白銀あくあ、子供の名前。
すみません。この日は体調悪くて文字数が2500くらいしかありません。
そろそろ産まれてくる自分の子供の名前を決めなきゃいけない。
カノンは俺に名前をつけて欲しいと言ってたから、なんとかしてその期待に応えたいと思った。
それなのに……。
「なしなし。あんた、ネーミングセンス悪すぎでしょ」
「ぐぬっ、ぐぬぬぬ」
小雛先輩に名前の候補リストを全否定された俺は歯を食いしばる。
「私がカノンなら100離婚ね」
「うぐっ」
ヴィクトリア様の離婚ワードに打ちひしがれた俺はその場に倒れ込む。
「あくあ君。流石に自由と書いてフリーダムはないよ。うちが白銀フリーダムって名前なら家出するで」
「ぐわああああ!」
遊びに来ていたインコさんに完全にトドメを刺された俺は、その場に這いつくばる。
子供には自由に生きてほしい。そう願いを込めた俺の名前がみんなに完全否定された。
「もういっそ、こうなったら慎太郎にあやかって慎次郎とか、慎之助とか……」
「えー。最初の子供なんだから、せめて自分の名前かカノンさんの名前にあやかりなさいよ」
自分の名前、そう自分の名前か……。
俺とカノンにゆかりのある名前。
ダメだ! 何も思い浮かばねぇ。
「白銀あくぽんたんと白銀かのぽんとか?」
「あんたが本気でその名前にするなら、生まれてくる子供とカノンさんのためにも私は本気で戦うわよ」
「あ、もしもしカノン。あなた今すぐに家を出たほうがいいわよ」
「あくあ君、流石にそれはないわ」
いや、俺だってわかってるよ!
わかっててもいいのが思いつかないんだからどうしようもない。
俺が捻り出した渾身の白銀フリーダムも白銀デスティニーも白銀ジャスティスも全部否定された以上、これ以上何かが出るとも思えないんだよな。
「それじゃあ、3人はどうなんですか!?」
涙目になった俺は、逆に3人に質問を投げかける。
そうだよ。最初からこうすれば良かったんだ。
3人の案を聞いて、その上で自分の名付けに活かせばいいと思った。
「普通に白銀大也とかでいいんじゃない? あんたの名前、宝石っぽいし、ダイヤモンドから取って大也とかでいいでしょ。女の子ならルビーちゃんとかルビィちゃんとかカタカナ言葉でも良さそう」
うーん。確かに……。俺の名付けたフリーダムやデスティニーよりずっといい気がした。
ていうか、小雛先輩にしてはまともな名前をあげるのやめてくれませんか?
「私ならスターズ王室にあやかって男の子は白銀譲治、女の子は白銀アンにするわね。ほら、結構良くないかしら?」
そうか。その手があったか!
フリーダムという名前に固執しすぎて、あまりにも盲点だった。
「うち? そんなもん、白銀バースと白銀虎子に決まってるやろ! 将来の4番バッター頼むで!!」
「ごめん。インコさんに聞いた俺が馬鹿だった」
ていうか、インコさん。普通に俺と同じレート帯のネーミングセンスじゃないですか!!
え? それなのにさっき俺のフリーダムとジャスティスとデスティニーを否定したんですか?
「あんたって本当に悩みすぎなのよ。もうちょっとシンプルに考えたらどう?」
シンプルシンプルシンプル……。
あくあ、カノン、あくあ、カノン、俺は自分とカノンの名前を心の中で繰り返す。
ん? 何かを閃いた俺は、スマホでその言葉の意味を検索する。
「どうやら、何かを思いついたみたいね。全くあんたってば本当に手間がかかるんだから」
「まぁ、とりあえずカノンに相談してみたら? あの子なら私と違って怒ったりしないわよ」
「あくあ君。白銀鳴尾浜や白銀甲子園って名前もあるで」
ごめん。インコさんは少し黙ってて。
俺は3人に感謝の言葉を伝えると、カノンの元へと向かう。
「あくあ、どうしたの?」
「いや、ちょっと子供の名前でな。うん」
俺はカノンの部屋に入ると、カノンと一緒にベッドに腰掛けた。
カノンは少し不安そうに、でもワクワクした顔で俺を見つめる。
やべぇ。ここに来て自分の考えた名前を告げるのが不安になってきた。
ていうか、ここにきて白銀フリーダムはないわと気がつく。俺、どれだけ切羽詰まって煮詰まってたんだよ……。本気で止めてくれた3人に心の中で感謝する。
「あのさ、カノン……男の子の名前なんだけど、白銀カノアでどうだ?」
俺はその理由についてカノンに説明する。
ネットで調べたけど、カノアって言葉にはハワイの言葉で自由って意味があるらしい。
フリーダムといい俺が自由という名前に固執をしたのは、前世で有名人の子供が世間から厳しい目で見られていたからでもある。
だから子供には子供の好きな人生を歩んでほしい。そう願いを込めて自由というワードを入れたかった。スターズにも日本にもゆかりのない言葉だからこそ、何にも縛られない自由さがあると思う。
それにカノンのカノ、あくあのあから取ってカノアというのも良いと思った。
「わかったわ。それで女の子の名前も考えてくれた?」
「ああ。女の子は白銀あのんで行こうと思う」
こちらもシンプルにカノンとあくあの名前を繰り返した事で思いついた名前だ。
そういう意味では双子のカノアと対になってるのもいいなと思う。
「あのんは知っての通りスターズの言葉じゃアノニマスってところから来てる。だからこそ俺はこの名前を選んだ。おそらくスターズ王家の血が入ってる女の子は、ずっとスターズ王家の影がチラつくだろうから。だからこそ何者でもない存在になってほしいと思ってこの名前をつけた」
「ふふっ、ふふふ」
俺の説明を聞いたカノンが笑みをこぼす。
あ、あれ? もしかしてダメだった?
「あ、ごめんね。なんでもないの。あのんで女の子か……。ちょっとネットが盛り上がりそうだなって思っただけ。私はいいと思うわよ」
ふぅ……。俺は大きく息を吐く。
良かったぁ。ヴィクトリア様から散々家出と離婚をちらつかされていたからずっと不安だったんだよな。
「あくあ、私のためにいっぱい考えてくれてありがとう」
「カノーン!」
やっぱり俺を甘やかしてくれるのカノンだけだ。
俺はお腹に影響を及ぼさないようにカノンに抱きつく。
「あっ、今、お腹を蹴られたかも」
「本当だ!」
もしかしたら俺がつけた名前に子供も喜んでくれてるのかもしれない。
そう思ったら、すごく嬉しくなった。
「カノン、俺、これからも頑張るよ!」
産まれてくる子供のためにも、何よりもカノンのためにも。
俺は改めて頑張ろうと思った。
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