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幕間 小雛ゆかり、うぎゃあああああああああああああああああ!

※本編でアヤナちゃんとにゃんにゃんしてるので、真熊を載せておきます。


「というわけで今日はこのメンバーでホラーゲームをやりたいと思います」


 私とあくあ、それにカノンさんとアヤナちゃん、えみりちゃんの5人でホラーゲームの配信をやる事になった。


「で、このメンバーでホラー大丈夫な人ー!」

「はーい!」

「って、あれ? 俺とえみりさんだけ? 小雛先輩は?」

「はあ? こんなゲームやるのバカだけでしょ!」


 そもそもホラーゲームって何なのよ!

 わざわざ怖いゲームやる意味ある?

 え? 本当に意味わからないんだけど!!


【おいwwwww】

【ダメだってw】

【案件でゲーム会社批判するやつwww】

【こーれ、もう2度とこの会社から案件来ませんw】

【開発会社の人がコメント欄で爆笑してて草】

【カノン様ー? さっきから無言だけど息してるー?】

【カノン様の死亡を確認!!】

【あれれ? アヤナちゃん口数少なくないっすかー?】

【アヤナちゃんさっきちょっと泣いてて可愛かった】

【は? アヤナちゃんの涙声? アヤナちゃんいきます】

【越プロ社長:私もアヤナちゃんいきます!】

[小雛ゆかりさんが越プロ社長さんをキックしました]

【小雛ゆかりw】

【真に受けすぎだろw】

【こいつ自分のところの社長キックしやがったぞw】


 はあ……本当にこのゲームやるの?

 みんなでvariantやろうよ。普通に嫌なんだけど!!

 まぁ、仕事だから絶対にやるけどさ! この仕事を持ってきた社長、後で絶対しめるから覚悟しておきなさいよ!


「ところでこのゲームって何すんのよ?」

「幽霊屋敷の中からお宝をゲットして帰るゲームです!」


 なにが楽しくて幽霊屋敷になんか行くのよ!!

 お宝なんてもうどうでもいいじゃない!!


「それじゃあ始めますよ! ゲーム、スタート!!」

「うぎゃあああああああああああ!」


 なんでゲームを開始した途端にバーンって大きな音が鳴るのよ!

 この会社、何? 私に喧嘩売ってんの?


【うっせぇw】

【小雛ゆかりさぁw】

【アヤナちゃんとカノン様、生きてる?】

【まさか小雛ゆかりがホラーが苦手だなんてな】

【越プロ社長@サブ垢:テレビ局の皆さーん! うちの小雛ゆかりにホラーの仕事、待ってまぁす!!】

[小雛ゆかりさんが越プロ社長@サブ垢さんをキックしました]

【社長wwwww】

【懲りないなぁw】


 私はゆっくりと周囲を確認する。

 目の前に幽霊屋敷があるという事は、どうやら目的地についた直後からスタートのようだ。

 私はぐるりと反対側を向くと、自分が乗ってきた車の中へと戻る。


「よしっ! 帰るわよ!!」


 あれ? なんで車が動かないのよ! ほら! さっさと出しなさいよ!!


【帰ろうとしてて草w】

【カノン様とアヤナちゃん、無言で車の後ろに乗り込んでて草w】

【おい! あくあ様とえみり様を置いて行こうとするな!】

【鍵ならさっきあくあ様が抜いてたぞー】


 もー! どうなってるのよ!

 私は仕方なく車から降りると、幽霊屋敷の玄関前にいたあくあに近づく。


「すみませーん! 誰かいますかぁー!?」


 あくあがドンドンと勢いよく扉を叩く。


【あー様wwwww】

【あくたん草w】

【やめてw幽霊起きちゃうwww】

【あのさ、ホラーゲームって普通は男の子がビクビクするゲームじゃないの!?】

【神すらも恐れない男が幽霊なんて怖がるわけがないだろ】


 ちょっとぉ! やめなさいよ!!

 あんた何考えてるのさ? どうせ何も考えてないんだろうけど、そんなに死にたいわけ!?

 言っとくけど、死ぬなら1人で死になさいよね!!


「あくあ様、これですこれ」

「あ、ピンポンあったんだ」


 えみりさんが扉の隣にあったピンポンを連打しまくる。


「どーも、ベリルローンです。森井さーん、居留守使ってるのはわかってるんですよー!」


 だから起きるって! そんな事したら確実に寝てた幽霊も起きるじゃん!!


【ちょw】

【えみり様面白いw】

【朗報、えみり様、まさかの面白キャラだった】

【鞘無インコ:森井って誰やねんw】

【森井草www】

【謎の森井さん登場w】

【よく見るとポストにmorryって書いてあるけど、それ森井じゃなくてモリーさんだろw】

【くっそ、すごくリアリティがあるのはなんでなんだろう】


 私はとりあえず後ろからうるさい2人をグーで殴って止める。

 わかった。このゲーム、幽霊よりまずは身内だわ。こいつらも私の敵なんだと認識する。


【はい、暴力】

【小雛ゆかりさん……暴力では何も解決しませんよ?】

【おーい、今の切り抜きクリップ誰か後でSNSにあげといて】

【気持ちはわからなくはないけど、えみり様とあくあ様を殴れるお前はすげーよw】

【やっぱりアヤナちゃんいきます!】


 私はキャラを操作して倒れていたえみりちゃんの首根っこを掴んで持ち上げると、静かにしなさいと注意しながら上下に思いっきり揺さぶった。あんたの後ろでカノンさんが震えてるの見なさいよ。もう!!


「どうやら玄関からは入れないようですね。家の周りを探してみましょう」


 はあ!? この暗闇の中を探すってわけ?

 そんなの嫌よ!! あんた達だけで探しにいきなさいよね!!


「それじゃあ俺は右回りに探索してきます」

「それじゃあ私は左からいきます」


 あくあとえみりちゃんの2人は左右に分かれて探索を開始する。

 ちょ、ちょっと、待ちなさいよね!

 2人が同時に居なくなっちゃったら、取り残された私たち3人はどうしたらいいのよ!!


「い、行っちゃった……」

「ゆかり先輩、ど、どどどどうしますか?」

「よし! とりあえず私達は隅っこに固まるわよ!!」


 って、私が前!? そんなの嫌よ!

 私はアヤナちゃんの背中をぐいぐいと押す。


「ゆかり先輩、押さないでくださいよ!」

「え、あ、わ、私?」

「な!? カノンさん、今、私の事を前に出そうとしたでしょ!」


 私達はお互いの背中を押すようにマップの隅っこでぐるぐると回る。


【なんだこれw】

【私達は何を見せられているんだwww】

【やっぱり人間って愚かなんだな】

【3人で先頭を押し付け合ってて草w】

【あくあ君とえみり様の配信ってどうなってるの?】

【↑あくあ様ならさっき幽霊を口説いてたぞ】

【↑嘘つけ! 確認してきたけどあくあ様なら口笛吹きながらスキップしてたぞ】

【↑あくあ様だけ違うゲームやってる説出てきたなwwwww】

【えみり様は手慣れた手つきで野草を摘んでたな】

【↑ばっか、お前、あれはお花を摘んでたんだよ】

【↑アイテム欄にどこにでもある野草。特に意味はないって書いてあったけど……】


 ちょっと! あの2人、中々帰って来ないじゃないの!!

 私は携帯電話を手に取ると、あいつに電話をかける。


『もしもし』

『ちょ、配信中に電話かけないでくださいよ! それとも何かトラブルですか?』

『トラブルも何もどこにいるのよ! さっさと帰ってきなさいよね!!』

『いやいやいや、小雛先輩、電話かけたら意味ないでしょ! ルールは守ってください』


 あくあはそう言うと通話を一方的に切った。

 この薄情者おおおおおおおおおおおお! 今度から甘えさせてあげないんだからー!!


【こwいwつwww】

【配信中に電話かけるの草w】

【小雛ゆかりさあw】

【ホラーゲーム中に電話かけるとか前代未聞だよw】


 あっ、えみりちゃんが戻って……ひぃっ!

 私達はえみりちゃんの後ろに浮かんだ小さな人形と目が合う。


「えみりちゃん後ろ後ろ!」

「え?」


 えみりちゃんが体を右に向けて後ろを見る。

 すると空を浮いてた人形が左側に回った。


「えみり先輩、左、左!」

「いやいや、なんもいないじゃん!」


 いるってぇ!

 小さな人形はえみりちゃんの動きに合わせて反対側に回る。


「えみり先輩、右、右!」


 あ、また逆に回った。


「ふぅ……これ、もしかしていじめですか?」


 いやいやいやいや! えみりちゃん、肩、肩! 肩に人形さんが乗ってるよ!?

 気がついてーーーーー!


「あ、あ、あ、あ……!」


 アヤナちゃん!?

 え? アヤナちゃんの動きが完全に止まったんだけど……?


【月街アヤナの死亡を確認!】

【アヤナちゃん配信切れたw】

【こーれ、泣いてます】

【アヤナちゃん大丈夫?】

【※まだ屋敷の中にすら入ってない件について】


 私は席から立つとアヤナちゃんの部屋に向かう。


「アヤナちゃん大丈夫?」


 あ……。

 部屋に入ると椅子に座ったまま真っ白になったアヤナちゃんがいた。

 うん。私は扉をそっと閉じる。


「阿古っち、アヤナちゃんの事をお願い」

「うん、わかった」


 私は阿古っちにアヤナちゃんを託すと、自分の部屋に戻る。

 あっ、ちょうどそのタイミングであくあが戻ってきた。


「おーい、家の裏に地下に入れるところがあったぞー!」


 ちょっとー! 大きな声出さないでよ!!


「あ、あくあくあくあ、その、えみり先輩の肩に人形ががが」

「えみりさんの肩に人形? どこに?」

「「は?」」


 私とカノンさんは大きく口を開いて顔を見合わせる。


「うっ、うっ、うっ……もう、やだぁ」


 あ、カノンさんが咽び泣く声が聞こえてきた。


【あーあ、泣かせちゃった】

【こっわw】

【あくあ様の視点見に行ったら、本当に人形見えてないじゃんw】

【どうなってるんだよwww】

【えっ? これってバグ? それとも普通にそういうやつ?】


 え、え、え?

 カノンさん大丈夫?

 辛いならもうやめてもいいんだよ?


「カノンの様子見てきます!」

「私も見てきます!!」


 えっ? カノンさんに続いて、あくあとえみりちゃんのキャラが落ちる。

 ちょ、ちょっと待って、こ、これ、私しかいないんじゃ……?

 私はさっきまでえみりさんの居たところへと視線を向ける。


「うっ」


 空中を漂う小さな人形と目が合う。

 すると次の瞬間、小さな人形が私に向かってニコッと笑った。


「うぎゃああああああああああああああああ!」


 私は秒でゲームをシャットダウンすると3回くらい深呼吸する。

 ……うん! このゲームはもうやめよう!!


「はい、というわけで今日は白銀あくあのスイカップゲームをプレイしたいと思います! 今日こそは頑張ってWスイカップを作るぞー!!」


 私は何事もなかったかのように別のゲームを始める。


【嘘だろwww】

【案件中に別のゲーム始めやがったw】

【こーれ、後で怒られます】

【いやいや! 幽霊屋敷に入る前に全員が陥落するってどういう事!?】

【こんなの前代未聞だよw】

【リベンジ待ってます!】

【もちろん、またやるんだよね?】

【次のホラーゲーム配信はいつですか?】

【越プロ社長:ホラゲー! ホラゲー!!】

[小雛ゆかりさんが越プロ社長さんをキックしました]

【越プロの社長www】


 私はムカつくスイカップゲームの曲を口笛で吹きながら別のゲームを始めた。

 その30分後にホラゲーを強制的に再開させられるとは知らずに……。

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