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雪白えみり、ミルクティーのミルクはマシマシで。

表現的に怪しそうなところがあったら、感想欄か作者Twitter、誤字報告、メールなどでお願いします。

作者はこちらで転載できるように頑張りました。

「それでは次の問題に行きたいと思います!!」


 次の問題はなんだ?

 ぐへへな問題なら私も自信があるぞ!!

 というか、それくらいしかカノンに勝てそうなところがない。


「次のクイズは女性の魅力に関するクイズです。我こそはチジョーだと思う人は前に出てください!!」


 き、き、きたー!! 

 ガッツポーズをした私の後ろで、クレアとくくりの2人が呆れた顔でこちら見つめる。

 これは……勝ったな。

 今、私は間違いなく勝利を確信している。

 なるほど、これがカノンの言う約束された勝利ってやつか。


「それでは、我こそは魅力的だと思う代表者の方は前に出てきてください!!」


 私は嫁ーずの方へと視線を向ける。

 くっ! 姐さんのチームとらぴすちゃんのチームはかなり強いな。

 姐さんのチームは姐さんに加えて、結さんと揚羽お姉ちゃんがいるし、らぴすちゃんのチームにはペゴニアさんとしとりさん、そしてうるはちゃんの3人がいる。みんな魅力的な体の持ち主ばかりだ。

 私は後ろを振り返ると、改めて自分のチームのメンバーの顔をぐるりと見渡す。


「くっ! ヴィクトリア様を残しておけば……!」

「ちょっと! なんで私なのよ!!」


 顔を赤くしたヴィクトリア様が私に詰め寄る。

 あ、すみません。ついつい思ってた言葉が出てしまいました。


「じゃ、じゃあ、ここは、く……ヒィッ!?」


 試しに名前を出そうとしただけなのに、くくりと何故かクレアの2人からものすごい圧が飛んできた。

 くくりは笑顔を崩してないが、その背後に怖い顔をした般若のくくりが浮かび上がってくる。

 やべー、これは確実に後で怒られるぞ……。

 撤退! 危機察知能力の高い私は、くくりの指名を即座に避ける。

 こうなると他に指名できるのはシャムス陛下、スウちゃん、シャルロットさん、アイビスさんの4人だ。

 うーむ、こうなったら彼女のポテンシャルに賭けてみるか。


「アイビス様。お願いできますか?」

「ふふ、わかりましたわ。こう見えて、私、ステイツではとても優秀でしたの」


 おお〜! これは期待できるぞ!!

 アイビス様は扇子で顔を仰ぎながら、自信ありげな表情を見せる。

 やっぱりね。私の思った通りだ。

 こんな服を着ていてもわかるくらいムチムチボディを持っているお方が雑魚なわけがないんですよ!!

 これは……勝ったな!! 私は再び自チームの勝利を確信して、周囲のチームに対して余裕のある表情を見せる。


「おい、お前、そうやって勝ったフリをしてる時、いつも負けてるぞ。フラグ立てるな」

「楓パイセン、イチイチツッコミするために私の背後に立たないでくださいよ」


 しっ! しっ! 早くどこかに行ってくださいよ!

 楓パイセンが側に寄ってきたら、なんらかのお笑いパワーで私の正体がバレるじゃないですか。

 私は楓パイセンを無視しつつ、他のチームへと視線を向ける。


「やはりここは結さんしかいないと思います」

「はい! 琴乃さん。皆さん、ここは私にお任せください!!」


 やはり姐さんは手堅く結さんを選択してきたか。

 男性に対してのスペシャリストでもある結さんほど適任者はいない。


「結さん頑張って!」

「結さんならいけるよ!」

「結さん、ふぁいとー!」

「結さん、私の仇をとってください!」


 揚羽お姉ちゃん、ココナちゃん、まりんさん、白龍先生の3人が手をあげて結さんをステージに送り出す。

 それに対して結さんは嬉しそうな顔を見せる。

 最初は他人行儀なところもあった結さんだけど、普段から一緒に暮らしたり旅行した事もあって、白銀ファミリーのみんなとだいぶ距離感が縮まってきたなと思う。

 後もう一押しあれば、もっと仲良くなれる気がするんだけどな。

 今度その辺の事をカノポンと話してみるか。あいつはポンだし、空気読めないし、嗜みだけど、そういうところはちゃんとしてるからな。


「先輩、今。私の悪口言いましたか?」


 近くに居た嗜みがジト目で私を見つめる。


「嗜みは悪口じゃねーぞ」

「やっぱり言ってるんじゃないですか! あと、嗜みって悪口だったの!?」


 ほらほら、後でいっぱいかまってやるから、今は離れろ!

 勘のいい数人があの侍女さんは何者なんだろうって顔をしてこっち見てるぞ!!

 それと、嗜みは悪口でもあり、全女子が白旗をあげる最上級の敬称でもあるから安心しろ。

 少なくともマイナス要素しかないゴミの最底辺の捗るに比べたら遥かにマシだ。

 はは……。自分で言ってて悲しくなってきた。

 私は現実逃避をするように、小雛パイセンの方へと視線を向ける。


「阿古っち、うちのチームの中で一番チジョーなのは貴女よ!!」

「えっ!? わ、私!?」


 指名されると思っていなかった阿古さんが驚く。

 阿古さん……便所の壁にあくあ様のポスター張ってた人が今更取り繕っても無駄ですよ。

 諦めましょう。貴女も私の仲間なんです。だから、早くこっちまで堕ちてきてください。


「阿古さん頑張ってー」

「アヤナちゃん!?」


 アヤナちゃんが阿古さんに対して顔を背けると、同じチームのリサちゃんや美洲おばちゃん、ラズ様の3人も阿古さんと目を合わせないようにスッと視線を逸らす。

 私なら喜んで前に出るけど、どうやらあのチームはチジョーになりたくないメンバーばかりのようだ。


「じゃんけん! じゃんけんでえらぼ!!」

「わ、わかったわよ」


 阿古さんの圧に押し負けた小雛パイセンがじゃんけんで代表を選ぶ事を認める。

 その結果、選ばれたのは……。


「ううっ」


 生贄にされた阿古さんが赤面しながらステージに出る。

 うん、私はわかってましたよ。


「もー、仕方ないわね。阿古っち、私が代わってあげるわよ」

「阿古さん、やっぱり私が代わりましょうか?」

「天鳥社長、君にはあくあ君の事でいつも世話になってる。ここは母である私が」

「天鳥社長。私でよろしければ、その……代わります」

「みんな、ありがとう。でも、大丈夫。自分の提案した事で負けたのだから腹を括るわ!!」


 おおー。完全復活した阿古さんがステージに登る。

 それを見た人たちから、阿古さんに惜しみない拍手が送られた。

 やっぱ便所にあくあ様のポスター貼ってる人は覚悟の決まり方が違いますね。

 その後ろ姿を見たからなのか、みんなが恥ずかしがって代表者を決められなかった後宮側のチームからも、立候補した代表者が次々にステージに登っていく。

 私は彼女たちの勇気ある一歩に拍手を送りつつ、らぴすちゃんチームへと視線を向ける。


「ふふふ、らぴす。どうする? お姉ちゃんはいつでも大丈夫よ」

「らぴす様、私もいつでも行けますよ。今日だけは侍女である私が、お嬢様の鼻をへし折ってまいります」

「フィーもいつでも準備おっけーなのじゃぞ! でも、できたら姉様と戦いたいのだ!!」

「わ、私も……その……え、選ばれたら頑張ります」

「えっとえっと……」


 らぴすちゃんのチームはやる気のある人……いや、ヤる気のある人が多いな。

 あのチームはこれからチジョーさんチームと呼ぼう。


「それじゃあ、ペゴニアさん。よろしくお願いします」

「かしこまりました。必ず私がお嬢様を討ち取って見せましょう」


 どうやらこれで全員が出揃ったようだ。

 私もアイビスさんのサポートとして一緒にステージに上がる。

 するとスタッフに扮したメイド達がそれぞれの代表者にフリップとペンを手渡していく。


「それでは問題です!! あくあ君が好きなのは……」

「「「「「女の子の膨らみ!!」」」」」


 私を含めた先走った数人が大きな声をあげる。

 流石はそれぞれのチームを代表して選ばれたチジョー達だ。反応が早い。

 全く、これだからチジョー達は……気が早いんだよ。

 男の子と手を繋いだとか、会話をしただけとか、目が合っただけでOKのサインだと思ってる女がどれだけいる事か……。まぁ、私なんて男性側が本能的な危機を感じとっているのか、あくあ様以外とは目すら合わないんですけどね。

 あくあ様くらいですよ。10回くらいチラ見したり、10分くらいガン見したりするのって。だからみんな女の子は勘違いしちゃうんだよね。


「皆さん、気が早いです。もう少し粘りましょう!! えーと、どこまで読んでたっけ?」


 楓パイセンのそばに居たみことが途中まで読んでたところを指さす。

 ナイスプレーだぞ、みこと。後でたくさん褒めてやろう。

 なにせ楓パイセンなら、二つ先の問題を読んでてもおかしくなかったからな……。


「あくあ君が好きなのは女性の膨らみだけど、あくあ君がみんなとどういうプレイがしたいと思ってるのか、代表者に選ばれた人がフリップにプレイの内容を記入してください!!」

「「「「「えぇっ!?」」」」」


 これは中々の難問だな。

 そもそもプレイって、どっちのプレイなんだ?

 どちらにせよ、カノンが有利すぎる。

 私はすぐさまにブーイングができるように準備を整えた。


「えーと、カノンチームはカノンが強すぎるので、代わりに今まであくあ君としたデートの回数が多い方から順に五つ書いてください」

「ちょっとぉ!?」

「いいぞー!!」


 私は手を振り上げて楓パイセンに声援を送る。

 みんなもカノンとあくあ様がどういうデートをしているのか知りたかったのだろう。

 普段は冷静な姐さんですら少し目がギラつく。


「もー、やだー」


 そんな事を言いつつ、カノンはフリップにペンを走らせる。

 やべぇ。あの女、今までしたデートの回数までちゃんと全部把握してやがるんだ……。

 私もアイビス様を助けるために近くから様子を伺う。


「私としたいプレイ……私と……。何かしら? 一緒にアフタヌーンティーを嗜むとか?」

「アイビス様!?」


 びっくりした私はつい声を上げる。


「何? どうかしたのかしら?」

「いやいや、どうも何も、アフタヌーンティーを嗜むのはプレイじゃないですよ?」


 いや、待てよ。えみり、考えろ。

 アフタヌーンティーの意味はそうじゃない。

 これは間違いなく隠語だ。

 アフタヌーンティー……紅茶……ミルク……はっ!? そ、そういう事だったのか〜!!

 ハイレベルすぎるアイビス様のご解答に、この私、雪白えみりも感服いたしました。


「アイビス様、流石にそれは高難度すぎます。いくらお相手があのあくあ様とはいえ、もうちょっとレベルを落とした方がよろしいかと……。不詳、ハニーナ・オルカードは進言いたします!!」

「そ、そう。やっぱり、あくあ様とはいえ、最初からアフタヌーンティーは早いわよね」


 私は無言で頷く。もう少しノーマルな感じでいきましょう。

 でも、あくあ様とでレッツミルクパーリィーする時は私も呼んでくださいね!!


「それでは、やはり最初は文通かしら?」

「文通……?」


 幾ら何でも文通は……待て! えみり、ちゃんと考えろ!!

 こんな体のラインがわかるようなドレスを着たアイビス様が、ただの文通を提案するわけがない!!

 私は確認のために、キリッとした顔でアイビス様に質問を投げかける。


「それはただの文通ですか? お手紙以外に何かを入れたりとか……」

「写真とか? 文章だけではなく、やはり写真があった方が相手に想いを伝えやすいでしょう」


 ビンゴ!

 間違いない。やはり文通も隠語の一つだったのである。

 文通はあくまでもフェイク、手紙に添付された写真こそがメインだ。

 私はあくあ様の部屋で探検をしていた時に、シミが残っていたアヤナちゃんや小雛パイセンのグラビアを見つけた事を思い出す。

 まさかアイビス様が、その事を知っているとはな……。

 いや……違う! もしかして、ステイツの情報機関は既に最重要機密であるそこまでの事を把握しているという事なのか!? 私はステイツとアイビス様に対して警戒レベルを3段階くらい引き上げる。


「それにお互いに書いた文章を読む事で、いつでも思いを馳せる事ができますわ」


 文章を読んでいつでもお互いに思いを馳せる?

 はっ!? そうか……そういう事だったのか!!

 写真はあくまでもフェイク。やはり本体はお手紙の方だったのだ。

 私が入り浸っているネットのとある掲示板でこういう話を聞いた事がある。



 ななし

 男の子のノートを借りたんだけどさ、濡れたノートって、どうやったらうまく乾かせられる?


 検証班◆07218KADO6

 >>ななし

 濡れたノート!?

 その話、もっと詳しく……!


 検証班◆010meTA473

 >>捗る

 嫌な予感がするから先に言うけど、私のノートをびしょびしょにしたら絶交するから。



 私もまだその領域には至っていないが、ハイレベルな者であれば、ノートや手紙に書かれた文字だけでも妄想できるらしい。

 つまり……アイビス様はその領域に、私を超えたその先に至っているという事なのですね?

 自然と両手を合わせた私は、無意識の内にアイビス様を拝んでいた。


「アイビス様、幾らなんでも文通はハイレベルすぎます。もっとレベルを落としましょう」

「文通もダメですの!? じゃ、じゃあ、どうすれば……」


 ハイレベルすぎるアイビス様のためにサポート役の私が頑張らなきゃな。

 私は清らかなオーラを出しつつ、澄ました顔でアイビス様に提案する。


「やはり、その大きな膨らみを生かした方がよろしいかと……そう、たとえば母性を全開にしてミルクをですね。んんっ!」


 私だって常にふざけてるばかりじゃない。

 自分でいうのもなんだけど、今回は我ながら無難でいいところをついてるんじゃないかと思った。

 ここに来て置きに行く選択の提案ができるようになったのは、自分でも成長だと思う。


「ミルク?」


 アイビス様はポカンと口を開ける。

 くっ、ハイレベルなアイビス様にはいくらなんでもぬるすぎたか……。


「ミルクで何をするのですか?」

「はい?」


 私はホゲ川パイセンみたいなシンプルな顔になる。

 今、なんて言いました?


「母性? もしかして、男性は高校生になっても哺乳瓶が必要なのですか?」

「はい」


 状況をうまく理解できなかった私は適当に相槌を打つと、確認のために核心をつく質問を投げかける。


「アイビス様、どうやったら男性との間に子供ができるか知ってますか?」

「だ、男性との子供の作り方……」


 アイビス様は澄ました表情を崩すと顔を真っ赤にする。

 うんうん、流石にそれは知ってるよな。うん。


「て、手を繋ぐのですわ。それから……」

「それから?」

「手を繋いだ2人のところに飛んできたコウノトリさんが運んできたキャベツの中から赤ちゃんが生まれるのですわ」


 お、おぅ……。

 今のどこに恥ずかしがる要素があるのかわからないが、アイビス様は真っ赤になった顔を両手で隠して、私の目の前で首を左右にフリフリと振る。

 おい、ステイツ! お前、とんでもない人選をこっちに送ってきやがったな!!

 これでもうちのカノンは人を見る目がある。やばそうな女がいたら、カノンが一目見て弾いているだろう。だからこそステイツは、知識が全くないイコール無害なアイビス様を代表の1人に選んだのだ。

 なるほど……あまりにも純粋すぎてカノンのセンサーにも引っ掻からなかったか。

 無知なムチムチボディーとは、この雪白えみりも完璧に騙されましたよ。

 これがアニマルなビデオなら、その体で無知はないだろ。責任とれ! と言う展開になるのだが、今は大事なレクリエーションの最中だ。

 この問題は後回しにする。


「ごめんなさい。哺乳瓶が必要なのは赤ちゃんまでと聞いていたのですが、男性には年齢に関係なく哺乳瓶が必要な事を全く知りませんでした。とても、勉強になりましたわ。ありがとうございます」


 あっ……やべっ。

 適当に相槌を打ったせいで、アイビス様に嘘の知識を植え付けてしまった。

 ま、まぁ、あくあ様は喜びそうだからいっか。


「あれ……? でも、赤ちゃんが大きくなる頃にはミルクが出なくなるんじゃ……。どうやったらいいのでしょう?」

「そういう時は、男性に協力をお願いすればいいのです。そうしたら、またミルクが出るようになります」

「なるほど……。男性にお願いをしたら、赤ちゃんのためのミルクが出るようにしてもらえるのですね。ありがとうございます!」


 ……ヨシっ! なんかやらかした気がするけど、もう一回、ヨシっ!

 私はアイビス様がフリップに哺乳瓶と書いているのを確認しながら、目の前の現実から顔を背ける。

 あくあ様、あとはお願いします! 私はこの未曾有の案件を丸ごとあくあ様に豪速球でぶん投げた。


「皆さん書けたようですね。それでは、嫁ーずから結さん。解答を見せてもらえませんでしょうか?」

「はい!」


 結さんは自信満々な表情でフリップをみんなを見せる。


【男性専用クリニック】


 うおおおおおおおおお!

 さすがは結さんだ。最初から際どいワードが出てきた。


「どうしてこの解答を選んだんですか?」

「前にナース服や女医の格好をしたらあくあ様が喜んでくれたんです。だからこれをチョイスしました」


 すみません。そのクリニックに見学に行ってもいいですか?

 すごく興味がありまぁす!!


「なるほど……でも、残念でしたね。正解はこちらです」

「えっ?」


 後ろのモニターに大きく正解が表示される。


【いつも仕事を頑張ってくれる結を癒したい。たまには俺が医者をやるから、結は患者側で頼む!!】


 ふぅ……。流石はあくあ様だ。

 解答からも優しさが滲み出ている。


「お医者様? ハニーナさん。あくあ様は医師免許をお持ちなのですか?」

「え、えーと、その医師免許がなくてもできる事があってモニョモニョ」


 私は隣にいるアイビス様からの純粋な疑問に目を逸らして答える。


「結さん。残念でしたね」

「はい。私もまだまだ勉強不足なようです。あー様のために日々精進したいと思いました」


 審査員席に座っていたあくあ様が、解答を外した結さんに優しく声をかける。


「それでは、阿古さん。どうぞ!!」

「ううっ……」


 阿古さんは恥ずかしそうに手に持ったフリップをみんなに見せる。


【私と何かするくらいなら、他の子としてください!】


 こーれ、間違いなく逃げました。


「ちょっとちょっとちょっと!」


 流石は小雛パイセンだ。私が動くよりも先に、いや、動けない私の代わりに動いてくれる。


「阿古っち、これはダメでしょ! 結さんみたいに、ちゃんとして欲しい事を書かなきゃダメじゃん!」

「なんで自分がして欲しいプレイを書かなきゃダメなのよ!! そういうルールじゃないでしょ!」


 ブーブー! 私は逃げを選択した阿古さんにブーイングする。

 これは別に私だけのためじゃない。

 ここにいるみんなが、便所にポスターを貼ってる女がしたいプレイを知りたいんですよ!!


「それじゃあ、普通で……」

「はあ!? 阿古っち、前に私と一緒にお酒飲んだ時には……ふがふが!」


 阿古さんが本気で小雛パイセンの口を塞ぐ。

 ちぇっ。どうやらこれ以上はダメなようだ。


「それじゃあ、正解の方を見ていきましょうかね」


 全員の視線が後ろのモニターに釘付けになる。

 あくあ様、私達の社長にわからせちゃってください。


【阿古さんとは、まずは普通にちゃんとデートしたい】


 あくあ様……これは本気ですね。

 ふざける事なくストレートな回答に阿古さんは顔を真っ赤にする。


「あんた、やればできるじゃない!!」


 これには小雛パイセンも大喜びである。

 阿古さんは恥ずかしそうに顔を背けるが、満更でもなさそうだ。

 周りからも暖かな拍手が送られる。


「でも、阿古っちは……んぐんぐ」

「はーい。ゆかり、ちょっと裏いこっかー」


 お酒で酔い潰れていたとはいえ、阿古さんは一体、どういうプレイがしたいって言ったんだ……。

 阿古さんは、小雛パイセンを引きずって隣の部屋に行く。

 アコサン、スゲエヨ……。あの小雛パイセンにそんな事ができるのは阿古さんくらいだ。


「それじゃあ、ペゴニアさん。お願いできますか?」

「ええ、この私にお任せください!!」


 ペゴニアさんは勝ち誇った表情でフリップを見せる。


【XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX】


 やっぱ、ペゴニアさんはレベルがちげーわ。

 ペゴニアさんの解答を見たあくあ様は、ニヤリと片方の口角を上げた後に手元のボタンを押す。

 すると後ろのモニターに正解が表示された。


【だからこそ普通のデートをする。ドロドロに甘やかして、食事の後に夜景を見て解散する!!】


 流石はあくあ様だ。ペゴニアさんの解答を完璧に予測してやがった。

 その上での純愛解答。これこそがあくあ様である。

 2人のハイレベルな戦いに、周りから暖かな拍手が送られた。

 ペゴニアさんも満更じゃなさそうな顔で笑みを見せる。


「すみません。ハニーナさん。ペゴニアさんの書いていた内容の意味がわからなかったのですが……」


 アイビス様。卑しい女しかいないこのステージの上で貴女だけが癒しです。

 どうかずっとそのままでいてください。

 私は疑問符をたくさん頭を浮かべているアイビス様に対して穏やかな表情を向ける。


「坐薬の親戚みたいなものです」

「まぁ、お薬の話だったのですね」


 ……ヨシっ!

 なんとなく会話も成立してるからヨシっ!


「それじゃあ、カノポン」

「カノポン!?」

「あ、ごめん。カノン、正解をどうぞ!」

「楓先輩、なんか私の時だけ雑すぎない!? 正解って、まだ正解かどうかわからないのに……」


 バーロー。お前が不正解なんてするわけないだろ。

 お前以上に私達はお前を、クソヲタの嗜みを信じてるんだ。

 カノンは手に持ったフリップをみんな見せる。



 5位 おでかけデート。妊娠前はバイクに乗せてもらって行ったりしてました。

 4位 公園デート。子供が生まれたら家族でしたいな!

 3位 街ブラデート。休日の鉄板です。散歩だけの場合もあります。

 2位 放課後デート。学生なので……。ボウリングとか映画館とか。

 1位 おうちデート。妊娠してから増えました。最近はよく2人でゲームしてます。



 かーっ! これだから嗜みさんはよぉ!!

 あくあ様が秒で正解のボタンを押す。

 嗜み、お前が検証班最強、いや、もうお前が検証班そのものだよ。私は清々しい顔で白旗を振る。


「カノン……相変わらず愛されてるね。よかったなぁ」

「もういいでしょ! なんなんよこの空気。書けって無茶振りされたの、私の方なんだけど!?」


 まぁまぁ、落ち着けって。私も楓パイセンと一緒にカノンを嗜める。

 どうやらこの問題もハイレベルすぎて、正解者はカノン1人だけだったみたいだ。

 そういえば、あくあ様ってアイビス様と何がしたいって書いてあったのだろう?


【アフタヌーンティーパーティー!!】


 最初のアイビス様の予測で当たってたんじゃねーか!!

 その時は私も呼んでくださーい!!

 私はヤケクソになりながら、自分のチームへと帰った。

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