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白銀あくあ、大人と子供。

 舞台袖に居た俺は小雛先輩と一緒に、観客席からの鳴り止まない拍手を見つめる。


「小雛先輩、ありがとうございました」

「ふん。私は良い作品が駄作にならないために、手を貸してあげただけなんだから。お礼を言われる筋合いなんてないんだけど。むしろ、その言葉は、この私のシゴきに耐えた部員達に言ってあげたら」


 俺は小雛先輩の返しに苦笑する。

 そこは普通に感謝するか、いつもみたいに「ふふーん、そうでしょ。アンタはもっとこの私に感謝しなさいよね!」ってもっと勝ち誇った顔をしてくださいよ。

 小雛先輩は素直に感謝されてきた経験があまりないせいか、ストレートに感謝の気持ちを伝えると照れすぎて面倒臭いツンデレを発症する時がある。

 それを知っている俺がニヤニヤした顔をしていると、小雛先輩から思ってないカウンターパンチが飛んできた。


「あと、あんたの演技も悪くなかったわよ。子供が産まれて、役者としてまた一つ成長したんじゃない?」

「あ、ありがとうございました」


 急に小雛先輩から褒められた俺は、素直に感謝の言葉を伝えてしまった事が恥ずかしくなって照れる。

 って、なんで褒めた小雛先輩も俺にお礼を言われて恥ずかしくなって照れてるんですか!

 俺達2人は顔を少しだけ背けあったままで、どう反応して良いのかわからずに戸惑う。

 もおおおお! こんな空気感にした小雛先輩が責任をとってどうにかしてくださいよ!

 先にこの状況に耐えきれなくなった小雛先輩は、俺の背後に回り込むといつものように俺の背中をグイグイと押し始める。


「ほら、もうカーテンコールでしょ。ここで油を売ってないで、アンタもさっさとステージに出る準備しなさいよね!」

「わかってますって」


 仕方ないなあ。俺は小雛先輩から離れて、リサや音さんの立っている待機列へと向かおうとする。


「そ、そういう意味では、あんたと子供作るのも悪くないのかもね」


 ん? 小雛先輩、今、なんか言いましたか?

 小雛先輩がボソボソと何かを言っていたのまでは理解できたが、観客席からの拍手の音が大きくなって何を言ったのかよく聞き取れなかった。

 俺は後ろに振り返ろうとしたけど、時間がなかったのでそのままみんなの待機列へと混ざる。


「「「「「「「「「「ありがとうございました!!」」」」」」」」」」


 最後のエンドロールが終わり、ステージの上に立った俺たち演劇部に対して、観客席から最上級のスタンディングオベーションが送られる。

 リサの挨拶が終わり、舞台の準備は完全に整った。

 俺は1人前に出ると、観客席をぐるりと見渡す。


「みなさん、少しで良いから俺の話を聞いてくれませんか?」


 全ての事の始まりは文化祭二週間前に遡る。

 俺は同じ演劇部のとあを学校の近くにある公園に呼び出した。


「頼む、とあ。一週間限定で骨折してくれないか?」

「……あくあってさ、本当に説明が下手だよね。一週間限定で骨折? どうせ、またバカな事を考えてるんでしょ。ほら、全部白状して」


 俺はとあに音さんの置かれている状態と、どうにかしてあげたい旨を伝えた。


「なるほどね。音さんをテレビに出すには色々な障害があって時間がかかるけど、なんの柵もない高校の文化祭なら、演劇部の一員として音さんを出す事ができるって事か。それで、あくあは音さんを演劇部の助っ人に誘うために、僕にわざと骨折したフリをして急遽役に空きが出たアリバイを作って欲しいと……」


 さすがはとあだ。俺の説明をわかりやすく綺麗にまとめてくれた。

 例えば俺が音さんをテレビに出したいといえば、その希望は間違いなく叶うだろう。

 ヘブンズソードのプロデューサーだった松垣部長が、スポンサーの皆さんに何度も何度も説明をして頭を下げてどうにかして音さんの出演を取り付けてくれたように、俺が蘭子お婆ちゃんに泣きつけばどうにかしてくれたかもしれない。

 だが、それだけでは根本的な解決方法にはならないと思った。

 それで音さん1人を救っても、これからも自らに非がないのに噂や憶測だけでゴシップ誌やSNSで炎上して将来を閉ざされてしまう人が出てくるだろう。

 それこそ、子役時代に男性俳優からの嫌がらせで仕事を無くされたアヤナや、男性俳優から共演を拒否されていた小雛先輩だってそうなっていたかもしれない。

 それに気がついた時、俺は気がついたんだ。俺は……俺の大事な全ての人のために、立ち上がる必要があると。

 はっきり言って、これが2人にとっての救いになるかはどうかはわからない。だが、俺は音さんを救う事で、音さんだけじゃなくて、俺が救えなかった頃の2人や、今まさに同じようなことで苦しんでいる全ての女性達を救いたいと思った。


「ま、いいんじゃない。あくあがそうやりたいって思ったのなら、僕は協力するよ」

「本当か、とあ!?」


 俺が笑顔を見せると、隣に座っていたとあがベンチから立ち上がる。


「あくあがあの時、あの瞬間、僕をあの部屋から連れ出してくれた時から、僕はもう決めてるから。だから、ね。あくあ、絶対に音さんの事を、ううん、同じような事で苦しんでいる子達を救ってあげて。僕を救ってくれたあの時と同じように」

「ああ!」


 俺はベンチから立ち上がると、とあが伸ばして手を掴む。

 任せておけ、とあ。俺は必ず成功して見せるよ。


「ところで、それはそうと、これで貸し一つだよね。あくあには何をしてもらおうかなぁ〜」


 とあがニマニマした顔を見せる。

 うっ、イタズラ好きのとあの事だ。これは何かとんでもない事をさせられるかもしれないと覚悟を決める。


「なんてね。ねぇ、あくあ、その代わりとは言ってはなんだけど、明日から僕が骨折する代わりに、そこにあるキッチンカーでなんか奢ってくれてもいいんじゃない?」

「ああ、もちろんだとも」


 それくらいお安い御用さ。

 俺はとあと一緒にキッチンカーに近づく。

 へぇ、本場ステイツのダディポテトか。

 天我先輩とかが好きそうだから、お土産用にももう一つ買っておこうかな。


「すみませんダディポテト一つ。って、あれ? 店員さん、前にどこかで会いましたか?」

「ぎくっ! き、気のせいですよ……HAHAHA、ステイツ人なんてみんな顔が似てますから」


 サングラスにマスクをしているが確実にステイツ人の男性店員さんだ。

 すごいな。テレビで世の中に出てくる男性が増えたと言っていたけど、最近は街並みを見ていてもその実感がある。

 俺は隣にいるとあの手を強く握りしめた。


「とあ、俺達のやってる事は間違いなくいい方向に繋がってるぞ」

「うん……!」


 俺たちは少しふやけたポテトを2人で並んで食べると、骨折したフリをする事を説明するためにベリルの本社ビルに向かった。

 その翌日、俺は朝練の時間を使って演劇部のみんなに自分のしようとしている事を説明して協力をお願いする。


「みんな、少しでも嫌だと思ったら普通に断ってくれていいから」


 その時はその時で、また別の方法を考えるしかない。

 文化祭の演劇は演劇部にとっても大事なイベントだ。

 だから1人でも曇った表情を見せた子がいたら、俺はこの方法をやめようと思った。


「なるほど、事情はよくわかったよ」

「とあちゃんが松葉杖をついてきた時は倒れそうになったけど、そういう事だったんだね」


 演劇部のみんなはお互いに顔を見合わせると笑顔で頷きあう。


「あくあ君。とあちゃん。そういう事なら私達も協力するよ!」

「もう、あくあ君ってば、水臭いなぁ。私達が協力しないって思ったの?」

「こんなワクワクする事、むしろ楽しまなきゃ損でしょ!」

「ね。しかも1年に音さんが入ってくるなら、あくあ君が卒業した後も安心して任せられそうだし!」

「それはある! あくあ君、とあちゃん、絶対に成功しよ!!」


 俺は予想していなかっった反応に少し驚く。

 演劇部じゃない音さんが後からやってきて、一番美味しい役を掻っ攫うんだ。

 はっきり言って、みんな少しは思うところがあると思っていた。

 だけど、みんなの表情からはそんな影が見えない。

 俺が驚いて固まっていると、リサがゆっくりと俺に近づいてくる。


「あくあ様、演劇部の部員として一番大事な事を忘れていませんか?」

「えっ?」


 リサの両手が俺の両頬に触れる。


「あくあ様、私たち演劇部員はみんな演劇が好きで演劇部に入ったんですよ」

「あ……」


 リサの言葉で俺は固まる。

 それを見た演劇部のみんなが1人ずつ口を開いていく。 


「そういう事! 私と音さんじゃ次元が違うけど、同じ役者として放っておけるわけないって!」

「音さんみたいなすごい役者さんを、根も葉もない噂で終わらせるなんて絶対に許されないよ!」

「さーてと、可愛い後輩達のために引退前にお姉さんが一肌脱いじゃいますか!」

「私達はまだ子供だけど、みんなで団結して不甲斐ない大人達に一泡食わせてやりましょう!」

「ゴシップ誌だろうが、SNSだろうがかかって来い! 役者に演じる事を止めさせれるなんて思うなよ!」


 演劇に携わる子達の熱い絆に、俺やとあの握りしめた拳が微かに震える。


「ありがとう……みんな!」


 これで演劇部の協力は得られた。

 次に用意しなきゃいけないのは、音さんが演じるのに相応しい脚本だ。

 いつもなら従来の演劇に使われている脚本を流用するべきだろう。

 だが、それだけじゃ足りないと思った。

 音さんの演技力が最大限に発揮される脚本を用意したい。

 そのためにはとてつもないインパクトと、彼女の演技力を魅せつけるような脚本が必要だ。


「みんな、脚本は俺に任せてくれないか? なんとか一週間、いや、3日で仕上げてみせるから」


 みんな俺の言葉に最初はびっくりした顔をしていたが、面白そうという先輩達の言葉で俺が脚本を書く事になった。

 俺はライブツアーの演出や構成を決めたり、脚本の始まりや終わり、流れみたいなのに提案を出した事はあるけど、一から脚本を書いた経験なんてない。

 白銀キングダムに帰った俺は、1日目、2日目と全く進まない脚本に頭を悩ませた。


「あくあ様、何してるんですか?」

「えみり……」


 俺はたまたま書いていたものを見られたえみりに全ての事情を説明する。

 なんとなくだが、えみりなら解決の糸口を見つけてくれるかもしれないと思ったからだ。


「なるほど、そういう事ならこの雪白えみり。全面的に協力しましょう!!」


 器用になんでもこなせるえみりのおかげで、演劇部では無理だと思っていた映像やCGを使った演出や、スポットライトをうまく使った照明の演出も使えるようになった。


「あんた、最近、えみりちゃんと2人でなんかしてるでしょ。あ、言っておくけど、もう、えみりちゃんから事情は全部聞いてるから」


 そう言って小雛先輩はアイとはなあたの八雲いつき先生、ピンクのバラの村井熊野先生と腹を切るの志水先生、そして、ゆうおにの司圭先生を連れてきた。

 ってぇ!? なんかお面被って顔を隠してるけど、本物の司先生と会うの初めてなんですけど!?


「という事で、脚本を書くにあたってわからない事があったらこの暇人たちに聞きなさい。それと、あんたが脚本を書き終えるまでの間、あんたところの演劇部員は私が借りていくから」


 嘘だろ……。俺は忙しい最中に来てもらったみんなにペコペコと頭を下げる。

 しかも、リサを通して演劇部のみんなにはもう話をつけてるって!?

 俺は小雛先輩にシゴかれる演劇部のみんなの事を思って胸が痛くなる。

 小雛先輩は、俺の部屋を出て行こうとして立ち止まった。


「世の中にはクソみたいな大人はたくさんいるわ。それこそ、子供を食い物にしてゴシップ誌を書いてるような大人とかね。でも、クソじゃない大人だって世の中にはたくさん居るのよ。それをあんた達子供に教えてあげる」


 真剣な顔をした小雛先輩はぶつぶつと何かを呟いて、俺の部屋を出ていく。

 俺は小雛先輩が連れてきた先生達の協力もあって、なんとか一本の脚本を完成させる。

 俺はその脚本を演劇部のみんなに見せると、音さんを演劇部に誘うためにお昼休みに彼女の居る1Aの教室に1人で向かった。


「お願い。音さん! 一度でいいから演劇部のために協力してくれないか?」


 もうすでにとあが骨折をしている事は学校に居る全員が知っている。

 更にそれに加えて演劇部がとあの代役を探すために苦労している事を、ココナやうるはに協力してもらって学校中に噂を広めてもらった。


「え、と……」


 自分でもずるいとはわかっている。

 お昼休み、みんなに見られた状態で、俺に頭を下げられて断れる女性はいない。って、このやり方を提案していてきたえみりの言葉に脚本を協力してくれた先生達も頷いていた。


「頼む。この役を一週間でやれるとしたら、音さんしかいないんだ」


 これでも首を縦に振ってくれなかったから、羽生総理直伝の土下座をするしかない。

 でも……ごめん。えみりがせっかく色々と手を考えてくれたけど、やっぱりこのやり方は俺のやり方じゃない気がした。


「音さんは、もう演じるのが嫌?」


 俺は真剣な顔で音さんの心に一歩踏み込む。

 これで首を縦に振られたら仕方ない。その時は素直に諦めて、とあに一週間で骨折を直してもらうだけだ。

 俺の問いかけに、音さんは初めて動揺するような素振りを見せる。


「嫌なわけない……」


 音さんは漏れ出た本音を隠すように、咄嗟に手で口を押さえる。


「だったら、脚本だけでも読んでみて。それでダメなら俺も諦める」


 俺は音さんに脚本を手渡すと、彼女に背を向けて教室の入り口へと向かう。

 音さんに手渡した脚本には、俺が書いたとは書いてない。

 彼女にはそれを抜きにして、純粋に演じたいと思わせたかったからだ。


「放課後、君が来るのを待っている」


 結論から言うと俺は賭けに勝った。

 音さんを演劇部に加えた俺達は小雛先輩やえみり達の助けてもあって、見事に文化祭の演劇を成功させる。

 俺はステージの上で軽く息を吐くと、真っ直ぐと前を向く。


「皆さんも知っての通り、今回の主演を務めてくれた音さんは現在、雑誌やニュース、SNSを騒がしている件が発端となって謹慎しています。だから俺は、ルールに縛られない文化祭の演劇部としてなら音さんに役者をさせてあげられるんじゃないかと思って、今回の事を思いつきました」


 俺の言葉に音さんが動揺する。

 ごめん。嘘を吐いて君を騙した事は後で謝る。


「俺が知っている限りの音さんは、そういうネット上で囁かれているような事をする人だとは思えませんでした。でも、音さんがそういう事をしていない証拠を出せと言われたら、俺達にはそれを否定する証拠を出す事はまず無理です」


 何かをしている証拠を出すのは簡単だが、してない事の証明をするのはほぼ不可能だ。

 だからゴシップを書く記者は噂だけで煙を立たせて、悪意のある人達によってSNSで薪をくべられて簡単に炎上してしまう。


「だけど、俺はこのままでいいとは思っていません。完全な証拠となるものがあるならまだしも、もうこんな形で誰かが犠牲になるのはやめませんか? 俺は、アイドルとしても、1人の役者としても、こういうゴシップで才能のある人がこの世界から消えていくのは絶対に嫌なんです!!」


 俺は会場にいる人達と配信用のカメラを通して俺を見ている人達に向かって訴えかける。


「今回、俺の考えた事は勢いだけの穴だらけで、結果、多くの人達に迷惑をかけてしまいました。それでも、俺を信じてくれた人達のおかげで全てをやり遂げる事ができたんです。だから少しでいい。俺達の事を、もっと信じてくれませんか?」


 今回の演劇を成功させるために、見えないところで多くの大人達が俺たちに協力してくれた。

 アナウンス指導をしてくれた楓はもちろんのこと、アナウンスのシーンを撮るにあたって協力してくれたのは鬼塚アナだし、映像を撮るカメラやパソコン、音響の機材だって本郷監督やモジャさん、ノブさん達が手配してくれた。

 また、その映像の撮影にあたってスタジオを貸してくれたのは阿古さんだし、琴乃やしとりお姉ちゃん達だって俺のために色々と動いてくれたとえみりから聞いている。


「もちろん、嘘を吐いて期待を裏切ってしまう事だってあるかもしれない。噂が事実だったこともあるかもしれない。それでも、どうか、お願いします!! 音さんの事を、これまでゴシップに苦しんだみんなの事を信じてあげてください!!」


 情けのない話だが、俺にできるのはとにかく誠実にお願いするだけだ。

 はっきり言って世の中はそんなに甘くない。

 企業ならそういう噂が出た時点で、自分の会社と社員を守るために敬遠するのが普通だ。

 だから俺が訴えかけたところで、音さんを取り巻く状況は何も変わらないかもしれない。

 それでも、2人でも、1人でも良い。音さんの味方を1人でも増やしてあげたかった。

 俺が頭を下げたのを見て、後ろに居たリサが前に出る。それに続いて他の部員達も前に出てきた。


「私からもお願いします!」

「お願いします!」

「どうかお願いします!」


 みんな……ありがとう。

 俺達が一斉に頭を下げたのを見て、誰かが手を叩いた。

 一つ、また一つ、徐々に拍手の数が増えていく。


「同じクラスの仲間として、私は音さんの事を信じてるよ!」

「音さん、噂なんかに負けないで!!」

「私も信じてる! 音さん、役者を続けて!!」


 どうやら最初に拍手をしてくれたのは、音さんの同じ1Aのクラスメイト達だったようだ。

 それを見た音さんの目から涙が溢れる。


「音さん、諦めないで。応援してるから!!」

「悪い大人達に屈するな!! がんばれ、音さん!!」

「私も大人の1人だけど、見てる人は見てるから!!」

「信じてるよ、音さん!」


 俺たちは音さんが泣き止むのを待ってから、もう一度みんなで手を繋ぐと観客席に向かって頭を下げた。

 とりあえず、やれるだけの事はやったけど、これからどうなるかはまだしばらく様子を見てないとわからない。

 これで少しは音さんを取り巻く状況が変わってくれればいいんだが……。

 あれ? そういえば、もう1人の影の立役者でもあるえみりは一体どこに行ったんだろう?

 後でえみりにもちゃんとお礼を言っておかなきゃな。

 そんなことを考えながらステージの上から舞台袖に向かって歩いていたら、俺の目の前に何かが落ちて床に転がる。

 うおっ!? なんでこんなところに、ネジが落ちてきたんだ!?

 俺が首を上げて視線を上に向けると、スポットライトの光の中に誰かが動く人影が見えた。

 もしかしたら、スポットライトに何か不調があって修理でもしていたのだろうか。

 俺は何事もなかったかのように地面に転がったネジを回収すると舞台袖に引っ込んだ。

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