石に野暮か。

 最初は口数が少なかったけど、今は普通に話してるし、ギクシャクしてた2人の動きが自然になってる。

 うん、これならもう大丈夫かな。


「それじゃ、私達もご飯行きましょ」

「あ、うん」


 小雛先輩は俺の手を掴むと別の方向へと引っ張っていく。

 なるほど、カノンとかみんなはいつもこんな気持ちなのか。

 いつも自分がやってる事をやられてるみたいで、なんかちょっとだけ恥ずい。


「ふふーん。もしかして、ドキッとした? 私に惚れるなよ。ばーか」


 小雛先輩、オマエ……オマエ、男前すぎるにも程があるだろ!

 OK! 俺、もう小雛先輩の子供産むわ。白銀あくあ、受胎します。

 2人で食事してる最中、近くにあるホテルが視界に入ってずっとソワソワしてたら、小雛先輩から「何? さっきから気持ち悪い顔してるけど、もしかして体調悪いの?」って、逆に心配された。


「ほら、もう帰るわよ」

「へーい」


 俺は帰りのタクシーの中で、チャットアプリに慎太郎からお礼のメッセージが来ていた事に気がつく。

 どうやらいつも顔を合わせてる親友にとって俺の変装はバレバレだったらしい。

 慎太郎。ヤッパ、オマエスゲエヨ!


「きゃー! あくあ、素敵ー!」

「あー様、その衣装、すごく似合ってます!」

「あくあさん、かっこいー!」

「あ・く・あ! あ・く・あ!」

「いよ! 日本の大スター!」

「昭和生まれの私、感謝します!!」


 家に帰った後、試しに母さんが買ってくれた服を着てみんなの前で歌ったら、めちゃくちゃ盛り上がった。

 あれ? 意外といけるんじゃね? そう思った俺は阿古さんに「あえてこういうのどうですか?」と相談する。


「あくあ君……流石に方向性がちょっと違う気がするんだけど、本当にいいの?」


 どうやら嫁達がただ単に俺をチヤホヤしていてくれただけらしい。

 なるほど、これが今流行りの水やり界隈ってやつですか。

 俺とした事がついつい嫁達のヨイショに乗せられてしまった。オマエラスゲエヨ!

Twitterアカウントです。作品に関すること呟いたり投票したりしてます。


https://x.com/yuuritohoney

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