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幕間、白銀カノン、闇おでん!!

 検証班の4人とペゴニアを含めた5人で具材を持ち寄って闇おでんをする事になった。


「捗る。変なの入れてないよね?」

「なっ!? そんな変なのとか入れるわけないじゃないですか!!」


 本当かなぁ……。

 私はジトっとした目で捗るを見つめる。


「シクシク、シクシク……姐さん、嗜みが私の事を信じてくれません」

「捗るさん……これを機に普段の行いを正しましょう」

「がーん!? ね、姐さんまで……!?」


 捗るはショックを受けてしょんぼりする。

 もー、仕方ないなあ。


「本当に信じていいのよね?」

「任せてください。この捗る、自らの欲望に誓って食べても大丈夫なものしか入れてません!!」


 キリッとした顔をして誤魔化そうとするところがあくあと一緒なんだよね。

 まぁ、いっか。タワシとか食べられないものが入ってないなら別にいよ。


「はい、皆さんできましたよ」


 ペゴニアが蓋をしたおでん鍋を持ってくる。


「それじゃあ電気消しますね」

「「「「はーい」」」」


 姐さんの合図で部屋の電気が消える。


「蓋あけました」

「はい、それじゃあ私から時計周りにいきましょうか」


 時計周りって事は、姐さん、ソムリエ、捗る、私、ペゴニアの順番ね。了解。


「なにこれ、すごく薄い」


 薄い!? おでんに薄いものなんて入ってたっけ!?

 も、もしかして捗るが変なのとか入れてないよね!?


「あっつぅ!」

「姐さん大丈夫?」


 姐さんの悶絶する声が聞こえた。

 どうやら具材が顔にビターンと当たったらしい。


「これ、なに!? 食べられるけど……」


 鍋に蓋をして一旦電気をつける。


「あぁ、餃子の皮かー。味は普通に美味しいです」

「私が入れました」


 ペゴニアかー。餃子の皮なら食べられるし、いいセレクトだと思う。

 でも、火傷には注意しないとね。私もいっぱい、フーフーしてから食べよ。


「ソムリエいっきまーす!」


 再び電気を消すと今度はソムリエが闇鍋をつつく。


「こっ、これはぁ!?」


 え? なになに? 外れた?

 私は満面の笑みで電気がつくのを待つ。


「ウィンナーです。どうやらソムリエとしてのパワーが働いたようですね」

「くっそー、1番のあたりじゃねぇか!!」


 しょーもな! 捗るは机を叩いて悔しがった。

 その隣でソムリエは勝ち誇ったかのように口に咥えたウインナーを出し入れする。

 もー、そういうの禁止だって! 食べ物で遊んじゃだめー!

 もう一度電気を消して蓋を開けると、次は捗るがおでんの具材を取る。


「ぐへへ、この感触はアレですね」


 電気がつくと捗るはこんにゃくをもぐもぐしていた。


「えー、面白くないー」

「ちょっと、嗜みさん!?」


 だって〜、その分、私が捗るの引く確率があがるんだもん。

 あと食べる時に、そんなこんにゃくを出し入れする必要ある?


「は・ず・れ! は・ず・れ!」


 ちょっと!? 次が私だからって変なコールしないでよ。捗る!


「は・ず・れ! は・ず・れ!」


 って、よく聞いたらペゴニアまで!!

 暗くても声で全部わかってるんだからね!!


「これ!」


 私はこれだと思った食材を掴む。

 なにこれ? 固くない?

 私は恐る恐るそれを口の中に入れる。


「んんっ」

「ハズレか!?」


 だからなんで捗るはそんなに嬉しそうなのよ!

 私は電気がつくと、舌先をペロリと出して齧って二つに割れたものを見せる。


「あー、おかきですか」

「うわぁ、それってどうなの?」


 うーん、鍋に入れるものじゃないけど、まあ食べられなくはないよね。


「チッ!」


 ペゴニア、聞こえてるからね?

 あと、これ入れたのペゴニアでしょ?

 この前、リビングで同じおかき食べてたの見てるんだからね。


「それじゃあ、失礼します」


 捗るは私に方に顔を近づくてくる。

 何か嫌な予感がした私はスッと顔を背けた。


「ちょっと! なにしようとしてたの!!」

「いや、キスして欲しいのサインかなと思って……」


 そんなわけないじゃない!!


「なるほど、これが正妻のテクニックですか」

「嗜みさん、参考になります」

「お嬢様は本当に旦那様へのおねだりがお上手ですから」


 もー! みんなまでして!!


「こんな事、他の人にやっちゃだめなんだからね」

「えっ!? じゃ、じゃあ、嗜みになら……」

「調子に乗るな!!」


 次はペゴニアの番だ。

 再び電気を消す。


「ん……これは……」


 ハズレ!? ハズレ引いた!?

 電気がつくとペゴニアは齧りかけのスポンジケーキを見せる。


「あ、私の入れたやつだ!」


 って言うと、みんなが一斉に私を見る。


「これはまた……」

「うわぁ、お出汁吸って絶妙に不味そう」

「嗜みさーん? これは人の事が言えないんじゃないんですかー!?」


 う、うるさいわね!

 別にいいでしょ。ちょっとどうかなって思っただけだもん!


「お嬢様、これはお鍋に合いません」

「う、うん。わかった。次からはやめとく」


 ペゴニアが完食すると、次はまた姐さんに戻る。


「あっつぅ!!」


 え? もしかして二連続で餃子の皮ですか?

 電気をつけると、ほっぺたと髪にお餅がくっついて大変な事になってる姐さんがいた。


「姐さーん!」


 みんなでなんとかして姐さんからお餅を剥がして救出する。


「お餅は見えないとなかなか危険ですね」

「次からは餅巾着にしましょう」


 うんうん、うんうん。私はペゴニアの提案に頷く。

 次はソムリエの番だ。


「んぐ!?」


 外れた!? 私は満面の笑みで電気をつける。

 すると、そこには大きなフランクフルト咥えたソムリエがいた。


「やはり私はソムリエ、引かれあう何かがあるらしい」


 いや、全然かっこよくなんてないから!!

 ていうか、なんでウィンナーが入ってるのに、フランクフルトもあるのよ!


「私がソーセージセットを持ってきました」


 ソムリエが珍しくキリッとした顔をする。

 って、それならさっきから自分で持ってきたのを自分で食べてるだけじゃん!!


「ソーセージこい! ソーセージこい!!」

「は・ず・れ! は・ず・れ!」


 ソーセージを願う捗るに対して、私もハズレコールをやり返す。


「んぐっ!?」


 ハズレきたー!

 私は満面の笑みで電気をつける。

 するとそこにはタコの足を咥えた捗るが居た。


「えー、つまんないー」


 あと、コンニャクの時といい、あくあが居るならまだしも、その変な食べ方は誰にアピールしてるのよ!! って、こっちを見るなバカ!!


「は・ず・れ! は・ず・れ!」

「は・ず・れ! は・ず・れ!」


 どうか変なのが当たりませんよーに!!

 私は捗るとペゴニアを無視してお箸で掴んだ具材を口の中に放り込む。


「ん?」


 なにこれ、ぷりぷりしてる……。

 それとなんか急に体が暑くなってきたような。


「あっ!」


 電気がつくとみんなが私の事を見つめる。

 えへへー、みんなー、どうしたのー?


「……捗るさん、何か入れました?」

「元気が出ると聞いてすっぽんを少々……。あと他にもお出汁の段階で色々と」

「それだ! やたら嗜みのテンションが高いと思ってたら、お前、出汁にも入れてただろ?」

「いや、食べる前からというか、多分、調理してる時のこの匂いでやられてましたね」


 なんか身体がほてってきちゃったな。

 私は暑くなってきたから上着を脱ぐ。


「嗜みさん!?」

「お嬢様!?」

「サービスシーンキター!!」


 ほら、みんなも熱くない?

 私はゆっくりとみんなに近づいていく


「ちょ、嗜み!?」

「いんなみさんキター! ぐへへ!」


 その後のことはなにも覚えてない。

 目が覚めたら何故か捗ると同じベッドの中で寝ていた。


「目が覚めたか、マイスウィートハニー?」


 捗るがキリッとした顔でアホみたいな事を囁く。

 って、なんで私と捗るが隣で寝てるのよ! 変な事してないでしょうね!? もう!


「そ、そんな〜」


 私が起きた事に気がついてやってきたペゴニアは軽くため息を吐く。


「お嬢様、流石にそれはえみり様が可哀想ですよ。ちなみになにもされてないです。むしろお嬢様の方が……」

「え? わ、私の方がって、なに!?」


 ちょっと、待ってよペゴニア!!

 あ、私は捗るに疑ってごめんねと言う。ん? でも、私がこうなったのって……いや、それよりも私がなにをしたのかペゴニアに聞かなきゃ! もー! 2度と捗ると闇おでんなんてしないんだから!!

 私は自分の寝室を飛び出ると、ペゴニアを追いかけた。

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ぐへへ…健全版で見るいんなみ様からしら得られない栄養がありますなぁ(何)
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