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音ルリカ、私のこれから。

 学校が終わった後、事務所に直行した私は、女優として復帰したい事を、素直に今の自分の気持ちを社長に伝えた。


「ごめんね。ルリカちゃん。うちがもっと大きな事務所だったら、もっと週刊誌に根回して記事を上げたりとか、SNSで火消しできたかもしれないけど、うちはそこまで大きくない事務所だから、ほとぼりが冷めるのを待つくらいしかできなくて……」


 憔悴しきった顔で項垂れた社長を見て、私も申し訳ない気持ちになる。

 芸能界において、事務所の力は絶対的だ。

 ベリルエンターテイメントのような例外を除いて、メディアに伝手のない新参の事務所や中小の芸能事務所は、一旦火が着くとただただ時の流れに身を任せて鎮火を祈る事くらいしかできない。


「とはいえ、私だって何も考えていないわけじゃないから。ちょっと待っててね。そろそろ来るはずだから」


 そろそろ来る? 一体、誰が来るというのだろうか?

 それから少しして、社員さんの1人が慌てて社長室に入ってくる。


「失礼します! しゃ、社長……その、来ました」

「うん、わかった。中に通してくれるかな?」


 すごい慌てようだけど、誰が来たというのだろうか?

 そんな事を考えていると、すぐにその人物が現れた。


「はじめまして。今日はお世話になります。ベリルエンターテイメントの天鳥阿古です」

「「あ、天鳥社長!?」」


 って、社長? なんで社長まで私と同じように驚いてるんですか?

 さっきの素振りだと社長が自分で呼んだ感じがしたけど、そうじゃないのかな?


「ご、ごめん。私が声をかけてたのはベリルエンタープライズだったんだけど……。まさか親会社の、それもベリルグループの一番上が出てくるなんて予想できないよ」


 ベリルエンタープライズ?

 へぇ、そんな名前の事務所があるんだ……。初めて知った。

 私と社長は、天鳥社長と軽く挨拶を交わした後にソファに座る。


「今日の会談の内容については、我が社のグループである子会社の社員から既に聞いております。なんでも女優、音ルリカさんの移籍先を探しているとか?」

「は、はい。音さんの女優復帰には、事務所移籍が一番手っ取り早いだろうと思って、ベリルの庇護下にあるベリルエンタープライズさんに声をかけさせて貰いました。それにエンタープライズさんは、謎の仮面アイドル、白苺小猫さんの正体について週刊誌が躍起になっていた時も、大手新聞社の聖白新聞や藤グループが他のメディアに対して独占取材契約等の法的な手段を用いて強烈な牽制をしていたので、ここならうちの音も守れるんじゃないかなと思いまして……」


 社長……私の事、ちゃんと考えてくれていたんだ。

 事務所を移籍する時は基本的にフリーか、移籍金もしくは契約解除金を支払ってからの移籍になる。

 私みたいな謹慎中の女優は移籍金や契約解除金もあまり取れないだろうから、今回の件ははっきり言って社長や事務所にとってはあまりメリットがない。

 それでも私の将来を思って、ちゃんと動いてくれていたんだと思うと感謝の気持ちしかなかった。


「なるほど、その件について我が社からいくつかの提案をさせて貰おうと思って、手っ取り早く直接、私が来させてもらいました」


 天鳥社長は私と社長の顔をジッと見つめる。

 言葉にも迷いがないし、いかにも仕事ができる人って感じだ。

 天鳥社長はバッグから1枚の書類を取り出すと、私達にそれを提示する。


「まず一つ目は、私達が正当な移籍金、もしくは契約解除金を支払って、正式に音ルリカさんをベリルグループの一員に加えるという方法です。現場に復帰するまでの時間は手続き等の手間を入れて通常なら1ヶ月、いや、2週間くらいで終わらせましょう。音さんは契約後即座に撮影現場に入ってもらって、その間にメディアを使って音さんのポジティブキャンペーンを開始。年末年始から始まるドラマの主演女優として復帰できるように最短ルートを目指します」


 女優としての私の具体的な復帰プランが提示された事で、心臓がすごくドキドキする。

 すごい。黒マジックで線が引かれてるけど、どうやら私が出演するドラマも決まっているようだ。


「次に二つ目の方法は、私達ではない他の事務所に移籍するパターンです。こちらについては、後から越プロさんやステイツのSTAR LIGHTS PARTNERさんの担当者さんがこちらに来られると思うので、そちらから詳しい話を聞いてください」


 越プロと言えば、小雛ゆかりさんが所属してる事務所で有名だ。

 それに、ステイツのSTAR LIGHTS PARTNERと言えば、美洲様や玖珂レイラさんが所属している世界的な事務所です。

 越プロだけでも驚きだけど、STAR LIGHTS PARTNERのような全世界向けの作品に出演するような女優さんばっかりを囲っている事務所が私にオファーだなんて、正直ちょっと信じられない。

 私が戸惑うような素振りを見せると、天鳥社長が詳しい説明をしてくれた。


「我が社に所属している有栖川アビゲイル取締役は元々STAR LIGHTS PARTNERさんで働いていました。彼女が掴んだ情報によると、ステイツに本拠地を置くSTAR LIGHTS PARTNERさんが本格的に日本進出をしてくるそうで、日本に正式な事務所を構えるそうです。音さんは、そのSTAR LIGHTS PARTNERさんの日本法人と最初に契約する日本人の1人として候補に上がっているという情報を得ました」


 ……普通に考えて、とても光栄な話なんだと思う。

 でも、日本法人との契約って事は、美洲様や玖珂レイラさんのようなワールドワイドなグローバル契約とは全く別の契約だという事だ。

 まだ新人に位置する私が2人に並べ立てるなんて到底思っていないけど、それでも女優の端くれとしては悔しい。

 私の隣で静かに聞いていたうちの社長が口を開く。


「その情報は確かなんですか?」

「はい。STAR LIGHTS PARTNERさんは実際に、我が社に所属している白銀あくあ、黛慎太郎、天我アキラの3人にも接触しています」


 私と社長は顔を見合わせると、お互いに驚いた顔をする。

 黛慎太郎さんや天我アキラさんはもちろんのこと、あ、あのあくあ様をベリルから引き抜こうとするなんて驚き以外の何者でもないです。


「弊社所属の白銀あくあに関しては、STAR LIGHTS PARTNERさんと契約している雪白美洲さんの意向があったのではないかと思うので、個人的にはわからなくもありません。2人は親子ですし、稼ぎ頭の雪白美洲さんの方から親子で同じ事務所に所属したいと言われたら、STAR LIGHTS PARTNERさんとしても動かざるを得ない事情があったんだと思います。向こうにとっても旨みのある話ですしね。ただ、オファーを出してきたのも日本法人ではなくステイツ本社からでしたし、向こうの社長さんからも直接私に連絡があったので誠意のある対応をしてもらえたと思います」


 阿古さんはニコリと微笑む。

 誠意がある対応をしていただいたとか言ってるけど、この顔は絶対に裏で色々あった顔のように思える。

 一体、相手方は何をやらかしたんだろう……。やっぱり直接本人にちょっかいをかけてきたのかな?

 私の隣で座っている社長が、恐る恐る口を開く。


「ちなみに、後学のために教えていただきたいのですが、天鳥社長はどう返答したんですか?」

「それなら雪白美洲さんが我が社に所属するなんてどうでしょう? それなら親子で仲良く同じ事務所に所属できますよと。あぁ、なんならセットで玖珂レイラもうちで面倒を見ますよと提案させてもらいました」


 こわ……。それってうちの白銀あくあに手を出すなら、雪白美洲と玖珂レイラの2人をまとめて引っこ抜くぞって言ってるようなものじゃないですか……。


「ただ、問題はそちらじゃなくて、STAR LIGHTS PARTNERさんの日本法人が弊社所属の黛慎太郎と天我アキラの2人に声をかけてきた事なんです。しかも、天我アキラに関しては、将来的なグローバル契約までの具体的なプランをチラつかせていたと本人から聞きました。また、越プロさんの方にも女優小雛ゆかりに対して、海外での映画やドラマの出演を条件に本人に直接引き抜き交渉があったと聞いています。音さんがSTAR LIGHTS PARTNERさんの獲得候補リストに入っている事を確認したのも、この事について私が調査している時に知りました」


 なるほど、全てを包み隠さず誠実に打ち明けてくれた天鳥社長の言葉で、なんとなくだけど色々な背景が見えてきた気がする。

 STAR LIGHTS PARTNERが日本に進出するにあたって目玉となる人が欲しい。そこで一番に目をつけられたのが、海外への進出を目指している小雛ゆかりさんと本格的にアクション俳優の道を歩き始めた天我アキラさんだ。

 そして、あくあ様にとって、2人は唯一無二の先輩達でもある。もし、この2人が移籍したとなれば、日本ではものすごく大きなニュースになるだろうし、世間に対する話題性も十分だと思う。

 多分、黛慎太郎さんは天我アキラさんに断れた時の保険で、私は数多くある小雛ゆかりさんの予備リストの1人なんだろうなと察した。

 

「更に踏み込んだ話をすると、私が今日ここに来たのもこれが理由で、うちは越プロさんやSTAR LIGHTS PARTNERさんより本気ですよという誠意をアピールするために、ベリルグループの最終決定権を持つ社長である私本人がここに来させてもらいました」


 天鳥社長は背筋を伸ばした姿勢で、私の事をじっと見つめる。

 なんとなくだけど、あくあ様が天鳥社長を仕事上のパートナーに選んだ理由が分かった気がした。

 もし只のやり手の社長さんなら、きっと越プロやSTAR LIGHTS PARTNERの事は伏せて、現金と契約書を持ってきて私と社長に契約を迫ると思う。

 他に選択肢のない私たちならきっとそれに応じるだろうし、何よりも相手はあのベリルだ。オファーされて首を縦に振らない人なんて日本には数えるくらいしかいないだろう。

 それなのにこの人は、全てを包み隠さずしゃべった上で、ベリルエンターテイメントを選んで欲しいと言った。

 レベルを上げて物理で解決、真っ直ぐ行ってぶん殴る、隠密行動と書いて正面突破という、あくあ様直筆の謎の掛け軸を休憩室にかけててSNSで話題になっていた会社なだけの事はある。

 私と社長は、その眩しいほどの真っ直ぐさにただただ圧倒されて言葉が出なかった。


「それと三つ目の提案ですが、これに関しては音さんだけではなく御社と弊社も含めた大きな話になります」


 天鳥社長の真剣な眼差しを見て、私と社長の2人は息を呑む。


「結論から言うと、音さんの所属する事務所ごと弊社が買収して、ベリルグループの一員に加えてしまうという事です」


 ええっ!? あまりにも大きな話に私はびっくりした顔をする。

 しゃ、社長、私の隣で泡吹いて倒れようとしないでください! 貴女の会社の話ですよ!!


「ただ、このやり方だと少し時間がかかります。今が10月だから……そうですね。株式の譲渡契約が正式に結ばれるのは、決算前後にはなるのではないでしょうか。この場合、音さんの女優復帰は夏に公開される映画を想定していて、こちらも既にプロデューサーに話を通して仮押さえしています」


 ベリルくらいになると、もうオーディションがどうとかじゃないんだ……。

 それとも、それくらい私に期待してくれているのだろうか?


「もちろん、先ほどこちらから提案させてもらった年末年始から始まるドラマもそうですが、あくまでも仮押さえなので実際に音さんが台本を見て、出演するかどうかを決めてもらって構いません。私たちの方でも、内容を精査して音さんに相応しくないと思った時は、違うドラマや映画を提案させてもらえればと思います」


 所属タレント第一を掲げるベリルらしいなと思った。

 でも、拒否するだなんて考えた事なかったな。今はなんでもいいから、女優として復帰したい。


「四つ目の提案は、正直なところ、弊社にとってはあまりメリットはありません。御社と弊社の間で業務提携の契約を交わして、弊社の庇護下に入れる事で音さんへの批判を和らげるというものです。業務提携の発表をする時に、御社の音ルリカさんと弊社の白銀あくあが共演するドラマや映画を一緒に発表できれば、自然と話題もそちらに流れていくと思いますよ」


 そもそも、これまでの提案だってベリルにとってはメリットがあるのだろうか?

 事務所の買収や、私の移籍金や契約解除金について、相当な金額が書類に提示されていた。

 それを回収できるだけの実力が今の自分にはあると思えない。


「最後の提案もこれに近いもので、音ルリカさんは個人のタレントとして御社に所属した状態のままで、女優として弊社とエージェント契約を結ぶというものです」


 エージェント契約といえば、確か国営放送の森川楓さんも同じ契約だったはずだ。

 でも、これは森川さんがベリルの専属アナウンサーとして、特例的に国営放送以外のテレビ局に出るための措置だったように思う。

 森川さんくらいならベリルにとってもメリットがあるだろうけど、はっきり言ってベリルの仕事に絡んでいるわけでもない私と契約する事にそこまでのメリットはない。

 私は少し考えた後に、ゆっくりと口を開く。


「事務所の買収や業務提携に関しては、私が口を出す事ではないのでコメントを差し控えますが、はっきり言って私にとってはどれも魅力的な提案ばかりです。しかし、私のためにそこまでしてくれる理由がわかりません。失礼を承知で聞きますが、その……どうしてなんでしょうか?」


 私の問いに対して、天鳥社長は少しだけ表情を崩して笑みを見せる。

 一瞬だけど、この人の本音と心がその表情から垣間見えた気がした。


「うちの会社で決定権を持っているのは私ですが、ベリルエンターテイメントという会社は、白銀あくあ個人のために存在しているのです。その白銀あくあから、音さんの現状について個人的に相談された事が最初のきっかけでした。もちろん、弊社としてもちゃんと音さん自身の魅力や実力、将来性を精査した上でオファーを出させてもらっているので、そこは安心してください」


 あくあ様がどうして?

 確かにヘブンズソードの撮影では少し絡んだ事があるけど、同じ学校と同じ業界にいても彼とはそれくらいの接点しかない。


「弊社の白銀あくあ……んんっ、堅苦しい言葉はここまでにして、あくあ君が言うには、音さんは若いのに雰囲気があるって言ってましたよ。中学生や高校生でこんな雰囲気を出せる人は滅多にいないから将来大物になると。もう全てを包み隠さず言うと、その時、隣に居たゆかりが無言で頷いてあくあ君の話を聞いているのを見て、私は貴女に興味を持ったんです。女優として小雛ゆかりの評価を、私は美洲様やレイラさん以上に絶対的に信頼していますから。それこそアイドルとしての白銀あくあのアイドル評と同じくらいにね」


 そう……なんだ。

 あくあ様といい小雛ゆかりさんといい、実力のある人に褒められるとやっぱり嬉しいな。


「越プロさんが音さんにオファーを出そうとしているのも、多分、あくあ君の話を聞いたゆかりから相談されたからじゃないかな。あそこの社長は、あくあ君に対する私並にゆかりに甘いから。いや、甘いっていうより脅されてる? 躾けられてる? って言った方が正しいのかも……」


 越プロさんとはやはり良好な関係を築いているのか、天鳥社長からも笑みが溢れる。


「他に何か聞きたい事があれば遠慮せずに聞いてください。ここからはオフレコで、私も答えられる範囲で、誠実に答えられたらと思います」


 さっきまで呆けていたうちの社長がいつの間にか復活すると、契約を結んだ後の私について天鳥社長に幾つかの質問をする。

 私は私の事について真剣に話し合う2人の社長を見て、自分は恵まれているんだなと思った。

 今回、助け舟を出してくれた天鳥社長に対しても感謝しかないけど、それ以上に私の事を一番に考えてくれていた社長に対しても感謝の気持ちが溢れてくる。

 私がずっと悶々としていた一方で、社長もどうにかしたいと足掻いていたんだろう。

 実際に私が少しでも大きなところに移籍できるように社長がいろいろなところに声をかけていたら、それがベリルエンターテイメントさんに繋がった。


「私としてはうちの音が女優に復帰できるのであれば、これ以上の事はありません。音はもう既に一年近く謹慎しているので、私としては音に最短で女優に復帰してもらいたいと思っています。そしてその時、音が女優として、最も雑音のない形で復帰できるのは、ベリルエンターテイメントさんに所属させて貰う事だと思いました。どうするかを選ぶのは音自身ですが、天鳥社長と話して見て、貴女になら音を託せる。少なくとも私はそう感じました」

「ありがとうございます。でも、まだ決断を下すには少し早いのではないでしょうか? 越プロさんも、おそらく社長さんが来ると思いますし、ステイツのSTAR LIGHTS PARTNERさんはなんと言っても規模や歴史が違いますから。お二人には満遍なく話を聞いた上で、その上で弊社を、ベリルエンターテイメントを選んでもらえればと思います。ううん、選んでもらえると自負しています」


 かっこいい。1人の人間として、大人として、同じ女性として本当にかっこいいなと思った。

 それこそ、アイドルをしている時のあくあ様と同じくらい、天鳥社長は自信に満ち溢れている。

 そんな彼女の姿を見て憧れない人なんてきっといないと思う。


「それでは私はここで失礼させてもらいます。ぜひ、ご検討ください。もちろん、わからない事があれば、私か、桐花琴乃に聞いてもらえればと思います。それでは、今日は弊社のために時間をとって頂きありがとうございました。また、会える日を楽しみにしています。音さんも社長さんも、今は辛い時期だろうけど、頑張って。ああ、それと今は文化祭で大変だろうからって話もあくあ君から聞いてるから、決断を出すにしても文化祭の後でいいからね」


 そう言って天鳥社長は颯爽と帰っていった。

 私が呆けていると、隣にいた社長が私の方へと顔を向ける。


「音さん、ごめんね。私にもっと力があれば、この炎上騒ぎだってどうにかできたかもしれないのに……」

「社長、謝らないでください。むしろずっと社長が動いてくれていたとわかって、私は嬉しくなりました。それなのに私は何も知らずに直談判して……」


 社長は私の手の甲の上に自分の掌を重ねる。

 よく見ると社長は目尻に涙を溜めていた。


「いいんだよ。音さんは女優さんなんだし、直談判したくなる気持ちはよくわかる。むしろそういう状況にまで追い込んでしまった私の力の無さと、決断の遅さが原因なんだから」

「いえ、それでも私がここまでやって来れたのは社長のおかげですから……」


 私の言葉に社長は泣きそうな顔で笑みを見せる。

 そっか、悔しいのは私だけじゃないんだ。

 もっと、もっと私に力があれば、社長にこんな顔をさせなかったのかもしれない。

 私は握り拳に力をギュッと込める。


「ありがとう。音さんにそう言って貰えただけで私は十分に嬉しいよ。さぁ、音さん、これからどうするか、天鳥社長の言う通り色んな人の話を聞いてから2人でじっくりと考えよう」

「はい!」


 もう2度とこんな事にならないために、私は世界一の女優になる。

 例えそういう事態になったとしても、それを弾き飛ばせるくらいのすごい女優さんになりたいと思った。

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