幕間、小雛ゆかり、スーパー小雛開店。
※本編であくあがちゅっちゅっしてるので、番外編からこちらの話を公開します。
「それじゃあ今からスーパーマーケットを経営するゲームを始めるわよ!」
みんなが配信でこのゲームをやってて面白そうだったんだよね。
私はゲームを起動させると、よく説明も読まずにゲームをスタートさせる。
チュートリアル? 私にそんなものは必要ないのよ!
【ものすごく嫌な予感がします】
【小雛ゆかりが店員のスーパーとか絶対に行きたくねぇw】
【小雛ゆかり最強! 小雛ゆかり最強! 小雛ゆかり最強!】
【白銀あくあ:最速倒産RTA期待してます!】
【↑草www】
【あー様w】
【ラーメン捗る:小雛先輩に接客とかできるんすか?】
【↑本当にな】
ふん! 現実世界ならまだしも、ゲームなら余裕に決まってるでしょ!
私はゲームを起動させると自分の名前を入力する。
えーと……店名は普通に[スーパー小雛]いっか。
はい、ゲームスタート!!
「何これ、しょっっっぼ!」
私は目の前にある小さな店舗を見て文句を言う。
「これじゃあ、スーパー小雛っていうより小雛商店とかコンビニゆかりじゃん!」
これでスーパーとか普通に喧嘩売ってるんじゃない?
私はコメント欄に目をやる。
【普通に大きくなるから】
【白銀あくあ:大きくなる前に潰れるに賭けてもいい】
【最初はこんなもんだよ】
【鞘無インコ:うわー、これかー】
【↑激安スーパーに対抗して原価割れで商品売って店が潰れたやつが来たぞ!】
【↑その後に「うちは芦屋のスーパーや!」って言って、高価格帯の商品ばっかり並べて2回目の倒産を迎えるまでがセットなんだよな】
ふーん、とりあえず白銀あくあとかいうやつのコメントを禁止にしとくようにマネージャーに言っておこ。
私はチュートリアルに則って商品棚を購入して設置する。
【置き方が雑で草w】
【こいつ店の入り口の前に突っ張り棒のように商品棚設置しやがったぞw】
【白銀あくあ:全力でなおしたい!!】
【↑あくあ君はそういうの気にしそうって思ってたら、やっぱりw】
【あれ? これ、店に人はいれなくね?】
えーっと、次は確か商品を買うのよね。
はぁ? まずはパンを仕入れてください?
「うちはパン屋じゃなくてスーパーよスーパー! スーパーと言ったら野菜とか果物でしょ!」
まずはそうね……バナナを50本くらい仕入れようかしら。
「たっか! 何よこの仕入れ値、どこの業者か知らないけど、ぼったくりじゃないの?」
私は文句を言いつつ注文確定ボタンを押す。
げっ、これだけでお金がなくなっちゃったじゃない!
ふざけんな!!
【50wwwwwwwww】
【50ってw】
【小雛先輩、それ“個”じゃなくて“ダース”です】
【白銀あくあ:潰れたな。やり直したタイミングで呼んでくれ】
【↑もう諦めてて草w】
【ラーメン捗る:小雛パイセンに仕入れは無理だな。1日で店が潰れる】
えっと、商品はどこに届くのかしら?
私は店の外に出る。
って、そこの白いトラック、私の店の前に段ボール投げ捨てて行くな!!
「ちょっと待ちなさいよ。そこの白いトラック!!」
くそっ! 逃げられた!!
私は逃した悔しさで台パンする。
私はトラックが投げ捨てて行った段ボールを拾うとゴミ箱に捨てる。
全く、ゴミはゴミ箱にちゃんと入れなさいよね!
この私にゴミを捨てさせるなんて重罪よ重罪!!
【鞘無インコ:うそやろwww】
【小雛ゆかり、それ不法投棄とちゃう! 商品や商品!】
【 小 雛 ゆ か り 無 双 中 】
【お笑い番組からバラエティの仕事を奪い、ストリーマーからゲーム実況の仕事を奪う女、小雛ゆかりwww】
【こいつほんまwww】
【栗まかろん:それ商品だよ!! 捨てちゃダメー!】
【↑まろん先輩、ちゃんとスパチャで言ってあげてるの優しすぎる】
【やっぱりまろんさんしか勝たん】
【流石は最も先輩にしたい女一位の城まろんだ。最も先輩にしたくない女一位の小ひなんとかさんとは次元が違う】
【↑2人が同い年なの本当に草w】
へっ? これ商品なの!?
私はコメント欄を見て、段ボールを捨てるのをやめる。
えーっと、蓋を開けるのってどうするんだっけ? あ……これか。
「って、こういうのはもっと早く言いなさいよ!! 全く外国産のゲームは不親切なんだから!!」
これじゃあ、チュートリアルの意味ないじゃない!!
私は段ボールの蓋を開けると、バナナを商品棚に並べる。
「あれ? これ、明らかに50個より多くない?」
商品棚はパンパンだけど、まだ段ボールは30個以上は余裕で残ってる。
【50×12=600wwwwww】
【↑4ケース捨てたから正確には残り552個だぞ】
【↑終わった】
【スーパー小雛→小雛商店→小雛青果店】
【バナナしか売ってないスーパーとかwwwww】
【↑ゴリ川専用スーパーマーケットじゃね?】
【↑草wwwww】
とりあえず物を売らなきゃ追加で何も買えないし、さっさと店を開いて元手となるお金を稼ぐわよ!
私は表札を閉店から開店に切り替える。
「って、誰も来ないじゃないの!! この街、大丈夫!? 消滅可能性都市ってやつ!?」
私は店の外に出ると、歩いてるやつを見つけて後ろから押して強引に店に入れようとする。
【フリーダムが過ぎるw】
【明らかに今まで見たスーパーマーケットのゲーム配信の中で一番酷い件について】
【↑女性用下着と生理用品しか売ってなかったレディースショップ白銀も酷かったよ】
【↑師弟で仲良く終わってるの草w】
はぁはぁ、はぁはぁ。最初のお客さんは逃したものの、私はなんとか客をお店の中へと押し込む。
「ほら、早くなんか買いなさいよ!」
私は客の後ろに完全密着して、早く買うように促す。
ほら、そこの下から2段目のバナナとかいい感じでしょ。
【これは嫌すぎるwwwww】
【接客の次元がちげーわ】
【バナナしかないのにどれを買えっていうんだ……】
【客の選択がそもそもバナナしなくなくて、買うか買わないかでこれだもんな。押し売りってレベルじゃねーぞ】
【私もコンビニやってるけど、明日からこのスタイルで接客しようかな】
【↑ネットに晒されて炎上するからやめろwwwww】
客は数十秒商品棚で悩んだ後に、何も言わずに立ち去ろうとする。
「はぁ!? それだけ見て悩んでたのに何も買わないってあんたマジ!?」
ふざけんな!!
私は客の頭の上に出た吹き出しを見る。
[品揃えが悪過ぎる。何も欲しいものがなかった]
ムキーっ!
「二度とくるな! バーカ!!」
私は客が出て行ってすぐに塩を撒くような仕草を見せる。
【すげぇw】
【逆にうちのスーパーに小雛さんほしいわw】
【顧客対応○】
【AI3510:彼女の顧客態度はとても素晴らしいです】
【↑AI構文やめてね】
全く、次はもう少しマシなの来なさいよ!!
私はレジでふて寝する。
するとすぐに次の客がやってきた。
「ほらほら、やっぱり本当の顧客はわかってるのよ」
私がレジで待機していると、そいつは暫く悩んだ後に何も買わずに店から出ようとする
[バナナしか売ってない。どうやらここはゴリラ専用のスーパーだったらしい]
はぁ!? ふざけんなこいつ!!
私はレジを飛び越えると、スーパーの隅っこに置いてあったモップを手に持ってさっきの客を追いかける。
「ちょっと!! さっきのやつはどこに行ったのよ!! 出てきなさい!!」
私は交差点のど真ん中で車を全て停めて周囲をキョロキョロする。
【すべての販売員に言いたい。接客はこうであるべきだと!】
【白銀あくあ:頭が痛くなってきた……】
【態度が悪いとかそういう次元じゃないんだよね。ここまでくるともはや潔いすらある】
【むかつく客には明日からこれやろうぜ!!】
【↑やめて。私、オーナーだけど店が潰れるwww】
【誰だよ、小雛ゆかりに接客が必要なゲームを推奨したやつは……】
もーっ! 逃げられちゃったじゃないの!!
暗くなるまでさっきの客を追いかけ回したけど見つからなかった。
私はイライラしながらもモップを手に持ったまま店に帰る。
「あ。商品、売れてるじゃない!」
店に戻ると商品がいくつか無くなってた。
えーと、こういう時は補充すればいいんだっけ?
少し気分が良くなった私は、ルンルンと商品を並べていく。
【ラーメン捗る:こーれ、商品盗まれてます】
【小雛ゆかり、気付け!!】
【そりゃ、レジに誰もいなかったら盗まれるよ】
【悲報、無人販売店小雛、初日から商品を盗まれる】
【倒産まっしぐらで草w】
私が商品を補充し終わると、入ってきたお客さんが商品を手に持ってレジに並ぶ。
ほらほら、ちゃんとわかってる客もいるじゃない!!
「ん? この黄色のワンピース、楓じゃない?」
私はレジに並んだ客の顔を覗き込む。
【おい、やめろw】
【確かにその服を着てる森川見たぞ!】
【あかん。小雛ゆかりのせいで森川にしか見えなくなった】
【しかも5袋もバナナ持ってるじゃねーか!】
【太客は大事にした方がいいぞ!!】
【5袋……? あっ……】
わっ、本当に5袋も買ってるじゃない。
あんた、なかなか見る目があるから一袋分サービスしとくわ!
私は一袋分を抜いてお釣りを返す。
[この店はいい店だ。また来よう]
ほらほら、聞いた!?
「やっぱり楓はちゃんと違いがわかってる女だと思ったのよね」
確かに普段はホゲーっとしてるかもしれないけどちゃんと物を見る目があるのよ。
うちのバナナの新鮮さとクオリティは他のスーパーより上なんだから!
楓が帰ってすぐに立て続けに客が店に入ってくる。
みんな3袋、4袋と大量に購入していく。
「ほらー!! やっぱり私の言った通り、最初の2人の客がおかしかっただけなんだって!!」
私は忙しなくレジ打ちをする。
【鞘無インコ:あーあ】
【これはやらかしてますね】
【え? どういうこと?】
【↑後でわかるよ】
【小雛ゆかりがすべての真実に気がつくまであと30秒】
ふぅっ、閉店時間が来たので私は店を閉じる。
で、最後は収支報告書だっけ?
私は1日の終わりに出る収支報告書に目を通す。
「って、なんでマイナスなのよ!!」
私は軽く台パンする。
【原価と販売代金のところよく見ろ】
【原価のまま売ってりゃ、そりゃいい店だよw】
【鞘無インコ:ぷぎゃー!】
【↑おい、激安スーパー目指して原価割れで商品を売って店を潰した女がなんか言ってるぞ】
【インコ、お前は言える立場じゃないだろw】
【さすが悪夢の世代、追いかけられた客もオーナーも今晩は悪夢しか見ないよ】
【初日の資金より目減りしてて草w】
【小雛ゆかりが初日にやった事まとめ、原価で仕入れて原価で売る。しかも仕入れた商品の一部を捨てる。客を追いかけ回す。電気代と家賃だけが引き落とされる】
【こーれ、もう無理です】
【栗まかろん:電気代と家賃の支払いがあるのに気がついてー!】
【悲報、小雛ゆかり収支報告書見てて、まろんさんのスパチャアドバイスに気が付かない】
【乙女の嗜み:これ、後で家賃と電気代が請求されてる事に気がついて、延滞金の利息で首が回らなくなるパターンですね】
【↑プロきた】
【プロゲーマー嗜み、どうにかしてあげて】
【お客様満足度まさかのマイナスw】
【↑プラスになる要素なんてどこにもなかっただろw】
ぐぬぬぬぬ!
なんとかしてここから盛り返さなきゃ!!
私は次の日にスキップさせると、パソコンを開く。
もー!! 昨日の売り上げで少しは手元にお金があるけど、新しい商品を入れる棚が買えないから商品を買っても意味ないじゃない!!
って、何これ?
「借入金?」
へー、銀行からローンが借りれるのか。
ま、普通に考えたら、そういうのがなきゃ商品棚なんて買えないわよね。
私は借入金を申し込む。
【地獄の始まり】
【オワタ……】
【誰かこいつを止めろ!!】
【あーあ】
【白銀あくあ:もう潰れた?】
【↑ウキウキで見に来てるの草w】
【あくあ様なら、さっきまで某Vtuberのところでスパチャ投げて耳掻きASMRしてもらってたから気分いいぞ】
【乙女の嗜み:↑は?】
【↑こわひ……】
【嗜みもついに貫禄が出てきたな】
【92姐さん:ふーん】
【↑姐さん許してあげて!!】
私は軍資金を使って商品棚と商品を大量に買う。
えーと、今度はちゃんと値札を付け直してと……これで完璧でしょ!
「だいぶスーパーっぽくなったじゃない!!」
私は店の表札を開店に切り替える。
するとすぐにお客さんがお店の中に入ってきた。
「ほら、これよこれ。私がやろうと思ってたスーパーマーケットのゲームはこういうのなの!」
私はレジ打ちをしたり、接客で客に詰め寄ったり、売り切れた商品の補充をしたり、文句を言った客を追いかけ回したり、在庫切れした商品の発注をしたり、客に在庫商品を押し売りしたり、せなわしなくタスクをこなしていく。
こうしてゲーム内の時間で数日が経った。
「しめしめ、これで新しい冷蔵庫を買ったりとかできるでしょ」
私はマイナスからプラスになった資金を見てニンマリとする。
今日の営業が終わったら何を買おうかなー。いっそ、冷凍庫も買ってアイスとかも仕入れちゃおうか。
最初はクソゲーかと思ってたけど、このゲーム中々楽しいじゃない!
すると、その日の終わりの収支報告書で一気にマイナスに転落した。
「って、督促状!? 何これぇ!? え……? 家賃と電気代ってどういうこと!?」
家賃と電気代払えなんて聞いてないんだけど!!
やっぱりこれクソゲーじゃない!!
【今度こそ終わったw】
【はい、やり直し】
【草w】
【あれ、あくあ様は?】
【↑あくあ様なら嫁達に詰められて死んだよ】
【↑草wwwww】
もー! やめよやめ! こんなクソゲーやってられるか!!
私はスーパーマーケットのゲームを閉じると、普通にVARIANTを起動する。
誰か暇そうなやつ暇そうなやつ……。
「あ、コメント欄にラーメン捗るいるじゃん。あんた来なさいよ。どーせ暇なんでしょ?」
私はコメント欄で見かけたラーメン捗るとインコと楓の3人に招待を送る。
って、なんで秒で拒否するのよ! おいこら逃げるな!!
【拒否されてて草w】
【ゲームからトンズラした小雛ゆかりがトンズラされてるの草w】
【諦めてスーパーマーケットに戻ろう】
【インコ、さっきまでいたのに普通にログアウト状態になってて草w】
【↑さすがはホロスプレーのレッドスター、盗塁王鞘無インコだわ。逃げ足と走塁にだけは定評がある】
【↑V対抗ゲーム野球大会だっけ?】
【全打席セーフティーバントで出塁した上にコツコツ盗塁して牽制で球数稼いでたりとか、対戦チームを応援してた私としてはインコが一番嫌だったわ】
【↑インコの超割り切り型育成はマジで刺さったな】
【弾道1、ミートC、パワーG、走力SでMAX、肩B、守備A、捕球Aに特殊能力が走塁盗塁Aでバントと内野安打○に粘り打ちだっけ。マジで対戦チームの監督から、あいつだけは出塁させるなって嫌がられてて草だったんよwwwww】
もー! なんでみんないなくなるのよ!!
仕方ないわね。こうなったら、あくぽんたんの事でも助けてやるか。
私はあくあに電話をかける。
「きて」
『あ……はい』
全く、可愛い奥さん達に頼めばいつだって耳かきなんてやってもらえるのに、他の女のASMRに課金なんかするからよ。言っとくけど、これで貸し一つね!
【来てだけであくあ様を呼び出せるのは小雛ゆかりだけ】
【早かったな】
【速報、鞘無インコ、スマホの電源を落とす】
【↑冗談かと思ったらSNSにそう書いてて本気で草w】
【インコ、逃げ足○】
へぇ、そんな事されたら本気で呼びたくなっちゃうじゃない。
「ふーん、そういうことなら直接、あんたのところの社長に電話かけるわ」
ま、冗談だけどね。
私はインコに、来たくなかったらこなくていいわよってメッセージを送る。
【悲報、インコ逃げられない】
【これで炎上しないとかマジ!?】
【騒いでるやつに言いたい。相手は小雛ゆかりだぞ?】
【そもそも、小雛ゆかりはもちろんのこと、あくあ君もストリーマーが本業じゃないんだから、ストリーマーの常識を押し付けちゃダメだよ】
【↑それな。この2人はフリーダムな方が面白い】
【そもそも2人とも実はちゃんとしてるから、多分、裏じゃあらかじめ言ってるかフォローしてるよ。絡んでるのも素人じゃなくてわかってる奴らだしな】
さてと、2人じゃVARIANTできないし……とりあえず適当になんか別のゲームするか。
私は他のメンバーが来るまでの間、あくあとデュオモードのあるゲームで楽しんだ。
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