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白銀あくあ、とんでもない人がいました。

「それでは、準備が整いましたので次の審査に出場する人達に登場してもらいましょう。皆さん、どうか、暖かな拍手で出迎えてあげてください!!」


 俺はソファから立ち上がると、真剣な顔で誰よりも激しく手を叩く。

 次もどんな審査をやるのかは何も聞かされてないけど、最初の審査を見る限りは今回も非常に期待できそうだ。


「それでは1年生代表チームからはこの2人、祈ヒスイさんと音ルリカさんの入場です」


 司会を務める3年生の先輩のコールで、ヒスイちゃんと音さんの2人が舞台袖からステージに現れる。

 えっ? あ……何? 今回は水着じゃないのか?

 って、ちょっと待て!? こ、ここここの衣装は、間違いない! つい最近、添い遂げ卒業して話題になった超人気Vtuberの奏あろまと汐吹くおんのコスプレだ!! てぇてぇ、てぇてぇよ!!

 魔女っ子風の衣装を着た音さんがセーラー服風のメイド服を着たヒスイちゃんの後ろに隠れる。魔女っ子風の衣装はおへそが丸見えだし、恥ずかしいのかな?

 それにしてもこの2人……膨らみのサイズも音さんが少し大きいくらいでほぼ一緒だし、コスプレとしてかなり再現度が高い。


「続いて2年生代表チームからは、黒上うるはさんと千聖クレアさんの2人です!!」


 き、き、き、き、きたーーーーーーーーーーーーー!

 この世界の女性向け漫画で今、爆発的に人気が広がっているジャンルの中から、時間停止物で有名な姫様騎士と、感覚遮断系の元ネタとなったシスターさんのコスプレだぁぁぁぁああああああ!

 遡ること数ヶ月前……保健体育の教科書を出版する際に、大人の女性向け漫画を出版している聖女出版に俺の知識を持ち込んだ結果、それまで俺様系にオラオラされる話が主流だった女性向けエロ漫画界隈に革命が起こった。

 元々男性との接触が少なく不満を抱えていた女性達に、睡眠や催眠もの、時間停止や感覚遮断系などの漫画がとてつもなく受けたのだ。

 しかし、よくこのコスプレに風紀委員からOKが出たな……。

 俺と目が合ったシスター服のクレアさんがにっこりと微笑む。


「そして、オールスターチームからはこの2人! ナタリア・ローゼンエスタさんと皇くくりさんです!」


 おっふ……。

 つい最近コラボしたばかりの人気ゲーム、FADEのセーバーさんと、崩落スターゲイザーの蛍だと!?

 ナタリアさんに女騎士の格好が似合うのは当然として、くくりちゃんのヒラヒラとした妖精さんみたいなスカートとニーソックスの隙間から見える太ももがたまらなすぎる。

 そういえば、前にカノンもセーバーのコスプレをしていたが、姫っぽくて柔らかい感じのカノンバージョンもいいが、騎士っぽくてきつい感じのナタリアさんバージョンも同じくらい素晴らしいな。

 ここからは好みの問題だが、俺の好みは宇宙より広いので全く問題ないと言っておこう。いいか。男にとって重要なのは、全てを受け入れられる器の大きさだ。


『あんたの場合、器はデカいけど、底が抜けてるじゃない!』


 すみません。イマジナリー小雛パイモ……パイセンは後ろに引っ込んでてもらえますか?

 それとコスプレをして出てくるのはいいですけど、会社は同じでもゲームが違うんですよ!!


「そして最後に教師代表チームから、七星エレナ先生と根本音子花先生です!!」


 ん? なかなか出てこないな。何かトラブルでもあったのだろうか?


「ちょっと待って。恥ずかしいんだけど……」

「音子花センセイ、女は度胸! 覚悟を決めまショ!」


 うおおおおおおおおおおおおおおおお!

 日曜朝のハードボイルドな紳士向けアニメ、PrittyQuuuuIDOLのキュードキューンちゃんと、キューキスミーちゃんのコスプレだああああああああああああああああああ!

 はぁ……やっぱりプリQのコスプレは成人したお姉さんがすると心の底から込み上げてくるものがあるな。

 ねぇねのドキューンちゃんはお姉様すぎて心にくるし、七星先生のキスミーちゃんはえっ!? すぎて心にくる。

 あと、2人ともこんなにデカくねぇだろって思ったけど、それはそれでグッとくるからいい!!

 なぜなら俺は全てを受け入れる器の大きい男だからだ。大事なことなのでもう一度言わせてもらった。


『ただ単にあんたがおバカなだけじゃない! もう!!』


 はあ……俺はさっきの艶かしい吐息じゃなくて、クソデカの方のため息を吐く。

 あのさ、小雛パイセン。自信満々にヤギの着ぐるみを着て出てきたけど、それ、一つ前のプリQなんだわ。

 頼むから、もう帰ってくれないか? 俺は真剣な顔でイマジナリー小雛パイセンを送り返す。


「審査委員長どうですか?」

「もう感無量です!!」


 俺はお気持ちボタンを連打する。

 ちなみにこいつは2台目の押しボタンだ。1台目は俺が押しすぎて壊れた。


「それでは、次の審査の内容について発表させてもらいたいと思います!」


 きたか! 俺はガタッと音を立てると、いつでもガッツポーズができるようにソファから腰を浮かせる。


「ミスコンを優勝するような一流の女性であれば、運も強いですよね? というわけで、今から皆さんには審査委員長とジャンケンをしてもらいます! ただし、ジャンケンに負けた場合は、一枚ずつ服を脱いでください。服を脱げる回数は公平を期すために合計で4回のみと決めさせてもらいます。つまり、4回失敗したチームはそこで負けになるので、頑張ってくださいね!!」


 他の細かいルールが後ろのスクリーンに映し出される。


 ・ジャンケンに勝った人は1回分ジャンケンをスキップできる。

 ・ジャンケンで同じ手を出した人は、そのまま次のジャンケンに参加。

 ・ジャンケンに負けた人は1枚服を脱いで、そのまま次のジャンケンに参加。


 素晴らしい。なんて、素晴らしい企画なんだ!!

 俺はコスプレは着衣が好きな派だが、野球拳で一枚ずつ脱いでいく過程が見られるのが素晴らしい。

 ふぅ……これは気合を入れていかないとな。

 俺が右手で前髪を掻き上げると、体育館の中にいたみんなから黄色い悲鳴が飛び交う。


「それでは最初はぐー! じゃんけん、ぽん!」


 俺は空気を揉みしだくようにパーを見せる。

 ふむ。チョキを出したのは、ヒスイちゃんとうるは、七星先生の3人か。

 そして引き分けとなるパーを出したのが音さんとくくりちゃん、ナタリアさんとねぇねの4人。

 という事は……。


「え? わ、私だけ?」


 困った顔をしたクレアさんが左右に首を振ってみんなの出した手を見る。


「ちょっと待ってください。これって、今から私1人で脱がなきゃいけないって事ですか?」


 俺と司会役の先輩はクレアさんの言葉に無言で強く頷く。


「ううっ……恥ずかしいです……」


 そう言ってクレアさんはシスター服の裾をたくし上げると、ゆっくりと中に穿いていた水着の……ってええええええええええええええええ!?

 ちょ、ちょ、ちょ! 今、恥ずかしいって言ってたよね!? 普通、シスター服なら最初はヴェールからでしょ!! それなのに初手でそれですか!?

 慌てて出てきた風紀委員の人達とえみりがクレアさんを止める。


「クレアさんそれはダメです」

「気が動転しておかしい事をするのはわかるけど、一旦深呼吸して落ち着いてください」

「おい。クレア、ここは白銀キングダムじゃないんだぞ。そういうのはあっちでやれ」


 クレアさんは周りに説得されて渋々と白グローブをを外す。

 やっぱ、クレアさんはパねぇな。羞恥心マックスなのに行動力が振り切ってるとか、俺の想像を超えて色々と次元が違いすぎる。なるほど、これがおもしれー女ってやつか。俺も少女漫画の事がだいぶわかってきたぞ!


「あの……」


 クレアさんは俺の手のひらに白いグローブを置く。


「えっ?」

「えっ? これって、脱いだのを渡すとかそういうのじゃ……あ、待って。やっぱりなしです! 私の返してください!」


 俺は伸ばしたクレアさんの手を回避するように、グローブを握りしめた手を空高く突き上げる。

 ごめん。クレアさん。そんなルール無かったけど、今、作る事にした。つまりこれはちゃんと俺が預かっておくね。


「ううっ……なんで私ばっかり……」


 いやいや、クレアさんはそんな事を言ってるけど、あなた、最初から企画が中止になるレベルのやばい事をしよとしてたでしょ!!

 全くもう。クレアさんのコスプレを見て察するべきだった。

 こういうコスプレをする人が強者じゃないはずがないのだと。


「クレアさん、大丈夫かな? 生徒会でストレス溜まってるのかも……」

「それはあるかも。あくあ君の対処だけで生徒会や風紀委員のみんな、大変そうだし」

「でも、生徒会や風紀委員やってる子たちはみんないい顔してたよ?」

「だって、生徒会は学年やクラスが違っても、あくあ君と合法的に触れ合える機会が多いもん」


 よーし、さっきのは忘れてもう一回、仕切り直しだ。

 俺は気持ちを作り直して、改めてジャンケンをする。


「あ……」

「えっ? またですか!?」


 俺にジャンケンで負けたナタリアさんとクレアさんの2人が顔を見合わせる。

 残ったくくりちゃんとねぇねの2人は俺と同じ手を出して引き分けになった。

 クレアさんさぁ。次は頼むよ。本当に……。


「し、仕方ありません……」


 ナタリアさんは覚悟を決めると、下のロングスカート部分をはらりと落とす。

 なるほど、下に水着を穿いているから大丈夫なのか。うまいこと考えたな。


「ううっ、なんで私だけ……」


 今度こそヴェールだよな? なーんて思ってた俺がバカでした。

 クレアさんはシスター服の中に手を引っ込めてゴゾゴゾとする。

 ま、まさか……。

 誰しもがそう思った瞬間、後ろにいたえみりと風紀委員の皆さんが笛を吹きながら舞台袖から出てきた。


「だからお前は、なんでそう最初からクライマックスに持って行きたがるんだよ!」

「クレアさん落ち着いてください! 文化祭で大変だったのは分かってますから!」

「ほら、あくあ様のお顔でも見て落ち着いて」

「いや、逆にそれは落ち着けないんじゃぁ……」


 クレアさんは周りに促されて仕方なくといった素振りを見せながらブーツを脱ぐ。


「よく考えたらシスター服で見えないしクレアさんの選択は間違えてないのかも」

「いやいや。それにしたってはまずはヴェールでしょ!」

「クレアさんって結構天然なところがあるから気がついてないんじゃないかな?」

「うーん、これってどんなに脱いでも4枚だけだよね? 最後にヴェールとニーソを脱いでシスター服を残せば水着姿を回避できるくない?」

「「「「「あ、なるほど……」」」」」


 確かに、それだと水着姿を回避できるだろう。

 だが、君達は何もわかっていない。クレアさんが着ているシスター服はジャストフィットだ。

 あとは想像力を膨らませてくれ。

 これは俺もさらに気合を入れていかなきゃダメだな。俺は次のジャンケンで勢いよくグーを出す。


「あ、負けたー!」

「私も……」

「オゥノォ!」

「ど、どれから脱ごう」


 はぁ……添い遂げしたあくろまコンビとキスドキコンビが揃って負けるとかてぇてぇが過ぎるんだよ。全く……。

 クレアさんに乱されまくっている俺の精神がてぇてぇオーラで賢者タイムに突入する。


「えっと、じゃあ、あてぃしはカチューシャにしようかな」

「それじゃあ、吾輩も魔女の帽子で……」


 ふーーーーーん。俺は虚無感に包まれた顔で2人の顔を見つめる。

 まぁ、最初は仕方ないよな。これが普通だ。

 何故か1人だけ様子のおかしいクレアさんを基準にしちゃいけない。

 俺の表情を見た七星先生とねぇねが顔を見合わせる。


「流石にリボンだけじゃあくあ君が可哀想デース」

「うん、そうね」


 そう言って優しいお姉さん先生の2人は俺のためにミニスカートを脱いでくれた。

 ほう……強気なお姉様のキスミー様が純白の水着で、のんびり系お姉さんのドキューン様の水着が黒なのは最高がすぎる。企画も衣装の手配もえみりに頼んで本当によかった。

 俺は次のジャンケンでチョキを出す。


「また私ぃ!?」

「あ、私も……」

「しくじりました。これで2回目ですか」

「今度は私だけデェス!」


 次にジャンケンに負けたのはクレアさんとうるは、ナタリアさんと七星先生の4人だ。

 クレアさん。4回中3回負けるとかじゃんけんが弱すぎるにも程があるでしょ……。

 もはやわざと負けに来てるのかとか疑っちゃう。


「それじゃあ、私は甲冑から。はぁ、重かった……」


 うるはが甲冑を脱ぐと、大きな膨らみがあらわになる。

 俺は無言でお気持ちポイントを押した。

 クレアさんが初手からやらかしたおかげで、ナチュラルにお前の存在すらも今の今まで忘れてたわ。ごめんな。


「私も足が蒸れそうだし、グリーブを脱いでおこうかな」


 あ〜……ナタリアさん最高です!!

 初手でスカートを選択したのがここで効いてきてますね。


「あくあ君は女性の足が好きなのですか? それならこれをあげマァス!」


 七星先生は俺の手のひらに片足だけに装着していたニーソをおく。

 ありがとうございますありがとうございます!!

 と、この流れだとクレアさんもニーソかな?

 ええ、そんなぬるい事を考えていた時期が俺にもありました。


「うう、恥ずかしいです」


 そう言ってクレアさんはシスター服を……って、もう既に壇上に出てきていたえみりと風紀委員の皆さんにクレアさんが止められる。

 ごめん、俺、クレアさんの事を舐めてたわ。

 ヴェールとニーソを残して他に行こうとするとか誰もできないよ。


「お前、次は何を脱ごうとしていた?」

「で、でも、感覚遮断があれば……」


 クレアさん、現実の世界に感覚遮断魔法なんてありません。

 現実逃避をしようと目を逸らすクレアさんを見て、えみりと風紀委員の皆さんが無言で強制的にニーソを脱がせる。


「私、同級生だけど、明日からクレアさんって呼ぶわ」

「私は先輩だけどクレアさんって呼ぶ」

「クレア先輩、かっこいい!」

「まさかあの清楚なクレアさんが……」


 クレアさんはこれでリーチか。

 流石に次かその次でクレアさんが最初にアウトかなと思ってたけど、ここからクレアさんは驚異的な粘りを見せる。


「また同時!?」

「みたいだね」


 ジャンケンで負けたヒスイちゃんと音さんは顔を見合わせると、2人して恥ずかしそうに靴下とニーソを脱ぐ。

 良いですね。こうやって恥ずかしさの残る2人をじわじわと攻めるのもくるものがある。

 俺は寄り添う2人の姿からてぇてぇ養分を補充する。


「うーん、じゃあ私もニーソにしようかな」


 次に負けたねぇねもエレナさんと同じように片方だけのニーソを脱ぐ。

 やったー! これで両方のニーソが手に入ったぞ!


「えーとえーと……そ、それじゃあ私は上着で」


 うるはが恥ずかしそうに上着を脱ぐ。

 スカートを脱ぐか上着を脱ぐかで迷っていたみたいだが、どっちを取っても水着の一部を晒してしまう他なかった。

 うるはの水着姿の一部を見た俺はガッツポーズを決める。


「「「「「「あ!」」」」」」


 俺が手を出した事でジャンケンだと思った全員が手を出してしまう。

 しかも突き上げるような拳のモーションに反応するように、8人中6人がパーを出した。

 だが、反射神経の良い俺は、それを見て超スピードでチョキに変える。


「やば。あてぃし、リーチだ」

「吾輩も……」


 1年生組は本当に真面目だよな。2人とも一人称をちゃんとコスプレに合わせているところが素晴らしい。

 ヒスイちゃんは胸元を止めているリボンを解くと、音さんは上着を脱いだ。

 良いねいいね。だんだんと雰囲気が出てきましたよ。


「それじゃあ私はスカートで」


 うるはが顔を真っ赤にしてスカートを脱ぐ。

 素晴らしい。うるはの水着姿に俺はお気持ちボタンを連打した。

 やはり、うるはにビキニは鉄板だな。


「仕方ありません。上着を脱ぎます」


 うおおおおおおおおおおおおおおおお!

 リボンと水着だけの姿になったナタリアさんを見て俺はお気持ちボタンを連打する。

 髪を結んでいるリボンが残っているのが個人的にポイントが高い。


「子供たちが頑張っているんデェス。音子花センセイ、私たちも本気を見せまショウ!」

「え、エレナ先生!?」


 いやったあああああああああああああ!!

 七星先生は自ら上着を脱ぎ捨てると、ねぇねの後ろに回り込んで上着を脱がせる。

 うっ、うっ、うっ、前世で俺の初恋だった女性の水着姿がまた見れるなんて、俺はなんて幸せ者なんだ。

 こうして勝負は終盤に差し掛かる。

 そして、最初に脱落したのはこの2人だった。


「「あ……」」


 同時にパーを出したあくろまコンビが最初に脱落する。

 最後の最後まで添い遂げてくれるなんて、本当にてぇてぇが過ぎるよ……。


「えっと、じゃあ……」

「うん……」


 2人は顔を見合わせると、2人で服を脱いで水着姿になる。

 くおんちゃんのコスをしている音さんは衣装が上下に分かれているから、本当はどっちか一つで良かったんだけど、あろまちゃんのコスプレをしたヒスイちゃんだけに恥ずかしい思いをさせたくなくて、2人で服を脱いだんだろう。てぇてぇにも程があるだろ……。

 しかも、お互いの髪のカラーリングに合わせた可愛い水着を身につけている事に気がついて、俺の胸がますます痛くなる。

 何よりも衣装を脱いだその姿がまるで卒業のように見えて俺はあの時の感動を思い出し深く涙を流した。


「ありがとう。2人とも、本当にありがとう」


 俺は下心のない純粋な気持ちで2人を抱きしめた。

 それを見た観客席から温かい拍手が送られる。


「どうやら、私たちもここまでのようですネ」

「ええ、そうね」


 次のジャンケンで負けた七星先生とねぇねは、ウィッグを脱いで元の2人の姿になる。

 おお! 想像していなかったけど、この展開も素晴らしい。

 これで残るは2チーム。先に脱落したのはうるはだった。


「うう、ここまでかぁ」


 そう言ってうるはも残りの籠手やグリーブを脱ぐ。

 そして、次にナタリアさんが脱落する。


「くっ……殺せ!」


 ナタリアさん!? 何を血迷ったのか、ナタリアさんは水着を脱ごうとする。

 しかし、舞台袖から出てきた生徒会のみんながナタリアさんを必死に説得して止めた。


「それじゃあリボンで……」


 ナタリアさんはリボンをはらりと解く。

 結果的にリボンになったものの、これこそがノブレスオブルージュ、貴族としての誇りか。

 俺はお気持ちボタンを押すのも忘れて、ソファから立ち上がって手を叩く。

 観客席に居たみんなもナタリアさんの潔さに報いるように、立ち上がって拍手を送った。

 これで残るは2人。って、えっ!?


「くくりちゃん一回も負けてないの!?」


 俺の言葉にくくりちゃんが無表情で頷く。

 ジャンケン強すぎでしょ……。

 次のジャンケン、もちろん負けたのはクレアさんだった。


「すみません。負けてしまいました」

「ううん。クレアさんはよく頑張ったよ」


 うるはがクレアさんを慰さめる。

 ヴェールか、ニーソか。脱ぐのはもうその二択しかない。

 どちらを脱ぐのか、みんなが無言でクレアさんに熱い眼差しを向ける。


「仕方ありません……」


 そう言ってクレアさんは下腹部に手を伸ばす。


「ハイ、ストーップ! ばっか、お前、今、何だそうとした!?」


 舞台袖から出てきたえみりがクレアさんの動きを止める。


「お前、いつからつけてたんだ!?」

「えっと、文化祭で帰ってないので……3日前からです」

「ハイ、アウトオオオオオオオオオ!」


 一体、何を言っているんだろう。

 えみりはクレアさんの背中をグイグイと押して強制退場させる。


「そんな。邪神あくあ様だけが私の……」


 クレアさんはボソボソと何かを呟きながら、俺の事を熱の籠った潤んだ瞳で見つめる。

 俺は軽く咳払いすると、瞬きもせずに完全に固まっているくくりちゃんの手を持ち上げた。


「というわけで2番目の審査の勝者はくくりちゃんです!!」


 ああ、そうかと。さっきまで固まっていた観客席からポツリポツリと拍手が増えていく。

 おーい、みんな。固まってないで戻ってこーい!! 次の審査が始まっちゃうぞー!!

これでなろう版も大丈夫だよね?


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これは健全(ぐるぐる目)
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